こどもとIT

【連載】こどもとセキュリティ

子どもを不正サイトから守るにはどうしたらいいの?

スマホやタブレットは、子どもたちにとっても楽しくて魅力的。だからこそ、安心・安全に正しく使うためには保護者の関わりが欠かせません。どんなことに気をつけて、子どもたちを見守っていけばいいのか。保護者目線で気になる疑問に、セキュリティの専門家がお答えしていきます。
(イメージ提供:トレンドマイクロ株式会社)

スマホユーザーを狙う不正サイトが増加、子どもが巻き込まれるケースも

不正サイトとは認証情報(ID、パスワード)や個人情報の詐取、詐欺、不正アプリのインストールなどを目的としたWebサイトのことです。大手通販サイトや宅配便事業者などを装ったメールやSMS(ショートメッセージサービス)などを介して不正なサイトに誘導する手口が横行しています。サイバー犯罪者は実在する企業などを装ってもっともらしい内容のメッセージを送りつけ、私たちにURLリンクを開かせようとするのです。

以前はパソコンユーザーを標的にした不正サイトが中心でしたが、近年ではiPhone、Android端末などのスマホユーザーへの攻撃が増加しています。トレンドマイクロの調査では、2019年において不正サイトへ誘導された国内モバイル利用者数は200万件以上に上りました。2020年も1月から3月の3カ月間だけで、すでに前年の半数を上回る102万件に達しています。

不正サイトに誘導された国内モバイル利用者数推移、2020年5月トレンドマイクロ調べ

トレンドマイクロでは、子どもが巻き込まれるケースも確認しています。たとえば、オンライン学習で利用するビデオ会議アプリを装った偽のログインページ、またアニメや映画などが見られる人気動画配信サービスを装った不正サイトへの誘導などで、認証情報や個人情報、クレジットカード情報を詐取しようとする手口があります。

大手動画配信サービスに偽装した偽のログイン画面
ビデオ会議アプリのログインページに偽装した不正サイトの例

子どもが不正サイトへアクセスしないようにするために

サイバー犯罪者は巧妙な手口を使って私たちを騙そうと企んでいます。子ども自身が不正サイトを見分け、適切な判断をすることが難しい場合もあります。保護者はそのような不正サイトから教育と技術(テクノロジー)の両面で子どもを守っていきましょう。

教育的対策①:メールやSMS、SNS等のURLを安易にタップしない

メールやSMS、SNS、ダイレクトメッセージなどで通知されたURLや添付ファイルは不用意にタップしてはいけないことを子どもへ教えましょう。たとえ友だちから送られてきたメッセージであっても、不正なものである可能性があります。情報を確認する場合は、リンクからではなく公式サイトから確認する習慣を子どもが身に着けるようにしましょう。

また、保護者はその企業やセキュリティ事業者などが公表する注意喚起情報のチェックや、必要に応じて公式Webサイトに記載された問い合わせ先に事実確認を行ないましょう。

教育的対策②:不審なメッセージに返信しない

怪しげなメッセージに返信したり、URLをタップしたりしてしまうことは、「騙されやすい人物である」と相手に知らせることになります。その結果、継続的に不正なメッセージを送信されてしまう恐れもあります。そのようなメッセージを受け取らないためにも、不用意に本文内のURLをタップしないことに加え、リンク先に誘導したり、何かしらの行動を求めたりするようなメッセージには不用意に返信しないことを子どもに教えましょう。

また、ネット詐欺の手口は日々巧妙化しています。手口や狙いを知っておけば、詐欺に遭遇してもそれに気づける可能性が高くなります。オレオレ詐欺などの犯罪と同じように、最近流行っているネット詐欺に関する情報はニュースなどを通して知ることからはじめましょう。

技術的対策:不正サイトへの接続をブロックする

保護者は子どもが利用しているスマホやパソコンに対して、不正サイトへのアクセスをブロックするセキュリティソフトを導入しましょう。また、不正なメールやSMSの受信を防ぐために、迷惑メールフィルタ(迷惑メールを自動で隔離する機能)やメッセージフィルタリング機能も活用しましょう。

あやしいURLリンクをタップしてしまったと感じたときの対処法

万が一、子どもから「あやしいURLリンクをタップしてしまったかも」と報告があった場合は、誘導先のWebサイトで「情報を入力する」「ソフトをダウンロードする」「アプリ連携を許可する」といったアクションを起こさないように教えましょう。そして、保護者は次のポイントを最優先で確認してください。

1.誘導先のWebサイトの安全性をチェックする。(以下、Webサイトの安全性をチェックできるツールの例)
・トレンドマイクロ Site Safety Center
・ウイルスバスター チェック!(LINEのトーク画面でWebサイトの安全性を確認できます)

2.メールの件名、内容などをキーワードにGoogleやYahoo!などで検索をかけ、類似の報告事例や注意喚起の情報を確認する

3.メール送付元の企業名が明確な場合は、その企業の公式サイトに載っている問い合わせ窓口に連絡し、事実確認を行なう

4.セキュリティソフトやアプリを最新の状態にした上で端末のスキャンを行なう

中村江里(トレンドマイクロ株式会社)

トレンドマイクロ株式会社コーポレートバリューマネジメント室所属。2013年にトレンドマイクロへ新卒入社。2018年よりトレンドマイクロのCSR活動の一つである、子どもと保護者へのインターネットセキュリティ教育プログラム「Internet Safety for Kids and Families」を担当。子どもとその保護者の方々にネットやスマホ利用に潜む最新の脅威やモラルの啓発にあたる。