ニュース

周囲に声がもれない防音マイク「mutalk」小さくなった量産版の予約開始

Shiftall 防音Bluetoothマイク「mutalk」。上は開発中のVRヘッドセット「MeganeX」

Shiftallは、防音Bluetoothマイク「mutalk」(ミュートーク)の予約を開始した。出荷は11月~12月を予定する。価格は19,900円。

2022年1月に開発を発表していた製品。発表時から20~30%容積を減らした小型化に成功し、より小ぶりなデザインになった。

左が2022年1月発表時のmutalk。右が小さくなった量産型

最大の特徴は平均で-20dB、高音域では-30dBという大幅な消音効果を実現する点。また、しゃべる人の声を外に漏らさないほかにも、周囲の騒音をマイクが拾いにくいという特徴も持つため、騒がしい環境でも使ってもメリットを得られる。

Bluetooth接続のマイクとして機能し、パソコンやスマートフォンとペアリングして利用する。加えて3.5mmのステレオミニジャックも装備しており、ヘッドフォンやイヤフォンを接続してBluetoothヘッドセットとして利用することもできる。スマートフォン用のアプリも用意され、ファームウェアアップデートやシリアル番号の確認、電池残量の確認が行なえる。Bluetooth Ver.5.1に対応、BluetoothのHD Voiceとして16bit 16kHzに対応する。対応プロファイルはHSP、HFP。

声はネジ止めされたパーツのスリットから奥に抜けていく

mutalkの消音の原理はヘルムホルツ共鳴器の原理を利用したもので、パナソニックの音響のプロも構造の設計に参加。消音機能自体は完全なアナログ機構で、電気を使用しない。口元が当たるマウスパッドとつばなどの飛沫を受け止める吸湿パッドは簡単に取り外せて水で洗えるようになっている。

専用バンドを使えば頭に固定でき、両手がハンズフリーになる。一方で、バンドを使用せず片手で持って、喋るときだけ口に当てる使い方も想定。机に置くと自動的にマイクがミュートになる機能も搭載する。ミュート中は電源などのインジケーターランプがオレンジ色で点滅して分かるようになっている。

通常のマイクと異なるのは、相手には少し鼻声に聞こえるという点が挙げられている。これは鼻を覆うと息苦しくなってしまうため。なお本体全面のスリットには通気孔が設けられており、空気自体の移動はmutalk内でも発生する。このほかインサイドアウト方式でトラッキングするVRヘッドセットの場合、mutalkが遮る形になるため、下方の認識が弱くなる場合があるとしている。

「mutalk」(SVP-OD1W)の連続動作時間は約8時間。充電端子はUSB Type-Cで、充電時間は約1時間。マイク入力感度は-51db±3.5dB、周波数帯域は100Hz~1kHz。本体サイズは123×107.5×67mm、重さは183g。

「声を出す場面が増加」という課題に対応

Shiftall 代表取締役CEOの岩佐琢磨氏は、過去2年間のさまざまな環境の変化を指摘する。在宅勤務の増加だけでなく、外出先やカフェでも仕事をするスタイルが増加、その結果としてビデオ会議が常態化し、自宅や外出先で喋る機会が格段に増加している。また仕事以外でも、YouTuberやVTuberが増加、SNSでも音声配信プラットフォームが拡充されるなど、配信環境はますます充実しており、プロ・アマチュアと問わず「声を流す」という行為がかつてない規模で増加している。

Shiftall 代表取締役CEOの岩佐琢磨氏

その一方で問題として、喋っている声を同居人や周囲の人が“聴かされる”ケースも増加。特にゲームやVRヘッドセットといったエンターテインメントにおけるボイスチャットの利用は、夜間などプライベートな時間帯が多く、家庭の中でも問題になることが増えている。

mutalkの発案は、パナソニックに所属するデザイナーの大嶋氏によるもの。さまざまな場所で働くようになるという予測や研究からヒントを得て、かねてから温めていたアイデアという。その後、コロナ禍での自宅勤務中、ビデオ会議が続き、隣の部屋で仕事をしている妻から「声が大きい」とクレームが入ったことをきっかけに、「OTODENWA」(音が出ないの意)というコンセプトにまとめ、社内に提案。Shiftallの岩佐氏が、ゲームやVRにも相性が良さそうと賛同し、Shiftallの製品として開発、量産化にまでこぎつけている。

岩佐氏(左)と大嶋氏(右)