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親しくなくてもLINEで繋がる。エンタメが進化。LINEの4時間発表会

「LINE CONFERENCE 2019」会場入り口に設営されていた巨大看板

6月27日開催の「LINE CONFERENCE 2019」では、慎ジュンホ 代表取締役 CWO(Chief WOW Officer)、出澤剛代表取締役社長による基調講演のほか、各部門別責任者によるプレゼンも多数行なわれた。13時のスタートから17時頃までトータルで約4時間という大ボリュームイベントの模様を、ダイジェストでご紹介する。

LINEは“朝から寝るまで”のプラットフォームへ。ミニアプリ・AI・スコア

グループ機能を大幅強化する「OpenChat」

LINEアプリの基軸であるコミュニケーション機能の分野では、今夏をメドに新機能「OpenChat」が導入される。LINEは現在、国内だけで8,000万人、グローバルでは約2億人が利用する巨大プラットフォームへと成長したこともあり、“親しい関係にある人とだけ”と使うツールではなくなってきている。

特にグループトーク機能を通じて、会社への出退勤連絡、マンション理事会の日程調整、就職活動の情報収集など、非プライベートな領域でもLINEが使われているのが実情だ。また趣味の分野では、特定のゲームのプレイヤー同士、アーティストのファンたちが交流したいという需要がある。

稲垣あゆみ氏(上級執行役員 LINEプラットフォーム企画統括)

ただし、既存のグループトーク機能には、限界もあった。例えば、プロフィールの扱いはその1つだ。稲垣あゆみ氏(上級執行役員 LINEプラットフォーム企画統括)は、保育園に子供を通わせる親の立場として、その保育園のLINEグループに入っているが、そこで自身の名前を出しても、他の参加者からみた場合には個人の認識がしにくい。むしろ「○○ちゃんのママ」としてプロフィールを出せた方が、親同士の連絡には重宝する。

また、グループに別のメンバーを参加させたい場合、事前に友だち登録が必要であったり、途中からグループに参加したメンバーは過去のトークを参照できない、グループ参加者であれば誰でも無制限に参加者の招待・退会ができてしまうなど、規模が大きなグループにとってはなにかと機能不足な面があった。

OpenChatではこれらの課題を大幅に改善する。トークルーム別にプロフィールが切り替えられる他、管理者機能を強化。承認制、あるいはルームコードを知っている人だけが参加できるグループなどが運用できるようになる。

なお、OpenChat機能は今夏の正式提供に先駆け、先行利用者の募集を開始している。

OpenChatの特徴
OpenChatは、通常のトークリストと同じ場所に並ぶ

LINE NEWSは国内最大のニュースプラットフォームへ、動画も強化

LINEアプリ内で提供される「LINE NEWS」は、月間利用者数6,500万人、また2019年5月には月間PVが100億を突破。島村武志氏(上級執行役員 ポータル・メディア事業統括)「国内最大のニュースプラットフォーム」への成長を力強くアピールした。

LINE NEWSは月間100億PVを達成

現在はAIを用い、LINE NEWSにトップ表示される記事をユーザー別に出し分けるなどの対応を行なっている。また、出版社向けには「LINE MOOK」の機能を提供。雑誌を“縦スクロール”で読むためのインターフェイスなどが用意している。

今回のカンファレンスでは動画関連の新機能・新サービスが2つ発表された。「Replay Cast」は、ネット同時配信されるテレビ番組向けの機能。放送内容の一部をリプレイ動画にし、これをLINEでプッシュ通知する。集客・告知効果に加え、そのままネット視聴への誘導も可能になるとしており、第1弾の実施に向けテレビ東京と提携。夏から同局の番組で行なわれる計画という。

「Replay Cast」の動作イメージ

また、動画プロジェクト「VISION」もスタートする。「撮影者=被写体」という、いわゆる“YouTuber”的なアプローチではなく、気鋭のクリエイターらによる「縦型」「短尺」「エクスクルーシブ」な動画をLINE NEWS内で配信する試み。参画クリエイターには佐藤雅彦氏、栗原甚氏、小山薫堂氏、中村勇吾氏、明石ガクト氏らが名を連ねている。

LINE LIVE&LINE MUSICでも新機能、他社のプレイリストを画像解析で引っ越し

舛田淳氏(取締役 CSMO)からは、エンターテインメント領域での取り組みについて発表が行なわれた。7月にはまず、約300万種のクリエイターズスタンプが月額240円で使い放題になる「LINEスタンプ プレミアム」がスタート。販売価格で換算した場合、「3億8,000万円分」のスタンプが定額で使い放題になる。

LINEスタンプ300万セット使い放題の定額プラン

ライブ動画配信プラットフォーム「LINE LIVE」も強化する。7月には「プレミアムチャンネル」機能を追加し、月額課金者に対する限定ライブ配信・視聴が可能となる。また2020年中にはライブコマースを開始。ライブ動画配信者を見ながら、リアルタイムに質問をしたり、買い物ができるようになるという。

