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「都立明治公園」が開園 3つの広場と700本の植樹

Tokyo Legacy Parks(TLP)は、東京都初のPark-PFI事業「都立明治公園」を一部開園した。2024年1月に園内の商業施設が開業予定で、これにより全体開園となる。TLPは、東京建物を代表構成団体とし、三井物産、日本工営都市空間、西武造園、読売広告社、日テレ アックスオンを構成員とするコンソーシアムが設立した団体。

都立公園として初めて都市公園法に基づく公募設置管理制度(Park-PFI)を活用し、新たな公園の整備・管理運営を行なうもの。園内には、約1,000m2の芝生広場「希望の広場」や渋谷川をモチーフにした水景を取り入れた「みち広場」など3つの広場と、約7,500m2を有す樹林地「誇りの杜」を整備。5棟の店舗棟(公募対象公園施設)を配置し、計6テナントを誘致することで、にぎわいを創出する。

青線で囲まれているのが今回開園したエリア
国立競技場に直結

国立競技場前庭空間の約1.6haを事業対象地とし、事業対象地と既存公園との接続を担う歩行者デッキ1号・2号についても約20年間維持管理を行なう予定。

3つの広場と700本の植樹

公園内には、国立競技場を臨むシンボル的な位置づけの「希望の広場」、円形デザインが特長の「インクルーシブ広場」、渋谷川の水景を現代風にアレンジし再現した「みち広場」の3つの広場と、約7,500m2を有す樹林地「誇りの杜」を整備。

「希望の広場」は、国立競技場と同じ天然芝(約1,000m2)を敷き詰め、イベント会場としての利用も想定しており、広場を囲うようにベンチデッキを配置している。

広場を囲うようにベンチデッキを配置

「インクルーシブ広場」は、人工芝を使い、取り外し可能な遊具を設置した広場。遊具を取り外し可能にすることで小規模なイベント用にも活用できる。

外周部は子供が滑り台にできる
外周部に柵を使わず開放的なイメージとした

「みち広場」は、従来設置してあった擁壁を撤去し、園路、せせらぎ、樹木、草土手を整備。せせらぎとして流れるのは「渋谷川」で、往年の姿を想起させるような傾斜を利用した景観としている。また、外苑西通りに面して桜の木も植樹している。

流れているのは「渋谷川」
往年の土手をイメージした作り
街路樹として桜も植えている

「誇りの杜」は、100年後に東京のレガシーとなる杜を実現するため、敷地約7,500m2に60種、落葉樹約508本・常緑樹214本を植樹。短期的な見た目の美しさにとらわれず、長期的な目線で考え落葉樹をメインに植樹した。木々の間に差し込む光で、低木や地被植物など杜全体をバランスよく生育していく。100年の杜の実現に向け、まずは人の手を入れながら土台を作り、その後は自然の力も活用して自成する杜を目指していく。

約700本を植樹
遊歩道も整備
杜の中に芝生の広場も整備している

公園内は最大8mの傾斜があり、排水のための工夫も行なった。最も高い位置にある「誇りの杜」から、石を敷き詰めた排水用の流れを作り、雨天時には小川のような流れになって下流に排水される。

石が敷き詰めてある場所に水が流れ、排水する

園内には、6つの店舗を計5棟の建物で展開予定。分棟配置をすることで、事業期間終了時に店舗を撤去した後も公園内に大きな空白地が生じない配慮をしてている。各棟には、カフェ、リラクゼーション施設、レストラン、アウトドアアクティビティショップなどが入居予定。

建設中の店舗施設
管理棟とトイレ。ジェンダーフリートイレも備える
管理棟にはベビーケアルームも

その他、カメラを備え、来園者数の測定を行なえる「スマートポール」を各所に設置。AI Beaconなどを利用して、平均訪問回数や来場者数の測定などが可能。データは大規模イベント開催時などに園内が混雑した際にそなえ、警備計画を策定する場合などに利用する。

デジタルサイネージも備え、施設やイベント情報などを掲出する。

所在地は、東京都新宿区霞ヶ丘町地内、渋谷区神宮前二丁目地内。敷地面積は16,179m2

なお、11月3日には地域の学校や団体と連携し、「明治公園祭」を開催。広場では、学生による演奏や国立能楽堂によるステージ、ヨガ体験などを行なう。また、日本将棋連盟が将棋を気軽に楽しめるエリアを展開するほか、千駄ヶ谷まちづくり協議会と連携して地域の店舗や津田塾大学・文化服装学院などを誘致し、様々なフード・ワークショップなどを提供する。