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年末の大掃除、モバイルバッテリーや充電池内蔵機器はどう処分する?

だいぶ年季の入ったモバイルバッテリー。初期のものなら10年使っているものも

年末になって大掃除や使わなくなったものの処分を進めたり検討したりしている人は多い時期です。数年前から急激に増えているモバイルバッテリーや充電池内蔵機器もそろそろ寿命を迎えたり、買い替えの時期が迫っています。そこで、処分方法を考えてみました。

電池類の処分はきちんとしないと怒られる

現在、充電池内蔵機器は増え続けています。以前なら携帯電話などのメインの機器に限られていましたが、ワイヤレス接続が普及するとそれぞれの機器に充電池を搭載するようになりました。Bluetoothスピーカーの多くは充電池を内蔵して電源接続なしで使えるようになって便利になっているほか、数年前からはワイヤレスイヤホンが爆発的に普及しています。

特にワイヤレスイヤホンは片耳ずつ別体のものが増え、しかもケースに充電機能があれば、ワイヤレスイヤホンを1セット買えば、左右のイヤホンと充電ケースという合計3つの充電池内蔵機器が増えてしまうことになります。

モバイルバッテリーやスマホ、パソコン以外でも、Bluetoothスピーカーやイヤフォンなど、バッテリーを内蔵している製品は多い

その一方でリチウムイオン充電池は異常発熱したり発火したりする事故があり、取り扱いは慎重する必要があることが知られており、処分にはなおさら注意が必要です。可燃ごみとして捨てることは論外ですが、不燃ごみであっても、回収時にごみ回収車によって圧縮されることが多く、危険な状態になるため、絶対にごみ回収へ混ぜてはいけません。

以前のように充電池が取り外しできるような機器であれば、充電池だけは安全管理ができた処分方法を選び、本体は機器によっては不燃ごみなどで処分することも可能でした。しかし、最近の機器で充電池が取り外しできるような機器は少なく、周囲を見回しても外せるのはデジタルカメラくらいという状況です。

そして、処分するところがないからといって不法投棄をすれば罪になります。特に法人の場合は重い罰を課せられることが多くなります。

では、どこへ? 家電量販店の回収ボックスが王道だが、条件あり

処分方法ですが、まず、することはメーカーの回収がないかどうかを確認することです。作ったメーカーが回収すれば、分解も処分もいちばんその製品を分かっているところが処理してくれるため最も合理的で安全です。

メーカーの回収窓口がなければ、幅広いメーカーが加盟する一般社団法人JBRCという組織があり、家電店など協力店店頭などに回収箱を設置されているか、店員に言えば回収してくれるようになっています。現在のところ最も一般的な回収方法と言えます。ただし条件があり、JBRCの加盟企業の製品しか回収はしてくれません。

たとえば、最近は屋外キャンプで使われることの多くなった、コンセントの機器が使えるポータブルバッテリーがあります。これまでにない大容量のリチウムイオン充電池を搭載していますが、JBRC未加盟企業の製品がほとんどです。なかには自主回収を謳っているメーカーもあるものの、JBRCに未加盟、自主回収体制も確立していないというメーカーも残念ながら存在します。

ポータブルバッテリーについては発展途上の製品で、今後、体制が確立する可能性はありますが、メーカーも回収していない、JBRC加盟でもないとすれば、専門のリサイクル業者、または住んでいる自治体の処分方法に従うことになります。

自治体のWebサイトには、ごみの回収方法だけでなく分別方法と同時に回収できるものとそうでないものの区別が記載されています。パソコン、家電、自動車などリサイクルの法律があって自治体が回収できないものはそれぞれの機関に相談するように案内されているほか、最近ではモバイルバッテリーについての記載も増えてきました。

いくつかの自治体のWebサイトを見たところ、モバイルバッテリーなど充電池内蔵機器はJBRCの回収に頼るように記載がありました。JBRC加盟企業の製品でないと回収できないはずですが、その点に全く触れていない場合もあります。