LINE LIVEで配信者単位の月額課金ができる「プレミアムチャンネル」

定額制音楽配信サービスのLINE MUSICはアプリダウンロード数が3,200万件、収録楽曲数が5,400万を超えるなど、こちらも順調に成長している。舛田氏はこの要因として、トークルーム内のBGMとして使えるなど、LINEのコミュニケーション機能との強力な連携機能が支持されているのではないかと分析していた。

まず夏にはミュージックビデオがLINE MUSIC内で視聴できるようになる。今秋にはアプリのUIが大幅刷新され、ダークテーマ、イコライザー機能などが追加される。

また社として力をいれているAI関連機能も盛り込む。利用者の好みに応じたプレイリスト自動作成機能のほか、一風変わったところではOCRベースでのプレイリスト引っ越し機能が追加される予定。これは他社の定額制音楽サービスのプレイリストをカメラで撮影し、画像解析をかけ、LINE MUSIC上へコピーできる機能。「プレイリストは音楽サブスクリプションにとって非常に重要。ユーザーにとっては“資産”とも言える。この機能があれば、ユーザーがLINE MUSICへと移行しやすい」(舛田氏)

他社の音楽配信サービスのプレイリストをカメラで撮影し、画像解析。その情報をLINE MUSICへ移行できる。プレイリストのエクスポート機能がないサービスからLINE MUSICへの乗り換えが、簡単になりそうだ

このほか、フリーミアムモデルでのサービス「ONE PLAY(仮)」も秋に提供する。任意の楽曲を1回再生でき、また聞き直したい場合は一定時間待てばいいという、「LINEマンガ」に近い仕組みが盛り込まれる予定。

フリーミアムの音楽配信サービス「ONE PLAY(仮)」も追加する

LINE MUSIC、誰でも無料で5,400万曲が聴ける「ONE PLAY(仮)」

テイクアウト注文「LINEポケオ」が本格スタート、ごはん100円も

LINEでは、コマース関連サービスとして「LINEショッピング」「LINEデリマ」「LINEトラベル」の3つを展開している。ネットからリアル店舗へ送客する「O2O(Online to Offline)」をさらに進化させた「OMO(Online Merges with Offline)」の発想のもと、新機能の開発に取り組んでおり、6月27日には「おでかけNOW」の提供を開始。現在地周辺の店舗を検索し、そのまま予約などができるようになった。

また、食事関連ではこれまでのデリバリーサービス「LINEデリマ」を提供してきたが、テイクアウト注文がオンラインでできる「LINEポケオ」の6月27日から本格スタートさせる。10月の消費増税を控え、軽減税率が適用されるテイクアウトには一層注目が集まると藤井英雄氏(執行役員 O2O/コマース事業統括)は指摘。店ごとの待ち時間を一覧できるなど、機能面も充実させた。導入キャンペーンとして「100円ポケオごはん」も期間限定で実施する。

テイクアウトや出前は軽減税率の対象となるため、10月以降需要増が期待される
テイクアウト注文の「LINEポケオ」が6月27日に本格スタート

中小企業でも簡単に導入できるオーダーシステム「LINEポケオ for biz」も受付を開始。2020年までに3万店への導入を目指す。

トークリスト最上部の広告が動画対応

LINE内に表示される広告など、マーケティング関連ソリューションについては池端由基氏(執行役員 広告ビジネス事業担当)が解説した。

LINEのトークリスト画面最上部に表示される広告は「スマートチャネル」と呼ばれ、2018年末から提供が始まっている。ここに今秋、動画の配信が可能となる。表示されたバナーをタップすると、表示が拡大して動画が再生される仕組み。この動画広告のテストケースでは、1日で4,700万ユーザーにリーチできた。また人口比で計算すると、国内の15~29歳の90%に広告が届いたことになるという。

2018年末にスタートした「スマートチャネル」広告。トークリスト最上部に表示されるため、自然と多くのユーザーが目にしている。今後は動画にも対応

消費者視点で見た場合は、2019年10月スタート予定の「LINE チラシ」は利便性の高いサービスといえるだろう。新聞の折り込みチラシや郵送でのダイレクトメールに相当するサービスだが、LINEチラシでは高度なパーソナライズが施された状態で配信できる。また、店舗に設置されたビーコンを使って、店頭来訪時にチラシをリマインドさせることも可能。

「LINE チラシ」がリリース予定

このほか、金融事業の強化、そしてAI技術の外販や検索再参入なども明かされた。それらのプレゼンテーションの模様は、別記事で紹介する。

LINE証券、秋スタート。ウォレット起点で金融強化

AI企業LINE、無料カーナビやレストラン予約AIを披露。検索に再参入