文具知新

「余白」ある文具の良さ 紙とデジタルをつなげるふせん「ペイパーリンク」

スマホで撮影した写真に動画、さまざまなアプリ、そしてECをはじめとする多くのWebサイト。もはや私たちの生活はデジタルと切っても切り離せない関係にあります。スマートフォンが1台あればその膨大なデータにアクセスできるというのもすごいことですが、一方でデータが増えれば増えるほど、必要な時に必要な情報に辿り着くための手間も増えているようにも感じます。

今回はそんなデジタルデータ大爆発!な現代人の生活をちょっと便利にしてくれるかもしれないアイテム、カンミ堂の「ペイパーリンク」をご紹介します。

クラウド上にデータの「空箱」があるふせん

モノとしてのペイパーリンクは、単純に言ってしまえばQRコードがあらかじめ印刷されたふせんです。QRコードに数文字程度の筆記スペースがあるSサイズ(24枚入り、594円)と、筆記スペースがより大きくとられたMサイズ(12枚入り、495円)が用意されています。

「ペイパーリンク オリーブグリーン M」(12枚入り、495円)

このアイテムが面白いのは、紙のふせんというアナログの文具でありながら、実はクラウドサービスがセットになっているところです。QRコードをスマホのカメラで読み取ると、1枚のふせんにつきひとつ専用に用意されているWebページにアクセスできます。Webページには写真(5枚で15MBまで)やURL(7個まで)をちょっとしたコメントと共に保存することができ、ここに保存したデータはQRコードを読み取ることで簡単にアクセスできるようになるのです。

Webに用意されている専用ページ

つまりペイパーリンクは、クラウド上にデータを入れるための「空箱」と、それにアクセスするための鍵となるQRコード付きのふせんがセットになったアイテム、というわけです。

紙とデータの間にある「面倒くさい」を減らす

ここで身もフタもないことを言うと、自分で好きなクラウドストレージにデータをアップして、URLからQRコードを発行しそれをラベル紙に印刷する、ということはやろうと思えば誰にでもできますよね。でも、その手間をかけてまで自分でやりますか?というのがひとつポイントではないかと思います。

ペイパーリンクは「箱」をあらかじめ用意することで、その辺りの「面倒くさい」をまるっと引き受けているのがユニークなところです。同時に、箱はあくまでも「空箱」なので、中身は後から決められる、使う人の好きにできるというのが面白い点です。

クラウド上に「空箱」があるイメージ

また、使うために専用のアプリをインストールしたり、アカウント作成や会員登録を行なったりする必要がないというのも手間削減にひと役買っています。

アプリを探して、開いて、検索して、といった段階を踏まなくても、スマホのカメラでQRコードを読み取るという慣れ親しんだアクションひとつで簡単に目的のデータにアクセスできますし、またデータを登録した人と別の人がアクセスするといったことも可能です。

「余白」がある文具をどう使うか?

文具などの道具類には「こう使ってください」という目的と機能が明確なものと、「どう使うかはあなた次第ですよ」というある種の「余白」があるものがあり、ペイパーリンクは明らかに後者です。それだけに、「QRコードからクラウド上のデータにアクセスできる」という機能だけを聞いても、すぐには使い方のイメージが湧かないかもしれません。

メーカーもその辺りを意識してか、公式の商品紹介ページでは「勉強用のノートに貼って、解説動画のURLとリンクする」「手帳に貼って、その日に撮影した写真にリンクする」といった使用例が挙げられています。

しかし余白があるということは、使う人のアイデアと発想力によって可能性は無限大だということ。公式の使用例も便利そうですし、それを踏まえて「自分だったらどう使うかな?」と考えるのも、文具好きとしては腕の見せどころです。というわけで、私も試しにペイパーリンクの使い道をいくつか考えてみました。

買い物リストとレシピ動画をリンク

最近は料理のレシピも動画で見ることが増えましたよね。でも、買い物に行く時などに必要な材料を一覧で見るには、やっぱり紙のメモが便利です。ペイパーリンクを使えば、買い物メモにレシピ動画のURLをリンクできるので、買い出しの時は紙のメモ帳で、料理を作る時はスマホの動画で、とそれぞれの良さを使い分けられます。

