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電子帳簿保存法改正で何が変わる? 22年1月施行、知らない人は7割

クラウド請求書受領サービス「Bill One」を提供するSansanは、2022年1月に施行される改正・電子帳簿保存法について、メディア向け説明会を実施。企業にとって何が変わるのかを解説するとともに、改正について「知らない」と答えた人は7割に及ぶなどの調査結果を公表した。

電子帳簿保存法では、各税法で原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について、一定の要件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めている。改正・電子帳簿保存法で変わるのは、メール等により電子データで受け取った請求書などの書類、および紙で受け取った書類の、それぞれの保存方法。

これまでは、電子で受け取った書類は原則として電子保存ながらも、紙での保存も容認されていた。そのため、郵送などにより紙で受領した請求書と、電子データで受領して紙に印刷した請求書の一元管理が可能だった。紙で受け取った請求書については、紙での保存を原則とし、税務署申請をすることで電子保存も可能だった。

現行の電子帳簿保存法(12月31日まで)

改正・電子帳簿保存法が施行される1月1日からは、電子データで受領した請求書の紙での保存は容認されず、電子での保存のみ認められる。一方で紙で受領した請求書の電子保存については申請が不要となり、紙でも電子でも保存できるようになる。

これにより、これまで電子データを印刷して紙の請求書とまとめて一元管理するという方法が難しくなり、紙を電子化して電子により一元管理する方法は容易となる。

Sansanが実施した、請求書関連業務に携わる1,000名を対象とした、受け取る請求書の形式に関する調査によると、最も多かったのは「紙の請求書と、PDFなど電子形式の請求書が混在している(54.7%)」で、次いで「すべてが紙の請求書(39.9%)」、「すべてがPDFなど電子形式の請求書(5.4%)」だったという。

また、請求書の電子保存に関して求められる要件として、「真実性の確保」と「可視性の確保」がある。真実性とは、それがユニーク(単一)であることの担保、可視性とは可読性や検索性、つまり正しく読めるか、すぐに探せるかの担保が必要になる。

真実性について国税庁は「タイムスタンプが付された後の授受」、「速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す」、「データの訂正削除を行なった場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用」、「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」のいずれかの措置が必要としている。

可視性は、特に検索性について、日付、取引金額、取引先名での検索において、2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定して検索できる機能の確保が必要とされているという。

こういった真実性と可視性を確保して電子保存するには、PDFの請求書データのファイル名に規則性を持たせる、取引先や各月などフォルダ分け、Excel等によるリスト管理などが必要となり、結果として業務が増えることとなる。

一方でこの改正についての理解度は、Sansanの調査によれば「改正内容まで理解している」という回答は8.8%にとどまり、最も多かった回答は「知らない(72.4%)」だったという。

こういった状況下におけるクラウド請求書受領サービスの強みを説明。電子データのみならず、紙の請求書を代理受領・代理スキャンをしてクラウド上で一元管理するため、自社や取引先の業務負担を増やすことなく、真実性と可視性を確保できるとアピールした。またSansanでは100名以下の企業向けにBill Oneの無料提供を開始しているほか、電子帳簿保存法の認知促進に向けて弁護士兼税理士が登壇する企業担当者向け解説セミナーを実施している。