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Twitterの「ツイートの編集」を試す

Twitterに対するよくある不満が、「投稿が編集できない」というものだった。しかし、一部の地域では「ツイートの編集」が可能になった。

Twitterは4日、「ツイートの編集(Edit Tweet)」機能をカナダとオーストラリア、ニュージーランドで提供を開始し、「近日中にアメリカでも提供」と発表した。日本はまだ対象ではない。

だが、筆者のアカウントではツイートの編集が可能になっている。これは「アメリカでツイートの編集が利用可能になった」ことを受けてのものなのだが、使えるにはちょっとした事情もある。

実際に「ツイートの編集」がどんな感じになっているのか、そしてなぜ「日本ではまだ使えない」のか、実際に使って紹介していこう。

アメリカで偶然に「Twitter Blue」に契約

まず、筆者が「ツイートの編集」を使える理由を説明しておきたい。別に「プレス関係者だから」、とか、「ベータ版を特別に使っているから」とかいう話ではない。

今回の「ツイートの編集」機能は、Twitterの有料サービスである「Twitter Blue」の機能として提供されているものだからだ。Twitter Blueはアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドで展開中なのだが、日本はサービス対象となっていない。

ではなぜ筆者は使えるか? 実のところ「偶然」だ。

6月のアメリカ出張時、ホテルのWi-FiにつないでTwitterを使っていたら、たまたま「利用できる」という告知が出たので、それに沿って契約したから使えているのである。

6月にアメリカ出張した際、始まったばかりの「Twitter Blue」への契約を促すメッセージが表示された

月額での利用料金は、Apple ID経由で350円。ちょっとしたテストのつもりで契約し、今に至っている。

現状、Apple ID経由でのTwitter Blueの利用料金は月額350円

ただ、アメリカなどのサービス展開国に旅行に行けば必ず契約できるかというと、どうやらそうでもないらしい。一緒に出張していた友人は「契約項目が出てこなかった」と言っている。だから、筆者がTwitter Blueを契約し、編集機能を今使えているのも「偶然の産物」と言っていい。

使い勝手はこれから述べていくが、「やっぱり便利」だと感じるので、有料でも使いたい層に向けて、日本でもTwitter Blueのサービス展開を考えていただきたいと思う。ご覧の通りサービスは日本語化されているので、年単位で先の話でもないと予想しているのだが……。

編集は簡単。ただし「30分以内」で「編集履歴」も可視化

実際に、どんな風に編集できるかを見ていこう。

Twitter Blueに加入しているアカウントの場合、順次編集機能が利用可能になっている。どうやら契約した国に紐づいているようなので、筆者の場合には、日本から使っているけれど「アメリカでのツイート編集機能公開」に合わせて利用可能になったのではないか、と思われる。Android・iOS・ウェブとどのクライアントからも編集可能だが、順に利用可能となっているらしく、7日午前のうちは使えないクライアントも存在した。

編集機能が利用可能になると、以下のような通知が表示される。編集機能はオンオフ可能だが、特に追加設定も必要ない。

Twitter Blue加入者で「ツイート編集」が可能になると、このような表示が出てくる。筆者の場合には朝、Android版のTwitterを開いた時に気づいた

ただし面白いのは、「居住地バレ」への警告が出ることだ。Twitter Blueは特定の国でしか提供されていないので、「編集機能を使うとどの国に住んでいるかがバレますよ」と教えてくれているわけだ。グローバルかつ複数の国で使える言語を考えると、そういう配慮も必要になる、というのがわかってなかなか興味深い。

Twitter Blueの展開地域が限られているので「居住地バレ」の可能性がある、との警告が出る

ツイート自体にはなにも特別な部分はない。普通に書くだけだ。

最初のツイート自体はいままでとなにも変わらず

ただ、ツイートを送る時には以下のように「ツイートを送信中です…公開されてから30分間は編集できます」という表示が出る。

送信中には「公開されてから30分間は編集できます」との表示が

こののち、編集したいツイートの右上にある「…(もっと見る)」ボタンをクリックすると、そのメニューの中に「ツイートを編集」という項目が現れるようになっている。これを選ぶと内容が再編集できるようになる仕組みだ。

「ツイートを編集」というメニューが出ていることに注目
「ツイートを編集」の位置はクライアントによって少しずつ違うので注意。画面はiOS用クライアント
編集作業も特に難しい点はない

編集されたツイートには、鉛筆のような「編集済み」マークがつく。さらに各ツイートには最終更新時間が表示されるようになる。

編集がされているツイートには、赤丸部分に「編集済み」マークがつく。そして最終更新時間も表示される

この最終更新時間をクリックすると、そのツイートが何回、どのように修正されたかがリスト表示される。修正履歴の表示は、修正した人はもちろん、単にツイートを見ている人でも自由に確認可能だ。こうした仕組みがあるのは、「バズってから内容を書き換えて事実を曲げる」ような行為に対応するため、と思われる。

「最終更新」をクリックすると、ツイートが何回、どう編集されたかが確認可能。これは書いた人だけでなく、誰でも見られる

また、前述のように最初のツイートから30分以上が経過すると、「ツイートの編集」メニューが表示されなくなるので、再度の編集・改変ができない。これも、内用書き換えが悪用されるのを防ぐ仕組みだ。

書いてから10時間くらい経過したツイートなのだが、これはもう「30分」を超えているので再編集できない

このように、ツイートの改ざんを防ぎつつも、「ツイートしてから気づいた間違いやタイプミスの修正」は十分できる、という形になっていて、かなりの配慮の上実装されたことが読み取れる。

ただ、これは現状の制約なのか、そういう実装なのか不明だが、「ツイートの編集ができない人が書いたツイートへの返信など」については、再編集ができないようだ。「ツイート編集」メニューが出てこなければ、そのツイートは編集できない、ということだ。

「ツイートの取り消し」も

なお、「Twitter Blue」にはツイートの編集の他に、「ツイートの取り消し」がある。これは「遅延ツイート」と言っても良い機能なのだが、実際に書いたツイートを「設定した秒数のあと、実際にサーバーに投稿する」ものだ。

だから、ツイートの間違いに気づいて「ちょっと待って」と思った時に、ツイートを取り消して書き直すことができる。これは今年の6月からTwitter Blueでは使えていて、ある意味、「ツイートの編集」につながる機能だったのだろう。

Twitter Blueには「ツイートの取り消し」も
取り消せるまでの時間も設定できる

こうした機能は、個人の場合、相応にヘビーなTwitter利用者でないと課金には至らないものかもしれない。サブスク契約が増えがちな昨今、月350円は決して安くない。

だが、メディアや企業アカウントの運営者、さらには筆者のように「ニュースや考えを呟くのも仕事の領域にある」人の場合、ツイートする際の心理的負担を大きく減らしてくれる、有意義なものだと思う。

できれば全ユーザーに無料で提供してほしいところだが、ここを差別化要因として収益を上げたいTwitterの考えもわかる。

どちらにしろ、早く日本でも正式にTwitter Blueのサービスを開始してほしい、と切に願っている。