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Wise、資金移動業者初の全銀システム連携を開始 国際送金を高速・低コスト化
2025年11月25日 12:30
海外送金や決済サービスを展開する「Wise」の日本法人ワイズ・ペイメンツ・ジャパンは25日、「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」への接続を完了した。日本で初めて全銀システムに接続した資金移動業者となり、国内の円建て送金をほぼ即時に処理できるようになる。
全銀システムは、振込などの金融機関相互間の国内の為替取引をオンライン処理するシステム。これまで、全銀システムの参加資格は銀行などに限定されていたが、22年に参加資格を資金移動業者へ拡大し、Wiseが資金移動業者として初めて接続することとなった。
また、Wiseによる全銀システム接続は、既存の中継コンピューターシステムではなく、新たに構築されたAPI経由で接続。API経由で日本銀行と直接当座預金取引を開始する初の資金移動業者になる。
従来、Wiseで送金する際には、「仲介銀行」経由で接続していたが、仲介者が増えることにコストや時間などが増えることになる。直接接続により、取引速度の向上と、コスト削減などが図れる。
また、今回全銀システムに接続したことで、総合ATMスイッチングサービスを介した受け取り名義人の確認が可能となる。受取人口座名義情報が、銀行の記録と一致することを確認し、安心して送金できることをサポートする。送金において、カタカナでの名義人入力の不一致により、遅延が発生するという課題を解決できるという。
全銀システム連携のメリットは、「送金スピードの向上」「受取人口座名義確認機能」「エラー発生率の大幅な削減」。
送金スピードについては、国内での送金がほぼ即座に完了。具体的な数字は出していないが、Wiseでは全送金の74%が20秒以内に到着している。Wiseではイギリス(FPS)、ヨーロッパ(SEPA)、ハンガリー、シンガポール(FAST)、オーストラリア(NPP)など、8つの国内決済システムに接続しているが、20秒以内の送金は5年前の33%から大幅に改善しているという。
例えば、オーストラリアではNPPとの直接により、即時送金が24%から83%に向上。これを全銀システム接続により日本でも実現するのが今回の取り組みの主な目的としている。また、海外送金の手数料も平均で0.52%まで抑えている
受取人口座名義確認情報では、送金実行前に受取人の口座名義が正しいかどうか確認できるようになる。全銀システムに直接していない資金移動業者にはこの機能は備わっておらず、ここを解決している点がWiseの特徴という。
エラー発生削減は、上記の受取人情報の事前確認により、決済エラーや払い戻しが劇的に減少。これはサービス運用コストの改善にもつながり、将来的な手数料の引き下げが見込まれるという。なお、25日時点では具体的な手数料削減を発表できないが、仲介業者がいなくなることによる、削減効果とあわせて、継続的な手数料削減を目指す。
また、仲介銀行がなくなることから、信頼性とセキュリティの大幅な向上が見込まれる。
WiseのChief Banking & Expansion Officerを務めるDiana Avila氏によれば、グローバルのクルスボーダー取引は、32兆ポンドに及ぶ大きな市場となっており、このなかでWiseが個人の送金で5%、企業の1%を担っている。国際送金の仕組みは複雑で、多くの関係者が関わる中、時間、コストの面で多くの課題があるとする。
海外送金の手数料は6.49%。日本を含むG20各国では、2027年までにこの手数料を3%まで削減する目標を立てており、グローバルで統一したネットワークをもつWiseには大きな強みがあると説明。日本においても、Wiseの拡大が多くの機会を生み出すとした。










