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ワークマン「冷暖房服」を試す 瞬時の冷暖切り替えが秀逸

ワークマン「冷暖房服 ICE×HEATERペルチェベスト」

ワークマンが5月に発売する「冷暖房服 ICE×HEATERペルチェベスト」を試してきました。ペルチェ素子により冷暖房を切り替えられ、オールシーズンに対応する製品です。価格は19,800円。

同製品は、ワークマンがパナソニックホールディングスの100%出資会社であるShiftallと提携して開発。ペルチェ素子による直冷方式で冷却と温熱機能を持ち、冷却10℃、温熱42℃の切り替えに対応しています。

なぜ、ワークマンがShiftallと提携したのか、また実際に冷暖房服を試せる機会を得たので、着心地をレポートしたいと思います。

冷却/発熱部

冷暖房服は、メッシュ地のベストタイプで、作業服やシャツの下に着用することを想定しています。背中側にペルチェ素子を搭載したプレートを備え、スイッチで冷暖を切り替えます。温度調節は不可で、冷却10℃、温熱42℃のどちらかを選択します。

モバイルバッテリーで駆動し、ベストにはモバイルバッテリーを収納できるポケットが用意されています。容量10,000mAhのモバイルバッテリーが付属し、連続稼働時間は温熱使用時で約5時間です。

メッシュ地のベストタイプ
容量10,000mAhのモバイルバッテリーが付属

数秒でひんやり/心地良い温かさに

まずは冷却モードで使用してみました。インナーの上から冷暖房服を着用し、ペルチェ素子プレートが肩甲骨あたりに付くようにベルトを調整します。その上から元々着ていたパーカーを着用しました。

スイッチを入れると数秒ですぐに肩甲骨にひんやりとした感触があり、冷却されているのがわかります。冷凍庫で冷やしたアルミプレートのような冷たさで、屋内だとその冷たさにちょっとびっくりしますが、夏の屋外ならちょうど良さそうです。

冷却モード
ペルチェ素子プレートが肩甲骨あたりに付くように着用します

電源を入れた状態で温熱に切り替える場合は、温熱スイッチを長押しします。温熱側が赤く点灯し、すぐに冷たさが消えてじわじわと温かくなってきました。ほんの5秒くらいでしっかり温かくなり、貼るカイロを貼ったときのような温かさを感じられました。少しうとうとするような、眠くなるほどの心地良い温かさです。

なお冷暖房服は左胸側にモバイルバッテリーを収納するポケットがあります。付属のバッテリーは容量10,000mAhとそこそこ大きいですが、ポケットに入れてしばらく着用しても重さはそこまで気になりませんでした。長時間着用していても、重さで肩が凝るといったことはなさそうです。

温熱スイッチを長押し
左胸側にモバイルバッテリーを収納するポケット

着用時の見た目ですが、ジャケットを羽織った状態で背中側を見ると、肩甲骨あたりが少し膨れていますが、そこまで目立ちません。ビジネスシーンで着用していても悪目立ちすることはないでしょう。

サイズは1サイズですが、ベルトで簡単にプレートの当たり心地を調整できます。筆者が着用した製品は直前に男性が着用していましたが、ベルトで簡単にサイズ調整できたので大きいor小さいと感じることはありませんでした。

着用イメージ
ベルトで調整します
背面
ジャケット着用時。肩甲骨あたりが少し膨れていますが、そこまで目立ちません
スイッチはサイドにあります

日本の酷暑にペルチェ素子

ワークマンは、労働寿命を延ばす製品を企業や大学と共同開発するコラボ推進組織「快適ワーク研究所」を2月に設立しています。冷暖房服は同研究所から生まれた製品で、年々暑さが増す日本において夏を快適に過ごせるようにと開発されました。

元々ワークマンでは、ファン付きウエアが人気で市場が急拡大していましたが、酷暑だとファンが熱風を循環させることになり、余計に暑くなってしまうという課題があったそうです。

「快適ワーク研究所」を2月に設立
従来の暑さ対策には限界があったそうです
ファン付きウエアは人気ですが、膨らみや運転音といった面でデメリットがありました

ワークマン「快適ワーク研究所」所長の柏田大輔氏は、「日本の夏は年々暑くなり、働く現場でも酷暑が続いています。従来の暑さ対策では限界が来ていると感じ、ペルチェ素子を用いたアクティブ型冷却が新たなトレンドとして挙がっていたことから、冷暖房服の開発を進めました」と話します。

「冷暖房服の値段は19,800円ですが、ワークマンが展開している夏用のファン付きウエアと冬用のヒーターウエアを買うとあわせて21,580円になります。この2つを買うより冷暖房服の方が安く、1着でオールシーズン使えるというメリットもあります」(柏田氏)

「快適ワーク研究所」所長の柏田大輔氏
冷暖房服は1着でオールシーズン使えることも特徴

開発に携わったShiftallは、パナソニックホールディングスの100%出資会社で、2021年からメタバース領域に注力しています。VR/メタバース領域で使えるフルボディ・トラッキング機器や、VRヘッドセットと組み合わせて使う防音Bluetoothマイクなどを展開する中、2月にはメタバースと連動可能なパーソナルエアコン「Pebble Feel」を発売しました。

Pebble Feelもペルチェ素子を搭載しており、VRメタバースのワールドと連動し、暖炉の近くにいくと暖かい、水に浸かると冷たいといった感覚を味わえるのが特徴です。

Shiftallは2021年からメタバース領域に注力。VR/メタバース領域で使えるフルボディ・トラッキング機器
VRヘッドセットと組み合わせて使う防音Bluetoothマイク
2月にはメタバースと連動可能なパーソナルエアコン「Pebble Feel」を発売

ワークマンの冷暖房服にShiftallが協力した経緯について、Shiftall 代表取締役 岩佐琢磨氏は以下のようにコメント。

「Pebble Feelも、VRと連携せずに屋外で冷房・暖房服として使用できますが、Shiftallはメタバース領域に注力しているため、アパレル関連の顧客や流通チャネルを持っていませんでした。そんなときにワークマンさんから話をいただき、コラボすることになりました。季節性のある商品なので夏に間に合うよう、スピーディーに取り掛かり製品化を実現しました」

Shiftall 代表取締役 岩佐琢磨氏

コラボが決まり、製品として実現するまでに苦労もあったそうです。

「メタバース空間だと視界がジャックされているので、少し冷やすor温めるだけでかなり冷たさなどを感じられます。ですが冷暖房服は屋外で使うので、もっと冷たく、もっと温かくする必要がありました。パナソニックの協力もあり、従来比約4倍の大型ペルチェ素子を開発でき、冷暖房服への搭載を実現しました」(岩佐氏)

快適ワーク研究所は今後も企業とのコラボを予定しており、深部体温上昇をアラートし、熱中症を予防する活動量計や、睡眠を数値化するTシャツなどの開発を進めています。

「快適ワーク研究所は、長く元気に働ける『労働寿命の延伸』を使命にしています。健康で快適に働き続けられるように、身近で低価格、かつ信頼性のある製品を今後も提案していきたいと思います」(柏田氏)

従来比約4倍の大型ペルチェ素子を開発
Pebble Feelは小型軽量を重視していましたが、冷暖房服は大面積でハイパワーを重視しています
快適ワーク研究所の今後の取り組み