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楽天、EC堅調で顧客“定着化”。金融エコシステムも拡大

楽天グループ 三木谷浩史社長(オンライン決算会見から)

楽天グループは11日、2021年度第2四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比15.8%増の4,022億円で、営業利益はマイナス595億円(Non-GAAP)。投資フェーズのモバイル事業の損失が拡大しているが、通信料金1年間無料キャンペーンが順次終了しているため、「今後の収益の改善が期待される」としている。なお、モバイル、物流と投資事業の損益を除くNon-GAAP営業利益は469億円で、前年同期比35.6%増。

楽天市場は堅調。顧客「定着化」

国内EC取扱高は、コロナ禍の巣ごもり需要により、取扱高が急増した前年同期と比較しても成長しており、前年同期比12.2%となった。

「楽天市場」では、共通の送料無料ライン(3,980円以上で送料無料)の導入などの施策が奏功したことに加え、コロナ禍の「巣ごもり消費」などを背景に顧客の「定着化」が進んだという。ロイヤルユーザー(3年で36回以上購入)は12.5%で、コロナ禍以前の4.5%より大幅に増加した。

また、楽天市場と楽天ラクマ、RakutenFasion、楽天西友ネットスーパーなど「クロスユース」ユーザーが拡大している。

物流においては、7月1日付けで日本郵便との合弁会社「JP楽天ロジスティクス」を設立完了。楽天の物流拠点を日本郵便の配送網に組み込むなどによりシームレスな物流ネットワーク構築を目指すなど、物流DXを促進していく。

ネットスーパー事業も強化し、専用の物流センターも立ち上げ。2025年の流通目標を1,000億円以上とした。

金融経済圏も拡大。カードは2枚目対応。銀行はメイン口座化

フィンテックにおいては、楽天カードを入り口に「楽天金融経済圏」の拡大を図るほか、各サービス感の連携を進めていく。

楽天カードの発行枚数は2,300万枚。ショッピング取扱高は前年比34%増となり、取扱高シェアは21.1%となった。また、楽天カードの2枚目発行が可能になったことで、さらなる顧客のウォレットシェア拡大を図る。

楽天銀行は国内ネット銀行で初の1,100万口座を突破。消費者のオンラインシフトにより口座開設数の伸びが拡大しているほか、他行からの預金シフトにより預金残高も6兆円を超えており、給与振込口座などの「メイン口座化」が進んでいる。

楽天証券は、6月末時点で624万口座となり、営業収益は前年同期比で約20%増と成長している。楽天経済圏を活用した施策により、投資初心者層が拡大。また、投信積立は164万口座と拡大し、うち楽天カード決済が76%を占めている。さらに、ロボアドバイザーの「らくらく投資」も開始。投資初心者の対応を強化していく。

保険事業では、オンライン販売の好調に加え、対面販売の一部回復により、生命・損保ともに新契約獲得が拡大している。

楽天ペイメントでは、楽天ペイのアプリリニューアルや、楽天キャッシュをハブにしたサービス構築を行なっていく。

「楽天ペイ」アプリ大幅刷新へ。ポイント・金融など集約

モバイルでクロスユース促進

モバイルサービスにおいては、顧客獲得が順調に進捗し、申込者数は442万件。通信料金1年間無料キャンペーン期間が終わった契約者から通信量の支払いが開始され、通信量収入が計上され始めているが、ネットワーク関連費用やローミング費用は増加している。4G人口カバー率は90%(6月末時点)。

楽天モバイルによる楽天新規ユーザー比率は19%。楽天モバイル契約により、楽天市場や楽天カード、楽天銀行、楽天ペイなどの加入・利用などクロスユースが増加することから、モバイルユーザーへの楽天サービス提案を加速する。

楽天エコシステムを利用するユーザー数も増加しており、2サービス以上利用するユーザーの割合は73.9%。楽天サービスの平均月間利用者数は、外出自粛等による需要の押し上げがみられ始めた前年同期と比較しても12.5%増となっている。