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企業の生成AI活用へ「Amazon Bedrock」本格展開 「デジタル棟梁」も構築

Amazon Web Servicesは、AWS上で生成AIを利用可能とするサービス「Amazon Bedrock」の一般提供を9月28日から開始した。日本をサービス対象地域とした「東京リージョン」でも、Amazon Bedrockが近日中に利用可能となる。

Amazon Bedrockは、APIを介して基盤モデルを利用し、生成系AIアプリケーションの開発・提供が可能となるサービス。LLM(大規模言語モデル)もAI21LabsのJURASSIC2、AnthropicのCLAUDE 2、CohereのCOMMAND、MetaのLlama2、Stability AIのSDXL 1.0、Amazon TITANなどを用途やアプリケーションにあわせて活用できる。

数クリックで、生成系AIアプリケーションに必要なタスクを完了でき、タスクを細分化したオーケストレーションを実行可能。タスクに応じた精度の選択などが行なえ、基盤モデルのファインチューニングも可能。なお、ユーザー会社のデータを基盤モデルの学習に使うことはなく、全てのデータは暗号化されて転送・保存される。

Amazon CodeWhispererによるコード作成支援のほか、社内のコードベースに応じて推奨コードを生成する機能なども提供。利用者の環境に応じたサービス提供が可能とする。

3日に゙開催された説明会では、竹中工務店やKDDIがAmazon Bedrockの活用事例を紹介した。

竹中工務店は、社内の全ての経験や実績、技術などの専門知識を持つ「デジタル棟梁」として生成AIの活用を進めている。建設業界では、2024年4月に改正労働基準法の施行を控え、デジタルによる生産性向上が急務となっており、そこで若手社員へのアドバイスや相談に乗るAIとしてのデジタル棟梁を推進している。生成系AI基盤モデルに、質問に関連する専門情報を参考に与え、回答させる仕組み「RAG((Retrieval Augmented Generation)」をBedrockで構築。社内ルールや技術標準、ノウハウなどを連携させた「デジタル棟梁」の検証を進めている。

竹中工務店はデジタル棟梁を構築
解答例

KDDIは、グループ内でAWSを活用したインフラ設計や構築・運用保守などを展開している。その中でも生成AIについては、基盤モデルは協調領域として差別化は図らずに、パートナーと協力していく考え。一方、業界・企業特化型の「分野別モデル」は競争領域としてファインチューニングを行ないつつ強化していく。こうした環境下で、複数のモデルを選べるAmazon Bedrockを活用していく。

AWSのVice President of Generative AIのヴァシ・フィロミン氏は、日本における生成AI活用で重要なこととして、「一つのLLMにおいて、全てを解決できるということはない。様々な問題に対して、複数のモデルが必要になる。レイテンシー(遅延)、コスト、正確性など、モデルによって特徴が違う。用途にあわせて、最適なモデルにアクセス可能にするのがAmazon Bedrockで解決しようとしていること。持続可能なビジネスのためにはコスト効率のよいソリューションが必要」と語った。

AWS ヴァシ・フィロミン氏