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カーナビに感動&人生初のセルフ給油:脱ペーパードライバーへの道(3)

ペーパードライバー歴18年のわたくしが、思いつくままに軽自動車を購入し、すがるように「ペーパードライバー教習(2時間×3回)」に申し込んだ「脱ペーパードライバーへの道」。前回は実際にペーパー教習を受け18年ぶりに運転してみた、というお話でした。第3回目の今回は、ペーパー教習後半です。教習1日目におっかなびっくり公道を走ってみましたが……2日目、3日目も基本オロオロしながら教習を受けていきます。

第1回:運転しない歴18年の男、車を買う
第2回:出張教習で18年ぶりの運転

「左右確認が甘い」と補助ブレーキがガン!

1日目の出張教習から約1週間後、再び緊張の時間がやってきました。約束の午前10時に駐車場に向かうと、すでに前回と同じお兄さんがほがらかな笑顔で待っています。不安な気持ちをほぐしてくれる朝のご挨拶。ひそかに「師匠」とお呼びすることに決めました。

クルマに乗り込むと、まずは例の儀式、「補助ブレーキ」(教官がブレーキペダルを押す器具)のセッティングから始まります。よくよく考えると、いざというときはこの補助ブレーキ1本で、客の命を守り、ひいては自分の命を守らなければなりません。ある意味大変なお仕事なのかもしれません。

ということで、今回もまずは駐車場の周辺を左回りぐるぐる。そしてバス通りに出て右回りぐるぐる。相変わらず緊張感は抜けませんが、「師匠、それなりに余裕っす」と心のなかでつぶやきます。

一度車庫入れを練習するため駐車場に戻るということで、路地をノロノロ進んでいると左から軽トラックがヒュッと出てきて、補助ブレーキがガン! 「停止線で左右確認が甘いままチョロチョロ出てはいけません」と師匠。2分前に「余裕」と心につぶやいた自分をグーパンチしたくなります。

師匠の指示に従い通ったことがない道へ

そんなこんなで車庫入れして、また出発するのですが、師匠が「ちょっとだけ遠くに行きましょう」と言います。遠くと言っても、クルマで10分ぐらいの距離とのことで「よみうりランド」まで行くことになりました。さっそく「よみラン」にGOです。

これまで何度も娘たちとバスで向かった道を、スイスイ進みます。「○○分のバスだから急げ!」とか、バス停で遅延バスをひたすら待つとか、そういうこととは無縁の快適さ。クルマが便利だという事実を、さすがに痛感させられるひとときです。とはいえ、クルマだとプールでビールが飲めないじゃないか! という事実にも気づきます。ビールのないプールなど何がおもしろいのでしょうか。

そんなことを考えているうちに到着します。駐車場は1日おいくらの定額なので、駐めずに戻るとのこと。で、ロータリーから単純に来た道に行こうと思ったら「右でなく左に曲がってください」と師匠。左!? そっちの道は通ったことがありませんが、師匠に言われるがままに進みます。そして言われるがままに右折したり左折したり。これまで見たことのない街の風景がぐんぐん後ろに流れ去っていきます。

自転車みたいに立ち止まって「ここどこかしら……」なんて思案顔できません。クルマはこちらの不安をよそに前へ前へと進んでしまいます。もう師匠の「指示」がなければどうにもなりません! なんて話を信号待ちのときにしていたら「せっかくだからナビ入れてみましょう」と師匠。おもむろに自宅の住所を選択してピッと画面をタッチすると……なんということでしょう。自宅への道案内が始まるではありませんか!

もちろん、普段からタクシー乗ったりカメラマンのクルマに乗ったりしてるのでカーナビのなんたるか、ぐらいはわかっておりましたが、この不安感に襲われているときに「ナビ」が登場してくるという演出。さすが師匠です。これまでたくさんのペーパードライバーを導いてきただけのことはあります。入信しそうです。

そして、ナビ付きの三菱アイを勧めてきたディーラーの青年にも感謝です。「ナビはピンキリで、後付けしてもいいですが、このぐらいの古さならまだ使えますよ!」の言葉にのって正解です。思えば「後付け」しようにも、ペーパードライバー状態では、そもそもオートバックスにたどり着けないではありませんか。

