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freee、インボイス制度対応の販売管理サービス。会計ソフトと連携

freee会計・freee人事労務を中心にバックオフィス業務の効率化に向けたサービスを提供してきたfreeeは、新たに販売管理領域に参入。販売管理サービス「freee販売」の提供を開始した。

案件の見積り、請求書の発行や回収といったフロントオフィス業務の効率化に向けたサービス。2023年10月から始まるインボイス制度の適格請求書フォーマットにも対応した請求書の発行が可能なサービスとして提供する。また、クラウド会計ソフトと一体型で使える販売管理サービスの提供は国内初としている。

販売管理とは、取引先(顧客と仕入先)とのやり取りで「お金」と「モノ・サービス」の流れを管理すること。「何を・誰に・いつ・どこで・いくつ・いくらで」販売したのか、また請求や代金の回収は済んでいるのかなどを管理する。問い合わせから請求まで、一連の流れの合間に必要となる、記録や見積書・請求書の作成をする作業を、freee販売でサポートする。

freeeによる調査では、販売管理を紙・Excelで行なっている小規模事業者は約76%にのぼるという。販売管理ソフトを導入している場合も、発注管理・受注管理・案件管理などそれぞれ単体のツールを利用しているケースが多いと指摘する。

こういった従来の販売管理業務の課題として、「入力・転記作業の負担」「請求漏れ・支払い漏れ」「収支実績や粗利率が分からない」の3つを挙げる。

入力・転記作業においては、紙・Excelへの細かい入力や、ツールの分断による入力の繰り返しなどの手間が発生。請求漏れ・支払い漏れについては、小規模事業者の場合、専任の経理担当が不在で経営者もしくは現場担当者が請求書の作成などを行なうことが多く、事務作業を後回しにしてしまい、結果漏れてしまうケースを挙げる。収支実績や粗利率については、受注した案件を納品してから人件コストや仕入価格を整理し原価を洗い出してみると実は赤字で請け負っていたケース等もあるという。

そのほか、社内共有されている案件管理表を他の社員が上書き保存して記入していた内容が消えてしまったり、取引先に送付した見積書に誤りがあったりといった、小さなトラブルが工数、人件コストの増加、結果的な赤字に繋がることもあるとする。

こういったスモールビジネスにおける従来の販売管理の課題を解決するため、freee販売を開発した。

特徴の1つ目は、転記作業不要で、入金・支払い期日も自動で管理される点。複数のExcelやツールによる転記作業の手間が原因で管理が疎かになりがちであることから、freee販売では最低限の入力のみで転記作業を一切不要とした。また見積書や請求書を作成することで、自動で入金・支払いの期日を管理画面上で表示する。

特徴の2つ目は、関数・グラフ作成不要で、自動で売上・利益を可視化できる点。入力したデータから損益データを自動収集してグラフを生成するため、複雑な関数やグラフ作成を行なうことなく、案件単位で損益を把握できる。

特徴の3つ目は、freee会計とのデータ連携で、会計仕訳の登録や、請求・入金状況の確認をリアルタイムで行なえる点。freee会計・freee販売それぞれの管理画面から1クリックで遷移でき、案件毎に遡りたい情報に辿り着ける。

freeeの比較調査では、Excelで書類作成した場合年間480時間の工数が発生するのに対して、freee販売を利用した場合年間384時間の工数削減に繋がるとする。

また、インボイス制度に向けて対応が必要となった「税率ごとの消費税額及び適用税率」および「適格請求書発行事業者の登録番号」の項目にも対応した適格請求書の発行が可能となっている。

料金は月額基本料金980円+ID料金1人あたり月額200円。サービスリリースを記念して、2023年4月末までに年間プラン契約の場合、ID料金を何名でも無料とするキャンペーンを実施する。従業員数が多いほど販売管理も煩雑になることから、従業員数が多い事業者にとってよりメリットのあるキャンペーンを実施する。

freee販売は、当面はWeb制作やIT受託開発、コンサルティングといった、無形商材ビジネスかつ個別の受注を受けて納品を行なう事業者をターゲットとする。今後は有形商材の事業者向けに在庫管理機能の追加、見やすさ・使いやすさを重視したグラフ表示、稟議承認機能など、販売管理に必要な機能を開発し、ターゲット拡大を目指す。

freee freee販売開発責任者 佐藤顕範氏