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大雨の原因となる「線状降水帯」を自動検出。気象庁が運用開始

防災科学技術研究所、日本気象協会及び気象庁気象研究所は、大雨を降らせる原因となる「線状降水帯」を自動検出する技術を開発。気象庁に採用され、6月17日から運用が開始される。

これまで学術的に用いられてきた線状降水帯の検出手法を踏まえたもので、解析雨量や気象庁の危険度分布を活用。災害発生の危険度が急激に高まっている地域での線状降水帯を検出することが可能で、警戒レベル4相当(自治体が避難指示を発令する目安)以上の状況があることを把握できる。気象庁で運用が開始され、災害発生の危険度が急激に高まっていることをしらせるための解説情報として配信される。

気象庁気象研究所の研究によると、台風の直接的な影響によるものを除く集中豪雨の6割以上は、線状降水帯によって引き起こされているという。線状降水帯による被害は、2017年7月5日九州北部、2018年7月5日全国(広範囲)、2019年8月26日佐賀県、2020年7月4日熊本県及び7月6日九州北部など、毎年のように発生している。

日本気象協会は2019年から、線状降水帯の自動検出を目的としたリアルタイム監視システムを構築し、九州各地の自治体と実証実験を行なってきた。検出した線状降水帯は、その領域を楕円で近似することで、その位置と形状(範囲)を4つの変数(中心位置、長軸半径、短軸半径、及び回転速度)で表現でき、他の情報(大雨警報発表地域等)と位置を重ね合わせることができる。

この技術を元にさらに検出条件を厳しくしたうえで、警戒レベル4相当以上の状況を想定した、危険性の高い線状降水帯を年平均44回程度検出できるようになった。

開発された技術では、下記の4つの検出基準を満たす雨域を線状降水帯として自動検出する。

1. 3時間積算降水量が100mm以上の分布域が線状(長軸対短軸の比が2.5以上)
2. その面積が500km2以上
3. 上記1の領域内の3時間積算降水量の最大値が150mm 以上
4. 大雨警報(土砂災害)の危険度分布において土砂災害警戒情報の基準を実況で超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)又は洪水警報の危険度分布において警報基準を大きく超過した基準を実況で超過

今後は、線状降水帯の予測にも貢献できるよう、検出技術の向上を進める。