トピック

メルカードで年率15%の「定額払い」を使ってしまう

メルペイは、11月からクレジットカード「メルカード」を開始しました。メルカードと「メルペイスマート払い」の利用でメルカリで最大4%のポイント還元を行なうなど、メルカリと連携して差別化を図ったユニークなカードとなっています。

主な特徴は以下の通りです。

  • メルカリでの購入で最大4%還元(1~4%)
  • メルカリ以外では1%還元
  • 国際ブランドはJCB
  • 年会費無料
  • カードはタッチ決済(NFC Type-A/B)に対応
  • Apple PayとGoogle Payのウォレットには登録できない
  • あと払いの「定額払い」も選択可能(手数料は年額15%)

'22年11月に申し込み、その後2カ月ほどメルカードを使ってみましたが、上記の特徴以外にもメルカードならではの仕掛けが多数含まれていました。

普通郵便で届くクレジットカード

メルカードは、「メルカリ」アプリから申込みます。本人確認が完了済みであれば、メルカリアプリから最短1分で申し込みが完了します。確かに簡単に発行可能で、11月8日に申し込みし、10日には発送され、数日後に「普通郵便」で自宅に届きました。

面白いのは「普通郵便」というところです。一般的なクレジットカードは「本人限定受取郵便」もしくは「簡易書留」などで送られ、本人もしくは家族がいないと受け取れないというケースが多いのですが、メルカード場合はポストに投函されていました。

普通郵便でクレジットカードが届く
開封するとカードが入っている

受け取りの手間がなく楽ですが、セキュリティ面で心配という人もいるかもしれません。これができるのは、メルカード“だけ”を受け取っても使えないから、です。

メルカードの利用開始には、カードを受け取った後メルカリアプリで「初期設定」しなければ、カード利用できません。この作業は、メルカリアプリで承認するだけなので1分程度で終わります。「自宅にいないのでカードを受け取れない」問題を防ぐことができるという点で、おもしろい仕組みです。

初期設定
カードにメルカリアプリをかざして設定
設定完了

カードは、表面にはICチップとメルカリのアイコンだけ。このアイコンもカードを傾けると色が変わります。裏面は名前とJCBやロゴ、QRコード、タッチ決済のマークなど。カード番号やセキュリティコードの無い「ナンバーレス」カードになっています。またタッチ決済(コンタクトレス)にも対応しています。

メルカードの表面
裏面も名前とタッチ決済マークとQRコード(サポート用)だけ

メルカードは、JCBカードとして、国内外約3,900万カ所のJCB加盟店で利用できます。実際ローソンでは、タッチ決済で支払いできました。利用後も即時通知がメルカリアプリに届くほか、利用履歴の確認もメルカリアプリ内で行なえます。また、アプリでは支払日や支払い方法の選択なども行なえます。

メルカリアプリの支払い-[メルカード]で設定

最近のクレジットカードトレンド的な機能は殆ど盛り込まれており、メルカリアプリから簡単に確認・設定できる点が特徴といえます。また、実店舗でもオンラインでも普通のカードとして使えるだけでなく、メルカリ以外の利用でもポイントが1%が付与されるので、高還元なカードといえます。

少し不満なのは、スマホのウォレットに登録できないこと。メルカードはApple PayやGoogle Payのウォレットに登録できず、リアル店舗での“スマホ”のタッチ決済ができません。筆者の場合、リアル店舗でクレカでタッチ決済できる場所ではスマホでタッチ決済しています。これは、カードを出すよりスマホを出すほうが楽で、カード自体は持ち歩かないことが多いからです。そのためウォレットに登録できないと特にリアル店舗での利用シーンは少なくなりそうです。

なお、メルペイでは、「iD」をウォレットに登録できます。通常の「メルカリ残高払い」の場合、iDでの支払いではポイントは付与されませんが、iDの支払手段として「メルペイスマート払い」を選択している場合はポイント付与の対象となります。コード決済も同様にメルペイスマート払いを選択していればポイント付与の対象です。

【訂正】
記事初出時に、「iDでポイント付与されない」と記載しておりましたが、支払い手段として「メルペイスマート払い」を選択すればポイント付与の対象となります(12日16時追記)

iDはメルカードとは別管理

メルペイでは、これまでもQRコード決済、iD、バーチャルカードがあった上で、今回メルカードが追加されており、これらが相互に連携しているものの、一般的なカードなどとは異なる独自の連携がなされています。カードを本格的に利用する上では、スマホでメルカードのタッチ決済にも対応してほしいと感じます。

メルカリ利用でポイントアップ(メルカリ内の)

メルカードで面白い機能が、メルカリの出品やお店での利用でメルカリ内のポイント還元率が“アップ”することです。

メルカリの利用頻度などでポイント還元率が上下するとのことですが、筆者の場合、メルカリでの取引は100回強で、そのうち9割は「出品」。「購入」は1割程度というメルカリ利用状況です。11月のカード発行時の還元率は「2.0%」でした。