世田谷区の告知。リチウムイオン電池などは区の収集の対象外と告知している

また、一部では小型なら「有害危険ごみ」として回収できるところもあります。ただし、それは少数派です。

つまり、JBRC非加盟のメーカーの製品で、自治体の回収がなければ、かんたんな適正処分方法はあまりないということです。このことはしっかり覚えておく必要があります。

リサイクル業者は機器によっては無料で引き取ってくれることも

処分方法がない製品はどうしたらよいでしょうか。まず、リサイクル業者を探すことです。リチウムイオン充電池を内蔵したパソコンや情報機器では無料回収してくれる業者がたくさんあり、検索すればたくさんの企業が見つかります。なかには持ち込みしなくても、宅配便で回収してくれるというところもあり、処分したい品目が合致すればかなり便利な回収方法です。

ただし、これはバッテリー内蔵のパソコンや携帯電話といった資源としても価値が大きなものに限られることが多いです。回収業者のWebサイトにはかなりの数の取り扱い品目が記載されていますが、充電池であるモバイルバッテリーや充電池内蔵の小型家電だと回収品目に入っていないことも多いです。

リサイクルマークがある

回収品目に入っていない場合はリサイクル業者に問い合わせてみてもいいでしょう。リチウムイオン充電池も希少金属が入った資源ではありますが、あまりに小型な機器となると業者としても無料回収では利益にならず、有料など別の条件で回収を提案してくれるかもしれません。

また、家電店においての回収もJBRC加盟企業に限ると明記していなところや「相談にのる」としているところもあります。本当に処分に困っているのなら確認や相談をしてみるといいでしょう。

メーカーの下取り、リサイクルショップ、買い換えずに使う

メーカーの回収が適しているとしましたが、下取りや買い替えキャンペーンを積極的に行なっているところもあります。例えばAnkerは、無料回収だけでなく不定期に買い替えのキャンペーンとして、Anker製のバッテリーなら下取り回収した上で、下取り金額を値引いて新しいバッテリーを販売してくれます。

まだ使える機器ならば廃棄に回さずリユースという方法を選ぶこともできます。電子機器のリサイクルショップはたくさんあり、パソコンや情報機器だけでなくモバイルバッテリーも買取していることも多く、誰かが有効活用してくれそうです。そのまま使い続けられるのですから、最も環境にもやさしい方法と言えるでしょう。

なお、スマートフォンでは充電池劣化で即廃棄ということにはなりにくいですが、モバイルバッテリーの場合は性能劣化や機能面で障害があれば、廃棄と買い替えに結びつきがちです。また、劣化のほかに故障や破損ということもあります。

例えばコネクター部分を破損するなど使用に支障のある場合でもいきなり廃棄ということを考えずに、メーカーにサポートを依頼すれば、適正な方法でバッテリーが修理されるか、新しいものに交換され、充電池の処分方法に困ることはありません。

いずれ、有害ごみになると認識

モノを買うときは将来の処分方法まで考えず購入することが多いと思いますが、リチウムイオン充電池など、使い方や処分には危険を伴うものが多くある現在、将来の処分方法については意識しておくべきと言えるでしょう。

たとえばJBRC非加盟メーカーのモバイルバッテリーでメーカーも回収していないような製品でも、リユースとしてほかの人に譲ってしまえば、最初に購入した人は処分する責任を負う必要はなくなります。しかし、将来の廃棄とリサイクルまで確実に行なわれるかどうかについて、全く考えなくていいかと言えばそうではなく、地球に暮らす人間としては、将来の有害ごみを発生させる可能性があると認識すべき問題ではないでしょうか。

年末で機器の処分と新規購入の多い時期ですが、新たに何かを購入する際はバッテリーに限らず使用後のリサイクルまで視野にいれた製品選びをして、処分する機器があるなら、地球環境に対して適正な方法で処分を考えたいものです。