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KDDI決算は注力領域が堅調 マネ活プラン等でARPU向上 NTT法にも意見

KDDI高橋誠社長

KDDIは2日、2024年3月期第3四半期決算を発表した。連結売上高は、前期比2%増の4兆2,655億円で、連結営業利益は楽天ローミング収入が減少したものの、注力領域の成長により、前期比0.4%増の8,479億円となった。

KDDI高橋誠社長は、決算発表の前に、能登半島地震における復旧の進捗について報告。移動/既存基地局へStarlinkを200台、避難所にも500台のStarlinkを活用しているほか、避難所における無線LAN、充電設備の設置など、復旧に向けた取り組みを進めている。

今期の総合ARPU収入(一人あたり月間収入)は4,924円で増加傾向にあり、内訳は通信が3,737円、金融など付加価値ARPUが1,187円。また法人などのビジネスセグメントも成長している。

KDDIでは、au/UQなどの通信ARPUのほか、金融やエネルギー、エンタメなど付加価値サービスによるLTV(生涯顧客価値)の最大化を成長戦略に掲げているが、マルチブランドID(au、UQ、Povo)は3,106万件で、期初予想の3,100万を前倒しで達成。UQ mobileを中心に新規契約が増加し、auからUQへの移行比率の低下により、ARPUを維持しながらID数を拡大している。通信の大容量化に伴い、auやUQの中大容量プランが選ばれているという。

金融等の付加価値ARPUでは、端末補償や店頭サポートなどが伸びたほか、クレジットカードや住宅ローンが好調。また、新NISAなどで高まる金融サービスへの期待と、金融サービスと連携して通信料金を割引する「auマネ活プラン」も加入増となっており、ARPUの増加とともに解約率低下にも繋がっている。

金融事業は、顧客基盤が順調に拡大。中でもau PAYクレジットカードが伸びており、ゴールドカードは、auマネ活プラン連携などで前年同期比48.6%増の107万件と大幅に増加した。マネ活プランでは、他のプランに比べてau PAYカードの店頭加入率が4.4倍で、ゴールドカード選択率も3.5倍となるなど通信とのシナジーが広がっているという。

5G基地局は3月末に9万局となるほか、24年からは新周波数であるSub 6の利用を本格化。「体感品質の向上を図る」とする。Starlinkによる山間部等の利用シーン拡大や、災害対応など「非日常シーン」での活用を強化する。

法人事業においては、ブランドを「KDDI BUSINESS」(KDDIビジネス)とし、国内・海外含めて法人事業の新ブランドとして展開。5GやIoTなどのモバイル、クラウド、データセンターなど法人向けサービスやソリューションを強化していく。

決算会見においてKDDI高橋社長は、「NTT法についてどなたからも質問が出なかったので、コメントさせてください」と切り出し、「能登半島地震でも実感したのは、Starlinkや船上基地局を駆使して応急復旧できたが、安定的な本復旧には光ファイバーの確保が前提となる。光ファイバー網については、管路や電柱局舎、局舎など、NTTのみが保有する特別な資産をベースにモバイルなどの通信サービスを構築してきた。それは5GでもBeyond 5Gでも変わらない。光ファイバーを含む特別な資産は、通信事業者間の公正な競争を担保するだけでなく、災害時・有事・国民生活が脅かされる非常時にも、利用が確保されるようNTTが特殊法人として管理・維持する責務を国民に対して負っているもので、それを担保する仕組みがNTT法。国民にとって極めて重要なNTT法の見直しは、研究成果の開示義務など時代遅れな点については異論ない。しかし、『25年廃止』について、廃止を前提に時限付きで議論を進めようとしていることには、非常に違和感を覚えている。非公開の自民党PTの議論による提言をもって、強引に進めないよう、我々としても意見していきたい。皆様も興味を失わないで欲しい」と報道陣に呼びかけた。