当初は2.0%

カード発行後、メルカリで商品をいくつか出品し、売却(取引が完了)すると0.1%ずつ還元率がアップし、ひとまず2.4%までアップしました。ただ、これ以上は上がらず、2.5%以上を目指すには「街のお買い物」や「メルカリでの買い物」を行なうように促されます。コンビニなどで少額のメルカード利用をしてみましたが、還元率はアップせず。その後は2.4%で停滞しています。

4回売却したところで2.4%に

とはいえ、私の場合メルカード導入後にメルカリで商品を購入していないため、そもそもこのポイント還元の恩恵は受けられていません。ゲーム的に還元率がアップしていくのは楽しいのですが、メルカリでの「購入」のヘビーユーザーではないと、それほど魅力的ではないかもしれません。その点では、フリマのメルカリより「メルカリShops」が個人店舗以外も充実し、日用品なども購入できるようになるとメルカードの魅力もアップしそうです。

手数料15%/年は厳しい。それでも「分割」を使いたくなる仕組み

メルカードで面白いのが「支払い」「返済」です。支払い方法は自動引き落とし、コンビニ/ATM、メルペイ残高から選択できるほか、メルカリの「ポイント」も利用可能です。メルカリの売上金である[メルペイ残高]が使えるのが最大の特徴ですが、メルペイ残高で支払い、足りない金額を自動引き落しも可能です。引き落とし日の変更なども柔軟に設定できるのは、最近のカードならではです。

返済手段

また、注目したいのは「定額払い」です。メルカードでは一般的な「翌月払い」だけでなく、「メルペイスマート払い」による「定額払い」(分割払い)も可能で、高額な商品などの場合、翌月や翌々月などに分割して支払えます。

ただし、定額払いでは、一般的なカードのリボ払いなどと同様に“手数料”が発生します。12万円の買い物で定額払いを選択し、毎月4万円ずつ返済する設定にしたところ、返済が終わるまでの4カ月で4,000円強の手数料が徴収されると表示されました。

支払額から分割を選択
分割設定画面。3カ月分割すると手数料4,345円

アプリ上で支払額だけでなく「手数料」がいくら掛かるかがすぐにわかるのは親切です。かつてのカードのリボ払いでは手数料の額がわかりにくかったのですが、このようにアプリ上で示されるのはユーザーにとっては間違いなくわかりやすいといえます。

とはいえ、この手数料の額を見ると「よほどの事情がなければ普通に翌月払い」と思ってしまうはず。個人的にもこれまで分割払いやリボ払いはほぼ使っていませんが、「今後も使わないだろうな」と思いました。

しかしそう思った1カ月後、定額払いを使うことになりました。初月に10万円、残額を2カ月分割で支払う設定にしました。

理由の一つは「ポイント」、もう一つは「メルカリ」です。

121,000円の支払いに対し、手元の残額はポイントを含めて10.6万円。しかも、あと数日で1,000ポイント弱が失効してしまいます。一方、メルカリには全部売れれば2万円分ぐらいにはなる出品を行なっています。つまりポイントが失効する前に分割で支払いを行ない、メルカリであと1カ月売って残高を積みあげれば、銀行引き落としを「無し」にできるのでは? という計算です。

いろいろ検討の結果「定額払い」でいく。「定額払い」という名称ですが、初月の支払額は自由に変更できるので初月にドンと支払いを行ない、差額を分割で返済といった設定も可能です

実際に初月の支払いを[10万円]として、定額払いにしたところ手数料は3,039円。定額払いでも指定日時での自動引き落としですが、ポイント期限が迫っている場合は即時の支払いも選べます。即時支払を行なえば、1カ月目の支払いを完了できます。想定外でしたが、定額払いの利用キャンペーンで2,000ポイントとカード利用による1,210ポイントも付与されたため、メルカリで稼ぐ額は1万円程度で済みそうです(1週間経過しても商品は売れていないけど)。

初月返済

ともあれ、メルカードの場合、メルカリで出品・売却して「お金を作る」ことができるのが、他のカードとの大きな違いです。また、返済のために頑張って出品してしまうので、メルカリユーザーの「出品」を促す効果もかなりありそうです。

定額払い(分割払い)で「時間」を稼ぎながら、メルカリ出品で「お金」を稼ぐというのは、奇妙ですがユニークな体験です。メルカリを積極的に使わせるカードとしてメルカードはとても良くできています。

メルカリユーザーは積極的に検討したい「メルカード」

メルカードを2カ月使った感想は、「メルカリをヘビーに使う、使わせるためによく考えられたカード」というもの。メルカリユーザーであればお得かつ、出品や買い物を促す仕組みが随所に盛り込まれており、楽しみながら使えるというユニークなカードです。それでも定額払いの手数料には注意しましょう。

Apple PayやGoogle Payに登録できず、スマホでタッチ決済(NFC)できないため、個人的にはメインカードにはならないのですが、メルカリユーザーとしては持っておくべきかと思います(年会費も無料ですし)。

また、これまでカードを持った人がない人も、メルカリユーザーであれば始めやすく、ナンバーレスなどセキュリティや安心・安全という面でも配慮されている点はポイントです。複数のカードを持っていても、メルカリをヘビーに使っている人は持つ価値があるカードだと感じます。