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トヨタ、「ポータブル水素カートリッジ」開発

トヨタとその子会社であるウーブン・プラネット・ホールディングスは、手軽に水素を持ち運びできる「ポータブル水素カートリッジ」のプロトタイプを開発した。静岡県裾野市で建設を進めるWoven City等での実証を通じて実用化に向けた検討を進める。

ポータブル水素カートリッジのサイズは、直径約180mm、全長約400mm。重量約5kg。パイプライン無しで生活圏に水素を持ち運び可能で、容易に交換することができるのが強み。汎用性の高い仕様とすることで、幅広い用途に適用していく。また、小規模なインフラで対応可能なため、災害時にエネルギーの供給が途絶えた地域などでもエネルギーを供給できる可能性がある。

両社は、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの中で、水素は有力な選択肢の一つと位置付けている。水素は現在、主に化石燃料から生成され、肥料製造や石油精製工程といった工業・産業用として利用されているが、使用環境ごとに安全基準も異なり、生活を支えるエネルギーとして幅広い用途では利用しにくい。

しかし、利用時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーであり、将来、風力、太陽光、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーを使って水素を製造すれば、製造工程においてもCO2の排出を抑えることが可能になる。また、燃料電池システムと組み合わせて発電させたり燃焼させることでもエネルギーが得られる。

Woven Cityでは、モビリティや様々なアプリケーションなどに使用することを検討。Woven Cityに住む発明家らとともに、さらなる水素カートリッジの可能性も模索する。さらに今後の実証を通じて高圧水素タンクの前提で設計・開発を進め、より使いやすい水素カートリッジとなるよう、改善を重ねていく予定。また、ENEOSと共同で、「つくる」「運ぶ」「使う」という一連のサプライチェーンの実証も行なっていく。

なお、6月3日~5日に富士スピードウェイで開催されるスーパー耐久シリーズ2022 第2戦において水素カートリッジのプロトタイプの展示を行なう。