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NTT、データを暗号化したまま処理する「秘密計算」国際標準化

NTTが研究開発を行ない標準化活動を推進してきた、データを暗号化したままで処理ができる秘密計算技術について、初の標準規格「ISO/IEC 4922-1:2023」が国際標準化機構(ISO)から発行された。

さまざまなデータを共有し、他分野での利活用が進む中、機密データについては情報漏洩や不正利用の懸念から、データの共有には課題がある。その解決策として期待されているのが、データを暗号化したまま一度も復元せずに処理ができる「秘密計算技術」となる。

NTTでも長年技術開発に取り組んでおり、社会普及に向けた実証実験や、先進的な秘密計算サービス「析秘(せきひ)」の実現に向けた技術提供も行なってきた。標準化にも積極的に取り組んでおり、秘密計算技術の前提となる技術である秘密分散技術についてもISO標準規格の作成を主導し標準化に貢献している。

秘密計算技術は学術的には古くから知られた技術であるが、様々な定義や評価軸が存在していたため、専門家以外がそれらを正しく理解して利用することは難しく、他者との意思疎通の際に異なる定義や用語を用いてしまい共通認識を得られにくいという課題があったという。

NTTはISO/IECにおいて秘密計算技術の規格化を一から提案し、エディタとして各国への働きかけや文案のとりまとめ等の活動を通じて規格作成を主導してきた。その成果として、2023年7月に秘密計算の初のISO規格である「ISO/IEC 4922-1:2023」が発行されている。

今回発行された規格は秘密計算技術の定義、秘密計算技術に関する安全性の評価軸やユースケース例を規定しており、様々な分野においても秘密計算技術について同じ用語で説明することが可能となり、共通認識が持てるようになった。

また、今回の標準規格に続くかたちで、特に秘密分散技術を利用した秘密計算の方式を規定する「ISO/IEC 4922-2」も規格化の最終段階に入っており、同じくNTTが規格化を主導している。

今後は、安全なデータ流通社会の実現に向けて、引き続き秘密計算技術の標準化に取り組んでいくほか、同社が推進する「IOWN」構想の主要機能の一つとして研究開発に取り組む方針。