結果として、ペーパードライバーはカーナビ付きを購入すべし、です。

「脱ペーパードライバーしたとしても、駅前とスーパーぐらいしか行かないわ」なんて言ってるペーパー奥さまもナビ付きにしておくこと。後日談ですが、勝手知ったると思ってた街並みも、信号間違えて曲がったり行き過ぎたりして、「アレレ、思ってた風景と違う」となるのです。そんなときも、ナビはやさしい声でフォローしてくれるのです。

と、これも後日談ですが「カーナビと食洗機は、衝撃的感動を与えてくれたツールだ」と、この記事の担当Kに話していたところ、「カーナビがないならないで、グーグルマップ使えばいいだけじゃないですか」とスンとした反応。

そうじゃないんですよね。そうじゃない。初めての取材先にスマホ眺めながら歩って行くのとわけが違うのです。ビクビクしながら乗るクルマに、グーグルマップでナビ? 理屈はわかりますが、そんなチャレンジングなことしないのがペーパードライバーなのです。スマホの画面をタッチして、わけのわからないアプリが立ち上がったらどうしようとか、心配性を超えて心配病にまで追い込まれることを理解していません。まったく何年ペーパードライバーやってると思っているのでしょうか。

と、ペーパー教習2回目は「カーナビ」に感動して終了。

人生初のセルフ式ガソリンスタンド

その1週間後、3回目の教習は、さらに遠くの家電量販店まで足をのばします。バカでかい駐車場で、車庫入れ右左を何度となく繰り返します。そのついでにガソリンスタンドにも行きました。クルマを運転しない人は、実はガソリンスタンドがどんな仕組みなのか知らないのです。

向かったのはセルフ式のガソリンスタンド。ここではペーパーさんが学ぶべきことがいろいろとあることがわかりました。まず、給油口が左右どっちにあるかを知っておかなければなりません。給油口がある方を給油機側にする必要がありますからね。まぁ、そんなの1回わかれば忘れないよ、という話ではありますが。そういったことをいちいち覚えていくのがペーパードライバーなのです。

でも、たとえばレンタカーに乗ってセルフ式スタンドに行く場合、「そういえばこのクルマの給油口は……」ってこともあるかもしれません。でも、そんなときも大丈夫。じつは、ほとんどのクルマは燃料計の給油機イラストといっしょに三角マークがついていて、給油口がある側を教えてくれています。

給油機イラストの三角マークで初心者でもわかる

三菱アイは左側なので、給油機も左になるようにクルマを駐めます。そして給油口のフタを開けずに車外に出るというセルフ式スタンドのペーパーさんあるあるを経験したのち、クレジットカード払いより現金の方がガソリン価格が安い、という事実を知ります。

給油口のフタを開けずに下車

ガソリンタンクのキャップを外したら、そのキャップが給油口のフタの裏面にのせられる仕組みになってることも把握します。キャップを締めるときはキリキリ音がするまでしっかり締めます。

そして、ガソリンはレギュラーを選ぶのは知ってましたし、給油機の引き金みたいなのを引くと、満タンまで自動でストップすることも知ってましたが、いざ本当にストップするのかしないのか、ガソリンが溢れたらどうするのか、とあせりつつ本当にストップして安心したりと、本当に学ぶべきことが多いのです。

ドキドキしながら給油

さて、ガソリンも入れて、駐車場に戻れば、3回6時間におよぶ出張ペーパードライバー教習も終了です。

車庫に入れて、最後に「質問はありますか?」と師匠。初回何も思い浮かばずでしたが、少し余裕が出ても何も浮かびません。なんだかんだで運転してるだけでいっぱいいっぱいなのでしょう。

運転のことじゃないけれど「同じくペーパーの奥さんもお願いしたら教えてくれますか?」と聞けば、「もちろんです」と頼りがいのある声。商売ですからそりゃOKでしょうけども「私が奥さまにもお教えします」と言われると、なんかこの師匠でよかったな、と思えます。

ということで「初高速のときも来てくれるか」とか「奥さんのときは自分が後ろに乗っててもいいのか」とか聞きながら、毎度の缶コーヒーを渡して師匠とお別れです。

本当は、教習最終日は、駅まで送ってあげるといいかな、なんて思ったりしましたが、自分みたいなものが「じゃぁ駅まで」などとのたまうことはできませんでした。

「脱ペーパードライバーの道」第3回は出張ペーパードライバー教習が終了するまで、でした。第4回は「クルマの運転自主練習」や「ETC受信機とドライブレコーダーを買いに」などを予定しています。

※写真はすべて再現イメージです。