こどもとIT

【連載】こどもとセキュリティ

子どもがネット依存にならないためには、どうしたらいいの?

スマホやタブレットは、子どもたちにとっても楽しくて魅力的。だからこそ、安心・安全に正しく使うためには親の関わりが欠かせません。どんなことに気をつけて、子どもたちを見守っていけばいいのか。保護者目線で気になる疑問に、セキュリティの専門家がお答えしていきます。
(イメージ提供:トレンドマイクロ株式会社)

学習・健康に影響を及ぼすネット依存

近年、子どもたちによるネットの長時間利用が問題視され、「ネット・スマホ依存」という言葉もニュースで頻繁に見かけるようになりました。なかでも今年は、コロナ禍の休校や休業によって子どもたちのネット利用が増え、心配されたご家庭も多いのではないでしょうか。

ネットは学習にも役立つため、長時間利用が必ずしも子どもたちに悪影響を及ぼすとは言えません。しかし、ネット依存にならないように注意する必要があります。就寝時間を過ぎて夜遅くまでネットを利用するなど、ネットに没頭するあまり、睡眠不足など生活習慣の乱れを招き、日常生活に支障が出るからです。その結果、日中の勉強に集中できず、学習面にも影響が出ますし、スマホ画面の見過ぎによる視力低下や外で体を動かす時間が減るなど、健康面にも悪影響を及ぼす可能性があります。

ひとつ、事例を紹介しましょう。メッセージアプリで友人とのやり取りをするのが大好きな女の子がいました。話を終わらせるタイミングがわからず、夜遅くまでスマホを使う毎日でした。次第に朝起きるのがつらくなり、眠たくて授業にも集中できなくなりました。体調や成績にも影響が出ているのですが、友人とのトークはやめられないというのです。

子どもがネット依存になってしまった事例。出典:総務省 インターネットトラブル事例集(2020年版)

子どもがネット依存にならないために、保護者ができること

オンライン学習の増加やプログラミング教育など、子どもたちがネットを活用する場面は今後も増えていきます。今や、ネットを利用することは生活面や学習面においても必要不可欠になってきていますが、ネット依存が日常生活にもたらす問題についても目を向けなければなりません。保護者は教育と技術(テクノロジー)の両面で子どもを守っていきましょう。

教育的対策:利用できる時間や時間帯、利用場所を定める
スマホの使い過ぎは、生活習慣に悪影響が出てしまう恐れがあることを教え、利用時間や時間帯の目安を決めましょう。また、特にお子さんが小さいうちは、「ネットを使うときは保護者と一緒にリビング」といったルールを決めることも重要です。「スマホの使いすぎはダメ」と伝えるのではなく、「使いすぎて体を壊したらお友達と遊べなくなる」など最終的にどのような影響が出るのか伝えることで、子どもが自分事化して捉え、納得できるよう促してあげましょう。スマホに大切な時間を奪われていないか、自分自身の使い方を適宜、振り返る習慣をつけるように話をしましょう。

<ルールの例>
‐平日は1時間まで、休日は2時間までネットを使える。
‐夜9時以降はスマホを使用しない。

技術的対策:利用可能な時間と時間帯を制限する
OSやキャリア、セキュリティ企業が提供する機能を利用することで、スマホを利用できる時間や時間帯を制限できます。タイマーを鳴らすことや、⼀定時間が過ぎたら本体にロックがかかるようにも設定できますが、スマホを利用して勉強をすることもあるので、スマホの利用制限については、特にどういった運用にするかを子どもと保護者でしっかりと話し合いましょう。例えば、食事をしている時や就寝時はスマホをリビングにおいて利用しないなどのルールも併せて決めることが重要です。

中村江里(トレンドマイクロ株式会社)

トレンドマイクロ株式会社コーポレートバリューマネジメント室所属。2013年にトレンドマイクロへ新卒入社。2018年よりトレンドマイクロのCSR活動の一つである、子どもと保護者へのインターネットセキュリティ教育プログラム「Internet Safety for Kids and Families」を担当。子どもとその保護者の方々にネットやスマホ利用に潜む最新の脅威やモラルの啓発にあたる。