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阪急・阪神、全駅ホーム柵設置へ 運賃に「バリアフリー料金」加算
2022年8月4日 13:17
阪急電鉄と阪神電気鉄道は、バリアフリー料金制度を活用し、全駅にホーム柵を設置する方針を明らかにした。エレベーターの設置などバリアフリー設備の整備も進める。2023年度からは運賃にバリアフリー料金を加算、1回の運賃や定期券で規定の額が徴収される。
阪急電鉄
阪急電鉄では2040年度末頃までに全駅に可動式または固定式のホーム柵を設置する方針。現在は十三駅(3・4・5号線)と神戸三宮駅の2駅に可動式ホーム柵を設置している。
エレベーターやスロープを設置する段差解消のバリアフリー化は約98%にあたる84駅で整備済み。駅の構造上、唯一バリアフリールートの確保が困難としていた中津駅は、エレベーターを新規に設置する予定で、全駅のバリアフリー化を目指す。
阪急の2021~2035年度の期間のバリアフリー整備費用は900億円以上になる見込み。今後は鉄道駅バリアフリー料金制度を活用、2023年度からは運賃に10円を加算し、徴収した料金はすべてバリアフリーの整備費に充てる。2023~2035年度までの13年間の総徴収額は約478億円で、整備費用の半分程度になる。
阪神電鉄
阪神電鉄では2042年頃までに全駅に可動式または固定式のホーム柵を設置する方針。現在は大阪梅田駅1番線と神戸三宮駅の2駅で可動式ホームを設置している。
エレベーターやスロープを設置する段差解消のバリアフリー化とバリアフリートイレは、整備の対象になる46駅ですべて整備済み。未整備駅も検討を進める。
阪神の2022~2035年度の期間のバリアフリー設備費用は約320億円以上になる見込み。今後は鉄道駅バリアフリー料金制度を活用、2023年度からは運賃に10円を加算し、徴収した料金はすべてバリアフリーの整備費に充てる。この制度による2023~2035年度までの13年間の総徴収額は約176億円を見込む。
鉄道駅バリアフリー料金制度
阪急、阪神の取り組みは、いずれも2021年12月に国が創設した鉄道駅バリアフリー料金制度を活用するもの。鉄道駅バリアフリー料金制度は、全国の鉄道施設のバリアフリー化を加速させることが目的の制度。都市部では、運賃に10円を加算するなどして、利用者から薄く広く徴収する料金設定を事業者に認めることで、各社がバリアフリー整備費用を早期に確保することを促進させる。地方部ではバリアフリー化に関連する国からの補助率が引き上げられる。