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メルカリ、ドコモ提携で出品強化と宣伝費削減。第2四半期決算

メルカリ 小泉文明 取締役会長

メルカリは6日、2020年6月期第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比39%増の184億円、営業利益はマイナス68億円(前年同期はマイナス57億円)。日本のメルカリは好調だが、投資フェーズのメルペイと米国メルカリで赤字が拡大している。決算会見では、ドコモとの提携によるメルカリやメルペイへの影響や、Origamiの統合による今後の展開についても説明した。

ドコモ提携をメルカリ出品強化に活かす。マスク問題に対応

日本国内のメルカリ事業は、GMV(総流通額)が1,544億円、売上高が144億円、営業利益が45億円。GMVの伸びは前年比20%。30%成長を目標にしていたが、暖冬の影響や昨年に広告宣伝投資による反動もあり、20%に留まったという。また、前年度は「購入」を重視した施策でGMVを拡大したが、その影響で在庫(メルカリ上の商品)が不足傾向となったため、第1四半期からは「出品」を強化した点もGMVに影響しているという。出品者は順調に拡大しているため、第3四半期以降の回復を目指す。

出品強化のために、オフラインで展開している「メルカリ教室」の受講者も増加。メルカリ教室は、4日に発表したドコモとの提携も活用し、さらなる出品拡大につなげる。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で品薄になっている「マスク」が、メルカリ等フリマアプリで高額で転売されていることについては、「状況は把握しており、注意喚起を出している。品薄になっている状況下で、限度を超えている人には注意喚起や削除を行なう」(メルカリ 小泉文明 取締役会長)とした。

メルペイ独自の加盟店開拓は停止。ドコモと協力

メルペイは、スマート払い(あと払い)の強化を拡大。また、Origamiを統合し、信金中央金庫(SCB)と業務提携したことで、Origami Payの加盟店(19万)と地方の中小事業者とのネットワークを拡大。もともと、メルペイとOrigamiの加盟店の重複は少なく、統合の効果を見込めるという。また、加盟店数の増加とともに、SCBの全国ネットワークを生かしたキャッシュレス化を推進。メルカリ教室などメルカリの出品強化にも活用する。

Origami Payのサービスは、メルペイに統合。重複コスト削減を図る。一時的なコスト増となるが、第4四半期以降は追加の赤字負担は生じないとする。

ドコモとの提携では、メルカリとdアカウントを連携し、相互に送客。両社のウォレット連携と加盟店共通化により、メルペイを「使える場所」を増やしていく。

また、ドコモ、SCBとの提携とOrigami統合による効果として、メルカリの広告宣伝の効率化やメルカリ教室などのオフライン施策の強化を狙う。メルペイとしては、ユーザー獲得と広告宣伝費の負荷軽減を狙う。今後の加盟店獲得は、ドコモとSCBのネットワークを活用し、メルペイ単独での小規模加盟店開拓を停止する。

キャンペーン等の拡大施策も予定しているが、「メルペイの強みはメルカリという売買のプラットフォーム。そこを生かして、ROI(投資対効果)を上げていく」(小泉会長)。ドコモとの提携など「キャンペーン負担は我々だけでは無くなることもある。パートナーとお互いのメリットの範囲でやっていく」(長澤啓 執行役員CFO)とした。

メルカリUSは、月間GMV 1億ドルを目指しているが、第2四半期(10-12月)の3カ月で1.27億と達成は遠く「道半ば」(小泉)。GMV成長率は前年比46%で、認知は拡大しているが、マーケティング費用などがかさんでいる。

メルカリは、今年度を「勝負の年」と位置付け、投資フェーズのメルペイとメルカリUSにおいて、今後の投資方針を見極める方針。「USもメルペイも今年の成績をみて、市場関係者から許容いただけるか見極める。USについては、いつ100ミリオン(1億ドル)を達成できるかをみていく」(小泉会長)とした。