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【いちからわかる!株入門5】株価は企業価値の何倍? 「PBR」を学ぶ

株式の銘柄探しにおける3つの指標について連載で紹介します。株式を割安で購入できれば、その後の値上がりも大きく期待することができるでしょう。株式投資の基本は「安く買って高く売る」です。ここでは、株価は企業価値の何倍かを計る「PBR」指数について解説します。

この記事は4月16日発売のインプレス刊『いちからわかる!株入門 2024年新NISA対応版』(和島英樹 監修)の一部を編集・転載しています。掲載されている銘柄情報などは2024年3月時点のデータです(編集部)

PBR=1倍を基準に株価が割安かどうか判断

「PBR(株価純資産倍率)」も株価が割安かを判断する指標の1つ。PERが株価を純利益から判断するのに対して、PBRは株価を会社が持つ純資産(会社の価値)から判断するのが特徴です。

PBRは株価を1株あたりの純資産(BPS)で割って算出します。PBRが1倍なら、株価と会社の価値が釣り合っている状態です。

PBRが1倍未満の場合、会社本来の価値よりも安く株を買えるため、割安だといえます。一方で、PBRが1倍以上ならその会社が期待されている状態です。つまり、「PBR=1倍」が株価の割安度を判断する基準になります。東京証券取引所は、PBR1倍割れの企業に改善策を求めています。

ただし、PBRが低ければ必ずしも割安というわけではありません。PBRが低い状態が長く続いている場合、投資家間ではその株価が本来の企業価値だと判断されているという可能性もあります。単年度の数値だけでなく、過去数年のPBRの推移を確認し、企業が成長しているのか、衰退しているのかを判断しましょう。

PBRは同業他社と比較して判断する

PBRもPER同様に、業種ごとに平均が異なります。そのため、他業種と数値を比較しても割安・割高の判断はできません。PBRは、あくまで同じ業種・事業内容の他社と比較することが大切です。

また、証券会社によってはPBRの推移を確認することもできます。株価が最安水準ではなくとも、PBRが底値圏の場合もあります。現在のPBRの数値だけでなく、過去の推移と比較して判断するようにしましょう。

なお、PBRの分母は純資産であるため、短期的な株価変動に対する判断材料にはなりづらく、将来の利益成長も反映しにくい点には注意が必要。株価の割安性を判断する指標にはPERとPBRの2種類がありますが、企業の成長性を見るならPER、株価の底値圏を確認するならPBRを見るなど、指標の使い分けをしましょう。

株式投資の魅力から成長株探しまで全6回で連載

第5回:株価は企業価値の何倍? 「PBR」を学ぶ

いちからわかる!株入門 2024年新NISA対応版

・価格:1,100円
・発売日:2024年4月16日
・ページ数:112ページ
・サイズ:A4変型判
・監修:和島英樹
内容
1章 株の基礎知識
2章 口座座開設と売買方法
3章 銘柄の絞り方
4章 売買のタイミング
5章 銘柄ランキング 株主優待編/高配当編

・監修プロフィール
和島 英樹 (わじま ひでき)
経済ジャーナリスト
現みずほ証券、株式新聞社(現ウエルスアドバイザー)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。近著に「1万円からはじめる勝ち組銘柄投資」(かんき出版)。レギュラー出演番組にラジオNIKKEI「マーケット・プレス」、東京MXテレビ「東京マーケットワイド」、日経CNBC「朝エクスプレス」など。週刊エコノミストなど雑誌への寄稿も多数。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。