レビュー
家の“守り”を強化 アマゾンのライト内蔵カメラ「Ring Spotlight Cam Plus」
2023年5月4日 09:30
Amazonのスマートホームセキュリティ「Ring」シリーズ。これまでドアベル「Ring Video Doorbell 4」や室内カメラ「Ring Indoor Cam」、屋外でも利用できるバッテリー駆動型カメラ「Ring Stick Up Cam Battery」などが発売されている。
そのRingシリーズ最新製品として3月から発売されたのがセンサーライト付き屋外カメラ「Ring Spotlight Cam Plus, Battery」(Ring Spotlight Cam Plus)だ。今回、1カ月ほど試用する機会を得たので、仕様や使い勝手などを紹介する。
バッテリ駆動式のカメラとLEDセンサーライトを一体化
Ring Spotlight Cam Plusは、簡単に言うと、セキュリティカメラとセキュリティライトを一体化した製品だ。赤外線とカメラを利用した画像認識によって人の動きなどを検知し、動きを検知すると自動で動画を撮影するとともに、夜間など周囲が暗い場合にはLEDセンサーライトを点灯し、周囲を明るく照らしてくれる。
近年、セキュリティ意識の高まりに伴い、自宅玄関などにセキュリティカメラやセキュリティライトを設置する人が増えているが、双方を1台でまかなえるという点が大きな特徴となる。
また、無線LANを利用しバッテリー駆動が可能で、ワイヤレスで利用できるという点も特徴のひとつ。
セキュリティカメラやセキュリティライトを設置する場合には、電源やネットワークの確保に苦労する。自宅の壁などに穴を空けたくなかったり、賃貸住宅の場合には設置を諦める場合も多いのではないだろうか。
それに対しRing Spotlight Cam Plusは、ネットワークは無線LANを利用し、本体に専用バッテリー「クイックリリースバッテリーパック」を最大2個内蔵できるため、完全ワイヤレスで運用可能となっている(有線での電力を供給も可能)。本体を設置する場所を確保する必要はあるが、それ以外にケーブルを引いたり、ケーブルを引くために壁に穴を空けるといったことなく利用できるのも、大きな利点だ。
もちろん、バッテリー駆動で運用する場合には定期的なバッテリー充電が必要となる。クイックリリースバッテリーパックには充電用のmicro USB端子が備わっており、充電時には本体からバッテリーを取り出し、付属のUSBケーブルなどを利用して充電する。バッテリー駆動時間は、運用環境によって大きく上下することを考慮してか非公開となっている。
本体サイズは、76.4×80.5×126.2mm。片手で持てるほどの大きさで、特別大きいわけではないものの、そこそこ存在感のあるサイズだ。このあたりは、カメラの左右にLEDライトを内蔵することと、内部にバッテリーを最大2個内蔵できるようになっている点が影響していそうだ。
重量はバッテリー1個装着時で443g。屋外での利用が基本のため、IP65相当の防塵防沫仕様となっている。
カメラは水平140度の広角レンズを採用し、比較的広い画角で撮影が可能。1080pの動画撮影に対応し、動画は常時録画ではなく、人の動きなどを検知した場合に約4秒前から録画を開始する。動きを検知すると、録画を行なうだけでなく、スマートフォンアプリなどにアラートを通知。また、周囲が暗い場合にはLEDセンサーライトも点灯する。
この他、本体にマイクとスピーカーを搭載し、アプリを介して会話したり、サイレンを鳴らすことも可能となっている。
無線LANは2.4GHz帯域の802.11b/g/nに対応。利用場所に無線LANの電波を届かせる必要があるが、2.4GHz帯域を利用するため、比較的電波は届きやすいだろう。
Ring Spotlight Cam Plus製品パッケージには専用バッテリーが1個付属。壁などに取り付けるための木ネジやバッテリ充電用のUSBケーブルも付属する。ただし、本体を取り付けるための板や固定金具などは付属しないので、それらは別途用意する必要がある。
