ニュース

会議室の机は“半円形”が最適。イトーキが考えるこれからのスマートオフィス

イトーキは、今後のオフィス製品の展開について「スマートオフィスコンセプト」を発表し、直近の新製品や背景にある考え方を解説した。

イトーキの考えるスマートオフィスとは、純粋なオフィス家具を提供するだけでなく、テクノロジーを掛け合わせて「体験」をより重視した空間の実現を目指すというもの。コロナ禍を経て、オフィスは従来の効率重視の場所から、より従業員が中心になり、創造性を発揮しやすい場所、例えば快適で落ち着けたりワクワクしたりするような、ポジティブな空間に作り変えるという動きが続いている。

「テック×デザイン」を掲げ新たなオフィス空間の創出を図る

イトーキは近年、大型モニターや会議用Webカメラ、スピーカー、マイクといった、従来のオフィス家具では範疇に入らないAV・IT製品をセットにした製品を開発しており、2023年はこうした取り組みを進めた新製品がさらに登場する。

テクノロジーとデザインを掛け合わせた製品の展開を始めている

またクラウドやAIを活用して、データでオフィス全体の“使われ方”を可視化する取り組みも提供する。従業員の行動のほか、レイアウト変更の参考にするといった活用が可能で、働く環境の継続的なアップデートを可能にする。

「テック×デザイン」はデータ分野にも及ぶ
オフィスの継続的なアップデートに対応する
2023年の新製品のコンセプト

オフィス家具の具体的な新製品のうち、8月発売予定の「Panora」(パノラ)や、今冬発売予定の「sound sofa」(サウンドソファ)といった製品は4月に発表されており、4月末に開催された展示会「オルガテック東京2023」でもイトーキのブースで展示されていた。

こうした新製品群の主要なテーマは、オフィスに一定の人が戻る状況になっても、テレワークとの協働により会議はWeb会議が主流で、そこで表面化している不満や課題の解決を図ろうというもの。

例えば“ファミレス席”などと呼ばれるボックス席タイプの「sound sofa」は、指向性スピーカーを用いて音を外部に漏れにくくして、オープンスペースの席でもWeb会議の快適性を向上させるという製品になっている。

sound sofa
発売中の「sound parasol」。上部の傘から出るスピーカーの指向性の高い音は座席周辺でよく聞こえるものの、距離をとると聞き取りにくくなる
「sound parasol」の座席数が少ないタイプ

ハイブリッド会議で“外野”をなくす半円形テーブル

Panora

「panora」はWeb会議の在り方をもう少し根本的に見直す製品で、4~6人で使用する一般的な縦長の会議室に対して、半円形のテーブルの設置を提案するのが最大の特徴。高さ1mの立位タイプもラインナップする。

一般的な長方形の会議室において、よくある短辺ではなく、長辺に大型モニターを設置。その上で、ハイブリッド会議テーブルと呼ぶ半円形(扇形)のテーブルに参加者が着席する。全員が等しくモニターを見られるレイアウトとなり、モニターに映し出される資料のほか、遠隔の参加者の映像や表情も常に視界に入る形になる。また広角レンズのWebカメラを設置することで、遠隔で参加する人はテーブルに扇状に座る会議室の参加者の表情を見られて、円卓の一部に参加しているような感覚になるとする。

半円形テーブルは全員がモニターを見られて、遠隔の参加者の様子も確認しやすい
遠隔の参加者はモニター下の広角カメラにより、円卓に参加している感覚
テーブルは中央部に大型の収納部がありテーブル上をすっきりとまとめられる
より活発な議論に向くという立位タイプも用意。ホワイトボードの併用とも相性が良い

このレイアウトは、実際にはWeb会議だけでなくオフラインの会議でも有効で、全員の正面に資料を表示でき、お互いの表情を確認しやすいといったメリットがあるという。従来は、モニターがみずらいテーブル隅の席が“外野”になってしまうという課題や、Web会議の参加者が会議室の様子についていけず疎外感を感じるといった問題があったところを、「panora」は会議室内のテーブルのレイアウトで解決するという製品になっている。

イトーキのオフィス内に設置されたPanora。これは立位タイプでハイチェアが組み合わされている。ディスプレイは21:9タイプ
会議室での参加者同士、遠隔の参加者とも一体感が出る
遠隔の参加者が見る会議室の映像。会議室のメンバーと向かい合っている感覚

木質化で心地よさを向上

イトーキはこのほか、オフィス家具の木質化も進めている。居心地のよさや環境配慮といったさまざまな側面があり、テーブルの天板だけでなく、木材を使うパーティション(可動間仕切り)の「FEELS」(フィールス)や、休息スペースなどに向けた木製フレームシステム「solmio」(ソルミオ)を開発している。

このうちパーティションの「FEELS」は、天井と接続されるため、不燃対応についての基準を満たした国内初の製品としている。具体的には木材の裏にアルミを組み合わせることで、燃焼時の炭化や剥落を抑止する仕組みになっているという。

FEELS
FEELSは天井と接続されるため不燃対応も行なわれている
solmio
イトーキ本社でこの春に改装されたフリーレイアウトのフロア。最新のコンセプトの製品が導入されているほか、中央に“通り”を、右の窓側は屋外のイメージ、左の壁側は室内のイメージでライティングされている

リアルタイムにオフィスの状況を把握

イトーキはオフィスのさまざまなデータを活用するソリューションも提供している。従業員のパフォーマンスやコンディション、所在などを確認する生産性の把握に関連するシステム「Performance Trail」(パフォーマンストレイル)に加えて、オフィス家具やオフィス空間の利用状態をデータで把握するシステム「Workers Trail」(ワーカーズトレイル)も提供している。

今後はこの2つのシステムを組み合わせて、AIによりデータの解析なども活用しながら、オフィスの使われ方を分析したり、今後のレイアウト変更に活用するといったことが可能な「ITOKI OFFICE A/BI」を提供する。これはデータ統合プラットフォームとなり、生産性、活動、稼働といった、オフィスの人・モノのデータをリアルタイムに把握できるようになり、オフィス環境の継続的なアップデートを可能にする。「ITOKI OFFICE A/BI」は2024年に提供が開始される予定。

2024年に「ITOKI OFFICE A/BI」を提供予定
エリア別の稼働率などを把握可能
イトーキのオフィスではすでに導入。人・モノの総合的な可視化に取り組む