インタビュー

ペットと共生する幸せVol.2
離婚の危機を回避!? 子どもの未来を広げる!?

前回では、ペットとの共生を広げることで、高齢者のQOLが大きく改善し、健康で長生きできて医療費の削減につながる、というお話をうかがいました。今回は、高齢者ばかりでなく子どもから親、社会全体にわたるまで、ペットとの共生が素晴らしい毎日を築くために大きく貢献する、明るい未来像をお伝えしていきます。

ペットと一緒なら、健康で思いやりのある子どもになる!

なぜこんなことができるの? と背筋が凍るような凶悪犯罪のニュースが後を絶ちません。子どもたちや若者、親世代に至るまで、心がどこか荒んでいるのではないか、社会全体に優しさが薄れてきているのではないかとお感じの方も多いことでしょう。どうしてこんな悲劇が起きてしまうのか。理由はいくつも考えられますが、子ども時代に「思いやりの心」が充分育まれなかったことにも、大きな原因があるのではないでしょうか。

越村会長「ペットとの共生は、子どもの成長にも大きく貢献します。赤ちゃんや幼児の頃からペットと暮らしている子どもは、優しい心が育まれ、他人を思いやる大人に育ちやすいという調査結果が欧米で発表されています。また、知性の発達、心の健康という面でもペットとの共生は大きな効果を発揮し、動物との触れ合いを採り入れたさまざまなプログラムが行われています。たとえばアメリカには、"グリーンチムニーズ"という、発達障害や学習障害、精神的な問題を抱えたお子さんを保護する施設があります。虐待による心の傷、自閉症、アスペルガー症候群などに苦しむさまざまなお子さんが、200種類もの動物と一緒に生活していくことで健やかな心を取り戻し、2年ほど後には一般の学校に戻ることができるのです」

一般社団法人ペットフード協会会長 ペットフード公正取引協議会会長 越村義雄さん
動物とのふれあいを通して子どもたちの心のケアをするアメリカのグリーンチムニーズ

アニマルセラピー、という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。動物と触れ合うだけで、人の心は安らぎ穏やかになる。ペットを飼っているみなさんなら、動物による癒しがどれほど素晴らしいものなのか、ご自身で実感しているはずです。凶悪犯罪に手を染めてしまった受刑者に、刑務所内で動物の世話をさせることで矯正効果をあげている国もあるそうですから、恐るべし動物パワー、というほかありません。

越村会長「言葉の成長がやや遅れているお子さんの子育てにも、ペットが大きな手助けとなってくれます。おとなしいペットに向かって本を読み聞かせてあげるのです。ペットは黙って聞いてくれますからモチベーションが高まる。人間の親は、もうちょっと上手に読めないのとか、そこは違うでしょとか、ついつい余計なことを言ってしまいがちですからね。アメリカで行われた調査では、リーディングプログラムを通じて、読み聞かせの能力が2段階ほど上がるという結果が出ています。子どもにとってペットとの暮らしは、教育の一環としてとらえてもいいでしょう」

ペットとの暮らしは、子どもの心の健康はもちろんのこと、身体の健康にも効果的です。

免疫力だけでなく、ペットとの暮らしは子どもたちによい効果をもたらします
※ペットフード協会調べ

越村会長「いまの時代は、除菌や無菌があまりにも重要視されすぎなのではないでしょうか。小さいころからペットと暮らすと、感染症やアレルギー疾患に罹りにくいというデータがありますし、子どものころにさまざまな環境を体験することで、免疫力のある子どもに育ちます。私も花粉症はありませんが、新潟の田舎でウシやブタやニワトリと触れ合いながら育ったのがよかったのではないかなと思っています」

ペットがいると夫婦ゲンカが4割も減る!

もちろん、ペットによって癒されるのは子どもだけではありません。大人もまた、ペットと暮らすことで穏やかな毎日を送れるようになります。

越村会長「ペットは家庭内における潤滑剤的な存在です。夫婦の会話が少ないご家庭、離婚の危機だというご家庭でペットを飼うと、夫婦の会話が5割くらい増え、逆に夫婦ゲンカは4割くらい減るという調査報告もあるのです。また、妊産婦の方では母乳の出がよくなったという報告がありますし、産前産後や育児の不安が減って精神的に安定するようです。最も生活に喜びを与えてくれるものは何か、という調査では、犬を飼っている方ですと、1位が家族、2位がペット、3位が趣味の順でした。対して猫の飼い主では、1位がペット、2位が家族、3位が趣味で、1位と2位が逆転しています。なぜこうなるのか、私が考えるに、ペットとのさまざまな触れ合いで分泌される、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが関係しているのではないかと思います。今年3月末で麻布大学を退官され、現在、東京農業大学の太田光明教授の研究らの麻布大学での研究・調査によると、犬をなでているよりも猫をなでているほうが、オキシトシンの分泌量が多いのだそうです」

ペットは生活の中で大きな存在となっています
※ペットフード協会調べ
ペットは夫婦の関係も良好にしてくれる結果が出ています
※ペットフード協会調べ

太田教授が飼い主と犬とのオキシトシン濃度を調べたところ、互いに信頼し合い心が通い合っている飼い主と犬が触れ合うだけで、人も犬もオキシトシン濃度が大きく上がりました。増えなかった人はすべて、ペットとの関係がいまひとつのペアだったそうです。ペットと人との絆、心のつながりが、私たちの心の平穏にどれほど大きい効果を与えてくれるのかがよく分かる結果です。何かとストレスが多いいまの時代、ペットとの共生は幸せに暮らすための必須条件になりつつあるのかもしれません。

次回は、そのペットとの共生が、日本経済や社会の活力にも大きく貢献するという話題をお伝えします。

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