録画データは全てクラウドに保存
Ring Spotlight Cam Plusで撮影した録画データは、他のRingデバイス同様、全てクラウドに保存され、ローカルには一切保存されない。そして、クラウドの利用には有料の「Ringプロテクトプラン」に加入する必要がある。
プランは、月額350円または年額3,500円の「Basicプラン」と、月額1,180円または年額11,800円の「Plusプラン」の2種類を用意。Basicプランはデバイス1台あたりの契約で、Plusプランは世帯あたりの契約となり台数を問わず利用可能。1世帯でRingデバイスを4台以上利用するのであればPlusプランがお得となる。
Ringプロテクトプランに加入すると、最大180日間の録画データ、最大7日間のスナップショットを保存できる。この他、他ユーザーとの共有などRing Spotlight Cam Plusに用意される全機能が利用可能となる。Ringプロテクトプラン未加入の場合には録画データやスナップショットは保存されず、動体検知のアラート通知やライブ映像の表示、双方向音声通話、LEDセンサーライトなどの機能のみが利用可能となる。
ちなみに、2023年9月30日まで無料でRingプロテクトプランを利用できる体験版が用意されている。その間はRing Spotlight Cam Plusの録画などを含めた全機能を無料で利用できるため、実際にRingプロテクトプランに加入するかどうかはその間に動作をチェックしながら決めればいいだろう。
ソーラーパネルは2~3時間ほど直射日光が当たればOK
Ring Spotlight Cam Plusは玄関付近の広範囲をカバーして撮影したり、ライトを照らす必要があるため、基本的には比較的高い場所に設置することが求められる(公式には3mほどの高さに設置することを推奨しているようだ)。しかしその場合、本体に手が届きづらくなり、バッテリーの取り外しが非常に面倒となってしまう。
そこで利用したいのが、Ring Spotlight Cam Plusのオプションとして用意しているソーラーパネルだ。そちらを利用すれば、昼間はソーラーパネルから電力が供給されてバッテリーが充電されるため、バッテリー充電の手間が省け、ほぼメンテナンスフリーで運用可能となる。今回筆者は、Ring Spotlight Cam Plusをメンテナンスフリーでワイヤレス運用すべく、ソーラーパネルもお借りして試用した。
ソーラーパネルの出力は4Wで、日中に2~3時間ほど直射日光で最適なパフォーマンスを発揮するという。サイズは205×169×12mmで、それほど大きくはない。
ソーラーパネルからは2mのケーブルが伸びており、先端にはUSB Type-Cコネクタを装着。そちらをRing Spotlight Cam Plus後方のUSB Type-Cコネクタに接続して利用する。このUSB Type-Cコネクタにはパッキンが装着されているため、Ring Spotlight Cam Plusに接続した場合でもコネクタ部の防水を保てる。ソーラーパネル自体もIP55相当の防塵防沫仕様となっているため、屋外での利用も安心だ。
ちなみに、先に動作状況を簡単に紹介しておくと、今回筆者が運用した1カ月ほどの間では雨が長続きすることはほとんどなかったが、2~3日雨や曇天が続いた場合でもソーラーパネルを接続しておけばバッテリー残量が70%を下回ることはなかった。そのため、ソーラーパネルを装着しておけば、ほぼ問題なくメンテナンスフリーで運用できそうだ。
もちろんそのためには、ソーラーパネルに直射日光が当たるよう設置する必要がある。筆者宅は玄関先の南側が開けているため設置場所には困らなかったが、玄関が北向きだったりすると取り付け場所には少々苦労しそうだ。そういった環境でも設置場所の自由度を高めるために、防水仕様の電源延長ケーブルが別途用意されていてもいいと感じた。
セットアップはそれほど面倒ではない
Ring Spotlight Cam Plusのセットアップは、いわゆる防犯用のネットワークカメラに比べるとそれほど面倒ではない印象だ。
