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「7pay」ついにスタート。セブン-イレブンのスマホ決済の実力は?

「7pay」ついにスタート

7pay

セブン-イレブン独自のコード決済サービス「7pay(セブンペイ)」が、7月1日からスタート。全国のセブン-イレブンで利用可能になった。

これまではのセブン-イレブンは、独自の電子マネー「nanaco」のほかは、交通系電子マネーや各種クレジットカードに対応しているが、コード決済には及び腰に見えた。しかし、独自の7payを導入し、さらにPayPay、メルペイ、LINE Pay、Alipay、WeChat Payも7月1日から対応するなど、一気にスマホ決済対応を進めてきた。同日スタートの「ファミペイ」とともに“後発”ではあるが、セブン-イレブンの「7pay」の魅力はどこにあるのか。実際に使って検証した。

7payのチャージ手段は充実しているが、注意点も

アプリは、これまでの「セブン-イレブン」アプリをアップデートすることで、7payに対応。セブン‐イレブンアプリの会員登録済みであれば、ID、パスワードの入力は不要で、すぐに7payが利用可能になる。アプリの対応OSは、iOS 10以降とAndroid 5.0以降。

7payアプリ

筆者は、普段からnanaco(プラスチックカード)を使っており、セブン-イレブンアプリの会員情報も紐づけていたため、アプリをアップデートするだけで、その情報を保持しながら、7payにも対応できた。なお、今回はiOSで検証した。セブン-イレブンアプリは、AndroidとiOSの2台に同時にログインはできない仕様となっている。

予想外だったのは、nanacoの残高(nanacoマネー残高)が7payで使えないこと。nanacoには数千円チャージしてあり、その残高を使うつもりだったが、nanacoの残高と7payの残高は別管理となっている。なお、nanacoの利用でもらえる「nanacoポイント」は、7payアプリから7pay残高にチャージできる。

7payに登録したが、nanaco残高は別管理となる

セブン-イレブンアプリを立ち上げると中央上下に[支払い/チャージ]の表記とともに7payのロゴが現れる。このロゴが7payへの入り口で、タップすると7payの画面が立ち上がり、バーコード/QRコードが表示される[支払い]、[チャージ]、[残高・履歴]、[メニュー]の4つのタブが用意される。

チャージは、クレジット/デビットカードとセブン銀行(デビットカード)、セブン銀行ATM、nanacoポイント、レジで現金の5種類が用意されている。他のPay系サービスで見られる銀行紐付けが無いが、レジやセブン銀行ATMでチャージなど、nanacoと同じような使い方に加え、クレジットカードにも対応しているので、スタート時の対応状況としては十分だろう。

チャージ方法

ただし、登録できるクレジットカードとデビットカードが限定されており、その確認が必要だ。主なものは以下の通り。

  • セブンカード・プラス/セブナード
  • クラブ・オン/ミレニアムカード セゾン
  • JCB(一部対象外のカードがあり)
  • VISAとmastercardの、MUFGカード、DCカード、NICOSカード、UFJカードと、三井住友カード、セゾンカードなど

加えて3Dセキュアによる本人確認が必要となる。クレジットカードに詳しい人はカード会社名やロゴでわかるかもしれないが、そうではない人にとっては少々ハードルが高いかもしれない。また、カードの登録中に別アプリを立ち上げると、最初の画面からやり直しになるなど、登録画面に使いづらさは感じた。

クレジットカードを登録

カードからのチャージは1,000円単位で行なえ、一度に3万円まで入金可能。nanacoと同様にレジでの現金チャージも可能で、サービス開始直後にセブン-イレブン店舗でチャージしたが、店員さんも戸惑うことなくチャージしてくれた。また、セブン銀行ATMでは、QRコードを使った入金も行なえる。

なお、クレジットカードとデビットカードのチャージは1回3万円まで(1,000円単位)、nanacoポイントは10万ポイントまで(1ポイント単位)、セブン銀行ATMは10万円まで(1,000円単位)、店頭レジは49,000円まで(1,000円単位)と、チャージ手法によって1回のチャージ上限金額が異なっている。

