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NTTとOptQC、2030年に実用レベルの光量子コンピュータ
2025年11月18日 12:58
NTTとOptQCは、スケーラブルで信頼性の高い光量子コンピュータの実現に向けた連携協定を締結した。量子コンピュータの実用化に不可欠な「スケーラビリティ」と「信頼性」を確保するため、光増幅技術や光多重化技術などの光通信技術を光量子コンピュータの開発に応用し、大規模で複雑な社会課題の解決に貢献する光量子コンピュータの早期実用化を目指す。
現在、世界各国でさまざまな方式の量子コンピュータが研究開発されているが、多くは低温や真空といった特殊な環境が必要で、実用化には高い技術的ハードルがある。しかし、光の特性を活用する「光量子コンピュータ」は、消費電力が低く、常温・常圧で動作可能な新しいアプローチとして注目されている。
NTTは、光の技術を軸としたIOWN構想のもと、光通信分野において、量子光源としても活用可能な技術や量子分野への応用が期待される誤り訂正技術の研究開発を推進。光量子コンピュータへの応用を開始している。例えば、光増幅技術を活用した量子光源により、世界に先駆けて従来の1,000倍以上高速な量子の生成を実現した。
OptQCは、東京大学における25年にわたる光量子コンピュータの基礎研究を土台として設立されたスタートアップ企業。常温・常圧で動作する新型光量子コンピュータの世界初の実現や、光増幅器を用いた超広帯域量子測定、誤り訂正のための量子ビット生成など、光量子コンピュータの根幹をなす様々な技術を実現してきたメンバーが中心となっている。
現在は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」で1万量子ビット光量子コンピュータの開発を進めている。
今回の取り組みではNTTの光通信技術と、OptQCの光量子コンピュータ開発技術を融合。スケーラブルで信頼性の高い実用的な光量子コンピュータの実現を目指す。具体的には、量子コンピュータの実用性の指標となる100万量子ビット規模のスケーラビリティと、信頼性を担保する誤り耐性技術の確立を、2030年までに達成することを目指していく。
共同研究の内容は下記のとおり。
- 光量子コンピュータに活用可能な多重化技術や誤り訂正技術の創出
- 光量子コンピュータを用いたユースケース創出やアルゴリズム・ソフトウェアの開発
- 光量子コンピュータのサプライチェーン
- 光量子コンピュータやユースケースの社会実装
両社は今後5年間にわたり共同検討を実施。初年度は技術検討に着手するとともに、ユースケース創出に向け、賛同したパートナーとの連携を推進。2年目には開発環境を構築し、3年目にはユースケースの検証を実施する。
