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未だ進まぬ請求書のデジタル化。コンカーがLINEらとの連携で普及目論む

コンカーは、企業の請求書業務デジタル化を目指す「デジタルインボイス構想」を発表した。インフォマートやLINEとの連携により、クラウド上での請求書受け渡しや紙の請求書のデジタル化から、承認、保管まで完結できる、経理部門も在宅勤務へ移行可能な「Concur Invoice」の提供を進める。

コンカーでは、リモート経理に向けた請求書の電子化に関する、日本企業の財務幹部を対象とした実態調査を実施。請求書業務全般について負担だと感じている人が87%で、負担を感じる業務の内訳を見ても、受取・入力・承認やチェックのいずれも多い結果となった。

請求書業務が効率化されていない原因としては、66%の人が「紙業務の多さ」と答え、また受領する請求書のデジタル化の比率について半数が10%未満と、請求書のデジタル化が遅れている現状を紹介。さらに回答企業のうち75%が、請求書業務のために出社を強いられていたという。

一方で請求書のデジタル化の必要性を感じる人は9割以上で、デジタル化に取り組んでいる企業は半数以上という結果だった。すでにデジタル化された請求書に対応する請求書管理システムがある企業は37%だが、この数字も想定よりも多かったという。

こういった現状を受け、紙の請求書がボトルネックとなり、経理部門のリモートワークを妨げているものと分析。中でも間接材購買における請求書のデジタル化が遅れていると指摘した。

デジタルインボイス構想では、これらの課題を解決するため、インフォマートが提供するクラウド請求書サービス「BtoBプラットフォーム請求書」や、LINEが提供するAI文字認証サービス「CLOVA OCR(請求書特化型)」と連携し、デジタル化による請求書業務改革を目指す。

インフォマートとの連携では、BtoBプラットフォーム請求書で受け取ったデータをボタン1つでConcur Invoiceに連携可能とすることで、生産性の向上、ペーパレス化につなげる。

LINEとの連携では、デジタル化に対応していない仕入れ先から送られてくる紙やPDFの請求書に対応。請求書に特化したAI-OCRで、紙やPDFの請求書データを読み取り、Concur Invoiceに連携する。

AI-OCRでは、PDFの場合はそのデータを、紙の場合はスキャンによりPDFに変換したデータをドラッグ&ドロップにより読み込ませ、データ化できる。これにより請求書の手入力業務の工数や項目分類業務の工数が削減できるとしている。

読込後の確認画面

またコンカーでは、AI-OCRの入力代行の提供も計画。請求書の送付先をコンカー側にすることで、郵送やファックスで送られてくる紙の請求書の読み込み作業のための出社も不要とする。

Concur Invoiceに連携された請求書の承認もデジタル化。スマートフォン等を使用して出先で承認することもできる。

また、購買規定のチェックや不正検出を自動で実施。例えば、請求書番号が以前出したことがあるものと重複している場合はアラートで知らせる。これにより、入力漏れやミス・規定違反、不正等の削減につながるとしている。そのほか、コスト削減のポイントを可視化する機能も有する。

請求書データは、電子帳簿保存法に対応した形でクラウドにデータ・画像保管。紙の原本保管では書類探しにも出社や時間を要したが、Concur Invoiceではオンラインで検索できる。

Concur Invoiceの普及計画は対2020年比で、’21年は約1.5倍、’24年は約3倍を目指す。また機能面では、ECサイトでの購買データとの連携も計画している。