残高の上限は10万円。現時点ではオートチャージ機能はなく、必要に応じてチャージを行なう必要がある。

なお、クレジット/デビットカードからのチャージ時には、設定した「認証パスワード」が必要になるが、iOSアプリではFace IDやTouch IDに対応しておらず、パスワードを手動で入力する必要がある。面倒なだけでなく、すぐ入金して使いたい時に時間がかかるのが難点と感じた。

クレカでチャージを完了。認証パスワードがちょっと億劫

nanaco(プラスチックカード)より7payが優れている点は、nanacoポイントからのチャージがアプリ上で行なえること。レジでnanacoポイントをnanacoマネーに移してもらう必要があったが、これをアプリだけで完結できるのは良い(Androidのおサイフケータイでは以前から対応)。

チャージができてしまえば、あとは支払うだけ。レジでは「セブンペイで」と指示して、コードを見せるだけだ。「セブンペイ!」という決済音も新たに導入されている

支払画面

7payで支払えば、セブン-イレブンアプリと同様に、「バッジ」や「セブンマイル」が自動的にたまる。バッジは購入履歴やアプリ起動履歴を元に付与される特典だ。また、セブンマイルの獲得数に応じて、nanacoポイントや特典などが用意される。これも7payの特徴といえる。

セブン-イレブンアプリは、クーポンも充実しているが、7payには統合されていない。セブン-イレブンアプリでクーポンを表示した後、7payを立ち上げて支払う必要がある。このあたりの統合はもう少し進めてほしい部分だ、

セブン-イレブンアプリでクーポンを選んで、レジで提示してから下の7payアイコンから支払画面に移行する

コンビニ決済の強み。7payならではをどこまで出していけるか

7payの一通りの機能を試してみたが、機能的な強みは、店舗レジでチャージできるため、nanacoのユーザーでも移行しやすいことだろう。先日のファミペイの説明会でも、これまでスマホ決済を使っていない人の多くは「銀行連携や『チャージ』の難しさをハードルと感じている」とのことで、コンビニ系スマホ決済としては、この点は強く訴求していくべきだろう。

店舗の力を使って、これまでスマホ決済に距離があった人を積極的にキャッシュレス化できれば、7payの広がりが出てきそうだ。その点では、nanacoの残高も7payに引き継ぎたいとは思う。

一方、サービス開始直後の混雑で不安定という点はあるが、それを差し置いてもレスポンスをもう一段よくしてほしいと感じる。例えば、セブン-イレブンアプリを起動後、7payの起動までワンタップ必要で、タップ後の起動にはやや時間がかかる印象。特にレジ前でアプリ表示で待たされるのは辛いので、この点は最優先で改善してほしい部分だ。

また、セブン-イレブンアプリ自体が機能が豊富で、さらに7payを統合していることも、少しわかりにくさにつながっているように感じる。4月の発表時には、10月を目処に7payの専用アプリを提供する予告しており、専用アプリが出てからが「本番」なのかもしれない。

とはいえ、同日にファミペイが始まったほか、競合のIT系の事業者は、アプリの使い勝手やUXの改善には積極的で、この数カ月でも着々と機能強化や使いやすさの向上が図られている。それらと戦うためにも、使いやすさのさらなる洗練が必要と感じる。

また、今のところ他社のような大型キャンペーンはない。7payに登録すると「おにぎり(160円まで)」1個プレゼント、さらに1,000円以上のチャージ(1回限り)で同商品をさらにもう1個という地味なもの。要するにおにぎり2つだ。これまでのセブン-イレブンは、コード決済に対応していなかったため、nanacoという選択肢は強かった。しかし、7月1日からは5社のコード決済に対応し、直接的な競合となる。セブン-イレブンでも他のアプリを使ったほうがお得、という状況も想定される。7payを使い続けたくなる、7payならではの魅力をこれから磨いていってほしい。