いつモノコト

シチズンの高コスパなメカニカルウォッチを愛用 デザイン・裏スケがイイ

腕時計と言えば、昨今はスマートウォッチの存在感が高まっており「最初に買った時計がスマートウォッチ」という若い人も多いと思います。一方で、スマートウォッチとは対極にあるような時計が「メカニカルウォッチ」(機械式腕時計)です。スマートウォッチのような高度な機能はありませんが、電池も不要で愛好者が少なくありません。

そこで今回は、筆者が愛用しているメカニカルウォッチをひとつ紹介したいと思います。「シチズンコレクション」というシリーズの「NP1010-01A」で、数年前に税込3万円弱で購入しました。現在の実勢価格は3万円台前半のようです。色違いやバンドが金属のタイプもラインナップされています。

コスパもデザインも二重丸!

この時計を敢えて一言で表現するなら「コスパが高い」でしょうか。シチズンという日本の有名ブランドで、しかもメイドインジャパン。そのメカニカルウォッチが3万円でお釣りが来る(当時)ということで、「これはめっけもの!」と思って選んだのでした。

もちろん、腕時計というものはまずデザインが気に入らなければ例えコスパが良くても買わないもの。その点はシルバーのダイヤルに青い針の組み合わせが美しく、スモールセコンドやオープンハートといった部分もプラスポイントになり一目で気に入りました。

バーインデックスなのでフォーマルな雰囲気ですが、カジュアルな服との組み合わせも悪くありません。この価格ながら、時のインデックスとCITIZENのロゴは植字式なのでダイヤルが立体的に見えます。

インデックスやロゴが立体です。ケース素材はステンレス。風防はサファイアガラスです

ケースサイズは39.6mm。しっかりしたサイズ感で視認性も良いと思います。厚みは11.2mmと、自動巻きとしては一般的なところ。

そして特徴的なのはオープンハート構造でしょう。開口を設けてムーブメントの一部が見えるようになっています。テン輪とアンクルの動きが見えるので、使っていて楽しい部分です。

テン輪の中にあるヒゲゼンマイも見えます。右はスモールセコンド、左は24時間針

スモールセコンドは、秒針が時分針と別のところにあるデザインです。昔の時計はこのタイプが多かったようですが、現代は時分針と秒針を同軸にするセンターセコンドが主流になりました。

いま、スモールセコンドは比較的高級なモデルで見られますが、このような価格帯でスモールセコンドが楽しめるのは貴重ではないでしょうか。小さな針が動いている様子は可愛げもあります。

珍しい機能として、24時間針が付いています。これは24時間で一周することで一日のどれくらいが経過したか、また午前と午後の見分けが容易というもの。時針と連動していて独立にはセットできないので、デュアルタイムの機能というわけではありません。

安心の10気圧防水でガンガン使える

さて時計の裏側に目をやれば、シースルーバックになっているのも見所。”裏スケルトン”と呼ばれる仕様で、ムーブメントが観賞できるため採用するモデルが増えているようです。裏側からはテン輪やガンギ車、ローター(重り)の動きがよく見えます。眺めていると愛着が湧いてきます。

いわゆる”裏スケ”仕様。なかなかに美しい造形です
メカニカルウォッチの心臓部である調速機構や脱進機構の動きが見て取れます

パワーリザーブは約40時間なので丸二日放っておくと止まってしまいますが、手巻き機能もあるので、気がついたときにリュウズを回すとチャージできます。振動数は21,600回/時(6回/秒)と、こちらも並品の仕様です。

ベルトはブラウンのカーフ革で、ワニ皮風の型押しになっています
バックルは三ツ折れタイプ

そして、筆者が腕時計を選ぶときに重視しているのが防水性。その点では10気圧防水を達成しているのが大変好ましいところです。メカニカルウォッチは防水性が弱いモデルも多いのですが、10気圧防水は水泳や素潜りも可能なレベルです。実際そこまでしなくても、しっかりした防水性能があると普段使いでも心強いものです。

本モデルは安価ながらメカニカルウォッチの魅力を存分に味わえるので、機械式腕時計の入門にはうってつけの1本ともいえそうです。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。