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新宿西口~南口・京王百貨店周辺再開発。新宿グランドターミナル

イメージパース(西口駅前広場より)

京王電鉄とJR東日本は、新宿駅西南口地区開発の計画概要を発表した。現在京王百貨店がある場所から、甲州街道をまたいだ渋谷区代々木2丁目を含むエリアにおいて、両社が事業主体となる再開発が進められる。工期は2023年~2040年代。

場所は新宿区西新宿1丁目および代々木2丁目各地内で、区域面積は約2ha。現在の京王百貨店の場所を含む北街区と、甲州街道をはさんで渋谷区側の南街区に分けられ、北街区の工期は2040年代まで、南街区は2028年度までを予定している。

京王百貨店
位置図

全体の敷地面積は約16,300m2、うち北街区は約10,000m2、南街区は約6,300m2。規模は、北街区が地上19階、地下3階、最高高さ110m、延べ面積約141,500m2、南街区が地上37階、地下6階、最高高さ225m、延べ面積約150,000m2

イメージパース(西側より)
配置図

計画地は、2018年3月に東京都・新宿区から公表された「新宿の拠点再整備方針」に示されている、「駅・駅前広場・駅ビルを一体的に再編し、駅とまち、まちとまちを繋げ、新宿全体を活性化させる次世代のターミナル『新宿グランドターミナル』」に位置する。

新宿グランドターミナルの実現に向けた開発は、現在小田急百貨店がある場所で「新宿駅西口地区開発」として計画が進められており、西南口地区と西口地区で連携して推進する。

新宿駅西口地区開発 イメージパース
現在の新宿駅西口

新宿グランドターミナルでは、「駅とまちの連携を強化する重層的な歩行者ネットワークの形成」、「にぎわいと交流を生み出す滞留空間等の創出」、「人中心の駅前広場・周辺道路の環境整備」といった基盤整備推進が掲げられている。

新宿の拠点再整備に向けた主な取り組み

その中で新宿駅西南口地区の課題として、「鉄道や道路によりまちが分断」、「わかりにくく混雑している乗り換え動線」、「歩行者空間において段差やレベル差が多く発生」、「滞留空間や交流空間の不足」、「視認性に乏しい駅の入り口」、「荷捌車両等による歩者交錯等」を挙げる。

まちの分断については特に、鉄道や甲州街道、1号街路等を横断できる歩行者通行空間が限定的であることを挙げ、解決のために東西南北の歩行者中心のネットワークを構築する。

具体的には、現在の京王百貨店のヨドバシカメラ新宿西口本店側に南北デッキを整備し、さらにヨドバシカメラ方面へ向けた都道横断デッキを整備する。また、南北デッキと連携し、甲州街道を横断する国道デッキを整備するとともに、南街区建物内を貫通して新宿サザンテラス、バスタ新宿方面に往来できる歩行者ネットワークを整備する。

2階 南北デッキイメージ
2階 建物内を貫通する歩行者通路イメージ

そのほか、新宿西口地区や鉄道事業と連携し、地下2階に西口駅前広場の歩行者交錯を緩和する乗換動線を整備するとともに、甲州街道の地下に南北のつながりを強化する西南口地下駅広場を拡張整備。あわせて主要な歩行者ネットワーク沿いや南北街区敷地内にエレベーター等を配置し、バリアフリールートを確保する。

滞留空間の不足に対しては、新宿駅西口地区と連携し、グランドターミナルの一体化を象徴する人中心の広場を、建物中層部および高層部に形成。南北400mに渡る「スカイコリドー」を整備する。また、北街区と新宿西口地区を接続する2階、5階、9階に「新宿テラス」を整備し、縦動線と新宿テラスが一体となった「グランドシャフト」を整備する。南街区では中層部と高層部に「新宿テラス」を整備し、甲州街道からの視認性が高い「グランドシャフト」を整備する。

北街区
南街区

歩車交錯の課題に対しては、人中心の環境とするため、都市計画駐車場のネットワーク化を推進。西口と南口の駐車場の車路を接続するほか、地上部車両出入口での歩行者交錯を低減するため南口駐車場の車路高さを回収して受入車種を拡大する。また、南口駐車場内に移動制約者対応駐車スペースを拡充し、バリアフリー乗降場を新設する。そのほか、道路上での荷捌きを抑制するため、南口駐車場内に共同荷捌き場を新設する。

歩行者環境については、街路の整備や電線類地中化等の整備を進める。

新宿駅西南口地区開発に際しては、国際競争力強化、環境負荷低減と防災対応力強化に向けた取り組みも推進する。

国際競争力強化に向けては、観光に関わる情報発信・体験施設および観光コンテンツ創出施設の整備や、宿泊施設の整備を進める。宿泊施設については、北街区にライフスタイルホテル、南街区にラグジュアリーホテルと、異なるタイプの宿泊施設を整備する。

環境負荷低減に向けては、エネルギーの効率利用や省エネルギー、自然エネルギーの活用など、建物の総合的な環境性能向上を図る。また、周辺地域の地域冷暖房と連携して面的エネルギーネットーワークを構築し、エネルギーの効率的な運用による環境負荷低減を目指す。

防災対応力については、帰宅困難者の一時滞在施設や防災備蓄倉庫を整備するほか、災害時にも安定してエネルギーを供給できる非常用発電等を整備する。一時滞在施設は約5,830m2、約3,540人分の計画。