まずはじめにスマートフォンに専用アプリ「Ring」アプリをインストール。そして、初めて利用する場合にはRing専用のアカウントを作成する。なお、セキュリティ製品ということもあり、アカウントには2段階認証の設定が必須となっている。
続いて、RingアカウントとAmazonアカウントをリンクさせる。こちらも必要となる作業なので、指示通りに進めるといい。
アカウントの作成とAmazonアカウントとのリンクが完了したら、初期設定が始まる。とはいえその作業も特に面倒ではなく、デバイス一覧からRing Spotlight Cam Plusを選択し、本体に貼られているQRコードをスマートフォンのカメラを利用してスキャン、設置場所の選択やデバイス名の設定、電源運用方法の選択などを行なう。電源運用方法については、電源を接続せずバッテリーのみ、またはバッテリーとソーラーパネルで運用する場合には「バッテリー」を選択することになる。
あとは、アプリの指示に従ってRing Spotlight Cam Plusにバッテリーを装着して無線LANに接続すれば自動的に初期設定が進み、設定完了となる。
ここまでの初期設定が完了すれば、Ring Spotlight Cam Plusは正常に動作を開始する。この時点で、Ringアプリから正常にカメラが動作しているかなどをチェックしておくといい。なお、この初期設定を本体設置後に行おうとすると、本体記載のQRコードの読み取りなどが面倒となるため、可能な限り設置前にやっておくべきだろう。
筆者は、ここまでの初期設定を室内で済ませ、1~2日ほど動作に問題が無いことを確認した後、「取付自在板」という樹脂製の固定板をステンレスバンドを利用して玄関横の雨どいに固定し、そこにRing Spotlight Cam Plusを木ネジで固定した。また今回はソーラーパネルを併用して運用することにしたため、ソーラーパネルも雨どいに固定した取付自在板にネジ止めした。
そして、設置時に重要となるのがカメラの画角調節だ。Ring Spotlight Cam Plusは台座と本体をアームで接続し、アーム部分で上下左右に角度調節できるようになっている。最終的には、本体設置後にスマートフォンアプリで画像を見ながら角度を調節することになる。
ただ、アーム部分で調節可能な範囲はそこまで広くないため、設置用の固定具側である程度角度を決めておく必要がある。固定具で角度を決めておけば、本体側では微調整のみですむため、この点は固定具を設置する時にしっかり考慮しておきたい。
詳細設定で動作を細かく調整
初期設定後にRing Spotlight Cam Plusとソーラーパネルを玄関先に設置して本格運用を開始したが、初期設定のままでは当然初期設定の範囲での動作しかしない。そこで、設置後にスマートフォンアプリで詳細な設定を行なう必要がある。
まず最初に設定すべきなのは「モーション検知」の設定だ。モーションを検知する範囲を設定したり、モーション検知の感度などを設定できる。
実際に初期設定のまま数日動作させてみたが、撮影範囲全体がモーション検知ゾーンとして設定されているためか、奥の道路を車が通ったり、植木が風で揺れたりするだけでモーションを検知し、多くのアラートが届いてしまっていた。
そこで、奥の道や植木などを外すようにモーション検知ゾーンを設定してみたところ、不要なアラートが大幅に減った。
次にモーション検知の感度設定だ。ただここは感度最大で運用している。これは、検知感度を下げると、確かに不要なアラートは減るものの、人が通っても感知しないことが何度かあったためだ。
具体的には、人が写ったスナップショットが保存されているのに、その部分の録画データがない、ということが何度か見られたのだ。これは、筆者の運用環境が影響しているのかもしれないが、さすがに人が通っても検知されず録画されないのはまずいので、いろいろと設定を見直しつつ運用。1カ月ほど運用したところでは、モーション検知ゾーンを最小限にしたうえで感度を高めた方が、安定して人物を検知するという結論に落ち着いた。
