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新マイナポータル(α版)がスタート 「忘れない」「見つける」強化

デジタル庁は19日、浅沼尚デジタル監による報告会を開催し、デジタル庁の最近の取り組みを紹介した。「マイナポータル」は19日から“実証アルファ版(α版)“を提供開始し、「ひと目でわかる、優しいサービス」を目指す。

また、情報公開とオープン化、官民連携、やさしいサービスなど9月以降のデジタル庁の取り組みについて説明した。

「見つける」「確かめる」「忘れない」 新マイナポータル

19日18時から新しい「マイナポータルα版」がスタートする。機能は既存のマイナポータルと同じだが、「見つける」「確かめる」「忘れない」の3つに注力してサービスを改善し、利用者の体験改善を図る。アプリではなくWeb版となり、AndroidとiOSから利用できる。PCは動作対象外。

浅沼デジタル監は「マイナポータルの認知は上がっているが、まだマイナンバーカードを持つすべての人が使えているわけではない。『機能が見つけづらい』『操作が難しい』と声が聞こえており、課題がある。8月に『マイナポータルを利用者に優しいサービスにする』と約束した。『ひと目でわかる、簡単に使える。優しいサービス』に変えていく」と語る。

「見つける」は、「マイナポータルが機能が多くてわかりにくい」という意見に応えるもので、必要な手続きを簡単に見つけられるようにした点が特徴。これまでは自分に必要なものがどれかわかりにくかったが、分類や表示を見直し。ライフイベントにあわせて、必要な手続きがわかるガイドも作成した。例えば出産時の手続きは、簡単な設問に答えることで、順を追って必要な手続きを探せるようになる。

「確かめる」については、自分に関する記録や情報を簡単に確かめられるようにするもの。薬や医療費など、“自分”に関する記録について、これまでは見つけにくいだけでなく、申請して回答を得るという手間があった。これをすぐに見やすく、わかりやすく整理。たとえば[7月の医療費]や[薬]などが、ひと目で分かるようになる。また、マイナンバーカードや健康保険証の情報もすぐに確認できる。

「忘れない」は、次にやるべきことを忘れないように集約してくれる機能。

行政手続きは、毎日作業があるわけではないので「期限」などを失念しやすい。そこでやるべき手続きを項目で表示して、対応を促す機能になる。例えば、マイナンバーカードの期限は10年だが電子証明書は5年で更新となり、更新しないとe-Taxなどが行なえくなる。こうした「忘れてはいけないこと」をマイナポータルの画面上でわかりやすく表示する。

また、現在申請中の手続きなどが確認できるほか、申請ミスなどによりやりなおしが発生した場合も情報をすぐに伝え、再申請を忘れないように促す。

α版として提供する理由について、浅沼デジタル監は、「これまでの行政サービスでは完成されたサービスを提供し、1年かけて改善するというやり方だった。利用者にとってやさしいサービスを実現するために、開発段階から利用者に使っていただき、短期間で改善を繰り返すことでより利用実態に合ったサービスを実現していく。目指すのは、行政サービスの開発プロセスを変えていくこと。利用者と一緒にサービスを作る形に変えていきたい」とした。

新マイナポータルの特徴・取り組み
薬の記録をかんたんにふりかえり

現在のマイナポータルにある機能を、アクセスまでの手間を減らすように見直し。例えば薬剤や医療費の記録をかんたんにふりかえることができる

ライフイベントごとに手続きを発見

自身にとって必要な手続きを見つけやすいように見直し。例えば「出産」「国外への渡航」など、生活や人生にまつわるできごとについての案内から手続きを探すことができるように

手続きの期限をお知らせ

スピーディに実証環境を準備し、価値ある改善を目指すため、機能、ページ、環境を一部より絞って提供。例えば手続きの期限を忘れないようリマインドする「やること」機能は現在開発を進めており、実証のなかで順次提供する

また、今秋の実績として入国手続の「Visit Japan Web」の改善について紹介。My SOSと統合することで1つのサービスで使いやすくしたが、「まだまだ改善が必要」という。2023年4月以降は、パスポート情報の読み取り機能や第三者による代行入力などの機能強化を行なう。

政策データダッシュボード開始。第1弾はマイナンバーカード

デジタル疔では、情報公開の取り組みも強化。11月に公開したWebサービス開発を助ける「デザインシステム」では、5万件以上の閲覧や4,000以上のダウンロードが行なわれ、自治体での新規のシステム開発などに役立てられるという。また、Webアクセシビリティのガイドラインも提供。その普及活動に努めている。

また、19日18時からは政策データダッシュボード(ベータ版)を公開する。従来から新型コロナワクチン接種システム(VRS)の情報を公開し、データダウンロード数は30万を超えた。これにとどまらずオープンデータとして、より多くの行政情報の公開を順次進めていく。

19日からはマイナンバーカードの交付枚数、健康保険証との紐づけ数、公金受取口座の登録数など、マイナンバーカードに関連するデータを公開。今後、そのフィードバックをみて、どういう情報が必要か検討していくという。

フロッピーディスクなどのアナログ規制の見直しも推進。2024年6月を目処に9,000の条項の見直しを予定している。また民間活用のためのテクノロジーマップの整備や、IT公共調達の促進に向けた日本版「デジタルマーケットプレイス」の導入を検討開始。デジタルマーケットプレイスでは、手続きの簡素化や調達期間の短縮、事業者の実績のWebでの公開(再委託含む)などにより、スタートアップでも参加しやすくする。