ところで、モーション検知の設定項目に「スマートアラート」という項目がある。これは、人物とその他のモーションを区別して検知し、それぞれに録画とアラート通知の動作を設定できる機能だ。これなら、モーション検知ゾーンを広げても人物のみしっかり検知してアラートや録画が行なえると思ったのだが、実際に運用してみると少々異なっていた。
確かに履歴を見ると、人をしっかり認識して検知できているように見える。しかし実際には、この設定でも人が写ったスナップショットが保存されているのに、その部分の録画データがない、ということが何度か見られたため、最終的には筆者はスマートアラートをオフにして運用している。このあたりは、設置環境によって大きく変わると思われるため、実際に設置して運用しながら設定を煮詰めていく必要がありそうだ。
同時に、必要な場合にはプライバシーマスクも設定する必要がある。これは、向かいの家の様子などを見えないようにするもので、録画データを再生する場合でもマスクした部分は見えずに再生される。筆者宅では向かいにすぐ家がないため設定しなかったが、実際に運用する場合には他の人のプライバシーを守る運用も重要だ。
この他には、モーション検知のスケジュールやモーション検知頻度の設定なども行なえる。特定の曜日や時間帯のみモーション検知させたい場合には、スケジュール機能を活用するといいだろう。また、モーション検知頻度は、人物が玄関先に長時間滞在する場合などに何度もモーション検知のアラートが届いてしまうことを防ぐための機能。モーションを検知したら一定期間モーション検知を停止できるようになっている。
なお筆者は、自宅玄関での運用ということや、家族の行動を見守りたいという理由から、スケジュールは設定せず、モーション検知頻度も「頻繁」で運用している。モーション検知頻度は増えるが、逆に家族の行動をしっかり見守れている。
これ以外には、複数のRingデバイスを同時利用している場合に、それらをリンクさせて動作させるための設定項目などが用意されているが、今回はRing Spotlight Cam Plusの1台のみでの運用だったため、そのあたりの設定は試していない。
モーション検知時の録画時間やスナップショットの設定が重要
続いてしっかり設定しておきたいのが、モーション検知時の録画時間やスナップショットの設定だ。Ring Spotlight Cam Plusは常時録画を行なわず、モーション検知した場面のみを録画する。そのため、これら設定は運用上非常に重要となる。
まずモーション検知時の録画時間だ。設定は、アプリの「デバイスの設定」にある「ビデオの設定」内にある「録画時間の設定」で行なう。
標準設定では、録画時間は自動に設定され、モーション検知から最大30秒間の録画が行なわれるようになっている。通常はそのままでも大きな問題はないと思うが、録画時間を細かく設定することも可能。「自動」をオフにすると、15秒から最大120秒まで録画時間を設定できる。
実際に最大の120秒でしばらく運用してみたが、来訪者の多くが1分以内にその場を離れることが多く、120秒の録画は不要と感じた。ただ30秒ではやや短い場面もあった。そのため録画時間は60秒に設定して運用することに落ち着いている。
次にスナップショットの設定。こちらは「デバイス設定」の「スナップショットの撮影」から設定できる。
スナップショットは、標準では1時間間隔に設定されているが、5分、14分、1時間の3つの間隔での撮影を設定可能。Ring Spotlight Cam Plusは常時録画ではなく、その穴埋めのためのスナップショット機能と考えていい。筆者は、運用していてモーションを検知できないことが何度か見られたことも考慮し、最も頻度の多い5分で運用。撮影間隔を細かく設定できないのは、バッテリー駆動であることやデータをクラウド保存するということを考慮してのものだろう。とはいえ、できればもっと短い間隔で運用したいところで、もう少し撮影間隔の自由度を高めてもらいたいと感じる。
なお、筆者が録画時間を長く、スナップショットを短い間隔で設定できているのは、ソーラーパネルの併用でバッテリー残量をそれほど気にせず運用できているからだ。
LEDセンサーライトはかなり明るい
次にLEDセンサーライトだ。カメラ左右に取り付けられたLEDセンサーライトは、モーションを検知するとともに、周囲が暗い夜間にのみ点灯するようになっている。
実際に動作をチェックしてみたが、周囲が明るい日中に点灯することは全くなかった。また、日没後のまだ比較的明るい状態でも点灯しない。その後徐々に暗くなり、もうそろそろ照明が欲しいかな、と感じるような暗さになると、LEDセンサーライトが点灯する。
まだ照明不要と感じる薄暗さでは点灯せず、そろそろ照明が欲しいと感じる暗さになると点灯するため、このあたりの塩梅はなかなかいい感じだ。
また、LEDセンサーライトの明るさも、思った以上の明るさだ。当初室内で試した時には、ちょっと暗いかな、と感じたのだが、実際に設置してみると、玄関付近を明るく照らし出してくれる。
筆者宅の玄関は、ひさしに40W相当の電球型蛍光灯を1個埋め込んでいるが、それだけだとやや薄暗い。それに対しRing Spotlight Cam PlusのLEDセンサーライトは電球形蛍光灯の数倍の明るさだ。それまでの、夜間の玄関先がやや薄暗いという印象は完全に払拭された。
もちろん、人が近付くと明るく点灯するので、Ring Spotlight Cam Plusの存在を知らない人はかなりびっくりするはずで、防犯対策という点でもかなり活躍してくれそうだ。
ちなみに、LEDセンサーライトの明るさはスマートフォンアプリから設定できる。筆者は明るさ最大にしているが、このあたりも実際に運用しながら調節すればいいだろう。
また、LEDセンサーライトの動作もスケジュール設定が可能。筆者は常時利用を想定してスケジュール設定は行なっていないが、特定の曜日や日時には点灯させたくないという場合には、スケジュール機能を活用するといいだろう。
通話機能やサイレンは活用しづらいが「備え」として心強い
Ring Spotlight Cam Plusには、マイクとスピーカーを内蔵し、アプリから通話したりサイレンを鳴らす機能が用意されている。
通話については、マイクにノイズキャンセリング機能を搭載していることもあって、比較的クリアに通話できるという印象だ。とはいえ、この機能を頻繁に活用するかというと、なかなか難しい。
Ring Doorbellのように、ドアベルを前提としているわけではないため、いきなりRing Spotlight Cam Plusから話しかけられても、来訪者がびっくりするだけだ。当然ドアベル同様の利用は難しい。
また、スピーカーのボリュームは比較的大きく、周囲に声が聞こえてしまう。そのため、密集した住宅街などでは、利用をためらうことが多そうだ。
同様の理由から、サイレンについても利用をためらってしまう。サイレンは結構けたたましく鳴るため、こちらも近所迷惑という観点から利用をためらってしまう。
とはいえ、これら機能は普段から頻繁に利用するものではないだろう。個人的には、今後活用する機会がないことを願うが、本当の緊急時などに活用する「いざという時の備え」として心強いとも言える。
Echo Showがあるとさらに便利
Ring Spotlight Cam Plusは、他のRingシリーズ同様、基本的にはスマートフォンアプリでリアルタイム映像や録画映像をチェックしたり、各種コントロールや設定を行なうようになっている。
ただ、それに加えてEcho Show用にスキルが用意されており、そちらを活用すればEcho ShowからもRing Spotlight Cam Plusのアラートを通知したり映像を表示できる。
Echo Showと連携させるには、スマートフォンの「Alexa」アプリでRingスキルを追加して連携するRingデバイスを選択すればいい。すると、利用しているEcho ShowでRing Spotlight Cam Plusのアラートを通知したり映像を表示できる。
設定が完了していれば、Ring Spotlight Cam Plusがモーションを検知するとアラートが通知される。また「アレクサ、玄関の映像を見せて」と声をかければ、Echo Showに指定したRingデバイスのライブ映像が表示される。
これら通知や映像のチェックはスマートフォンから行なえるが、リビングなどに設置したEcho Showからもチェックできた方が、いちいちスマートフォンを取り出す必要がなく、はるかに便利という印象だ。
とはいえ、Ring Spotlight Cam Plusはドアベル的な運用は基本的に行なわないものなので、筆者のようにRing Spotlight Cam Plusのみを運用している場合には、通知が多いと逆に鬱陶しいと感じることもある。そういった場合には、Echo Showへの通知はオフに設定しておき、見たい時にリアルタイム映像を表示する、といった使い方にしたほうがいいだろう。
バッテリーはそれなりに減る。ソーラパネル併用がおすすめ
では、1カ月ほど運用した状況などを紹介していこう。
まずはじめに、多くの人が気になるであろうバッテリー駆動時間だ。今回運用中に、バッテリーがほぼフル充電の状態でソーラーパネルを外し、バッテリーのみで運用しつつ、バッテリーの減りをチェックしてみた。同時に、なるべくバッテリーに厳しい条件で計測するべく、動作設定は録画時間を120分、スナップショットの撮影間隔を5分、モーション検知範囲を最大、モーション検知頻度を「頻繁」、カラーナイトビジョンをオン、LEDセンサーライトの明るさを最大に設定した。装着したバッテリーは1個のみだ。
スタート時のバッテリー残量は99%で、1日経過後の残量は86%だった。その後、2日経過で73%、3日経過で61%、4日経過で49%、5日経過で40%と推移。そして、5日と12時間経過時点で残量35%となった。日によってバッテリーの減りに違いがあるのは、モーション検知の頻度が違ったということだろう。この推移を見る限り、最も過酷な使い方をしても、バッテリー1個で1週間程度は問題なく利用できそうだ。もちろん、バッテリーに優しい設定にすれば、より長期間利用できるはずだ。
さて、次にソーラーパネルの実力だ。こちらは、バッテリー駆動時間をチェックした直後にソーラーパネルを装着して、バッテリー残量の変化をチェックした。録画設定なども先ほどと同じままだ。
最終的にソーラーパネルを装着する直前には、バッテリー残量が33%となっていた。それが昼の12時で、その時点でソーラーパネルを装着。当日はよく晴れていて、ソーラーパネルにもさんさんと直射日光が降り注いでおり、ソーラーパネルを装着して5時間後の午後5時頃にはバッテリー残量が65%にまで増えていた。1時間あたり6~7%ほど残量が増えていった計算だ。
ただ、その翌日以降は曇天が続いており、直射日光がほとんど届かない状況が数日続いた。それでもそれ以降バッテリー残量が減ることはなく、翌日の12時に75%、3日目の朝には72%に減ったものの、その日の夕方には75%に戻った。その翌日にようやく日差しが戻ったことで、4日目の12時頃に残量が98%にまで復活した。
ソーラーパネル自体の出力は、4Wとそれほど大きなものではない。しかし、曇天で直射日光が当たらない状態でも、バッテリー残量の推移を見ていると減るどころか増えることが多く、曇天でもRing Spotlight Cam Plusを動作させるのに十分な電力が供給できている。
同時に、先に軽く紹介したように、ソーラーパネルを設置して運用している状態では、数日曇天が続いてもバッテリー残量が70%を切ることはなかった。
ソーラーパネル非装着時のバッテリーの減り方や、曇天時のバッテリー残量の推移なども合わせ、おそらく梅雨時のようにかなり長期間直射日光が届かない状態でも、ソーラーパネルを接続しておけばバッテリー切れになる心配はほぼなく、メンテナンスフリーでの運用が行なえそうだ。Ring Spotlight Cam Plusを運用する場合にはソーラーパネルとの併用を強くお勧めしたい。
画質はもうちょっと頑張ってほしい
このようにバッテリーやソーラーパネルについては非常に満足できるものだったが、肝心の録画データの画質については、もうちょっと頑張ってほしいという印象だ。
Ring Spotlight Cam Plusでは1080p、フルHD画質での録画が可能となっている。しかし、実際に録画されたデータを確認してみると、ちょっと違う印象だ。
明るい昼間はそこそこ鮮明に撮影できているが、それでも720p程度という印象。そして夜間は、SD画質かそれ以下の低画質でしか撮影できていなかった。
もちろんそれでも、家族や知り合いなどは十分に判別できるので大きな問題はない。しかし、知らない人が撮影されている場合、その人の顔が鮮明に録画できておらず、特定は難しいという印象だった。
実は、Ring Spotlight Cam Plusのテスト運用を行なっている間に、一度明け方4時頃に見知らぬ人が玄関前まで侵入し、玄関口付近を見回して帰って行く様子が撮影されていた。これは後日、事件性がないことを確認できてよかったのだが、その撮影データからはその人の背格好や性別は何となくわかるものの、顔は全く判別できなかった。
その場面は、LEDセンサーライトが点灯して撮影できていたので、明るさ不足といこともないはずだ。クラウド録画という仕様が影響している可能性もありそうだが、できればもう少し高画質で撮影できると嬉しい。
同時に、撮影開始がやや遅いとも感じる。モーションを検知して4秒前から録画できるとのことだが、実際の録画データを見てみると、門扉を開けて人が入ってくるような場面でも、門扉を開ける前の部分はほとんどの場合録画できておらず、門扉を開けて玄関前まで入ってきたところから録画が開始されているものが多かった。
これについては、筆者宅の形状や環境による部分も多そうだが、可能ならモーション検知の10秒前ぐらいから録画するようにしてもらいたい。
また、ネットワークの問題で撮影できていないトラブルもやや多い印象。屋内のアクセスポイントを、Ring Spotlight Cam Plus設置場所で十分な電波強度を得られるように設置場所を変えたりもしたのだが、録画やスナップショットの保存が数時間途切れるということが頻繁に発生している。
無線LANを利用し、屋内のアクセスポイントに屋外から接続するという仕様上、しかたのない部分もある。建物の構造によっても大きく変わってきそうだが、無線LANまわりについては、場合によってはRing Spotlight Cam Plus設置場所近くに中継機を設置するなど、かなり繊細な調整が必要そうだ。
全体的には非常に満足できる
今回見てきたようにRing Spotlight Cam Plusは、画質やネットワーク回りで少々気になる部分もあるが、全体的にはよくまとまった製品という印象だ。なにより、バッテリーと無線LANを利用することで完全ワイヤレスで利用できるのに加えて、オプションのソーラーパネルを併用すればほぼメンテナンスフリーで利用できるというのは、設置の容易さや設置場所の自由度の高さと合わせて非常に大きなメリットと感じる。壁に穴を空けてケーブルを敷設する必要もないし、設置器具を選べば賃貸住宅でも問題なく活用できる。
もちろん、スマートフォンアプリやEcho Showとの連携で、場所を問わず通知を受け、映像を確認できるという点も、大きな魅力だ。同様のことは一般的なセキュリティカメラでも実現可能だが、専用アプリやEcho Showと組み合わせ、難しい設定作業もほとんど不要で利用できるというのは、Ringシリーズの大きな強みと感じる。
フル機能で利用するには、有償のRingプロテクトプランへの加入が必要だが、それもBasicプランで1台あたり月額350円または年額3,500円と、そこまで高額ではない。録画用の記録メディアを用意したり、それらの設定なども不要と考えると、十分納得できる金額だ。
本格的なセキュリティカメラとしての運用には、画質や常時録画ではないという点で少々物足りない部分もある。それでも、手軽にセキュリティカメラとセキュリティライトを設置して運用したい人には、Ring Spotlight Cam Plusは十分に満足できる製品であり、お勧めしたい。