紙のメモからレシピ動画にアクセス

実際に作ってみた料理の写真や「美味しいけど個人的にはもう少し甘くない方が好み」といったコメントも合わせてアップしておけば、次回作る時の参考にもなりますね。

家電に取扱説明書をリンク

「洗濯機が見たことのないエラーを表示している」「普段は使わない電子レンジのオーブン機能を使いたい」そんな時に、パッと取扱説明書が出てくる人はどれだけいるでしょうか。買った時に見たけど、どこにしまったっけ?状態だったり、保管場所は覚えていてもわざわざ別の部屋まで取りに行くのが面倒だったりしますよね。

取扱説明書も必要な時にすぐ確認できる

最近は家電の取扱説明書もWebで見られるようになっていることが多いので、そのURLをあらかじめペイパーリンクに登録して家電本体やその近くに貼っておけば、必要な時にスマホでいつでも確認することができます。

消耗品をネットで注文

日頃からネットで注文して買い置きしている消耗品があれば、その商品購入ページのURLをペイパーリンクに登録してストックの近くに貼っておくことで、気がついた時にサッとスマホで注文できます。

ストックの補充をタイムリーに

ここまではメーカーの公式でも紹介されている使い方ですが、そこにもう一工夫。紙やカードにペイパーリンクを貼って、「あと少しで在庫が無くなりそう」という場所に挟んでおくのです。「この紙が見えたら教えてね」といったメッセージを添えておけば、家族で在庫の状況を確認し合うことも可能です。

手紙やカードにプラスアルファを

離れて暮らす家族や友人に手紙やメッセージカードを送る時、ペイパーリンクを貼れば写真やビデオメッセージなどを添えることができます(動画は直接アップロードできないため、別のクラウドストレージ等に一度保存してそのURLを登録する形になります)。

ひと味違うメッセージを

手書きならではのあたたかさと、デジタルならではのデータ共有の便利さを兼ね備えたいいところ取りで、ひと味違うメッセージに。これもアプリのインストールなどが必要ない、QRコードの汎用性がなせるワザです。

カレンダーで予定の詳細な情報を共有

リビングルームなどにかけてある、家族の予定を共有するためのカレンダー。そこにペイパーリンクを貼れば、イベントの予約や申し込みを行なった際のスクリーンショットなどを通じてより詳細な情報を共有することができます。

カレンダーに書ききれない情報を共有

ペットや子供の病院を予約した人と連れていく人が違う時や、旅行の日程や宿泊先、緊急連絡先などをパッと見られるようにしておきたい時にも便利です。

ただし、気をつけておきたい点も

まだまだいくらでも使い道を思いつきそうなペイパーリンクですが、使用するにあたっていくつか留意すべき点もあります。

ひとつは、データの保存期間には登録から36カ月という制限があること。期間を過ぎた場合は自動的に削除されるため、データを永久に残しておきたい、といった目的には向きません。ただし、登録内容を新しいQRコードに引き継ぐことは可能です。必要に応じて、期限が切れる前に引き継ぎ作業を実施しましょう。

また、QRコードの汎用性というメリットの裏返しではありますが、QRコードさえ読めれば登録されたデータは誰でも見ることができてしまいます。そのため、使い方によっては注意しなければなりません。誰でも見られるような場所に貼るのなら、個人情報はアップロードしない、パスワードなどの保管には使用しないといったことに気をつける必要があります。

ちなみに、ペイパーリンクの登録内容はパスワードを設定して保護することも可能です。ただし、一度設定すると解除はできないため、内容に合わせて機能を使い分けるのが良いでしょう。

と、多少は気をつけなければならない点はあるものの、ペイパーリンクはなかなか面白いツールです。QRコードからアクセスできるクラウド上の空箱に、あなたなら何を入れますか?

末筆ではありますが

最後に、どこにも入れられなかったけれど、どうしてもお伝えしたかったおまけ情報をひとつ。

購入時の台紙が…
切り離すとカバーに早変わり!

ペイパーリンクのパッケージ、台紙を切り離して360度折り返すと、そのまま持ち歩き用のカバーになります。こういう細かいところまで気が利いていると、ちょっと嬉しくなっちゃいますよね。

ヨシムラマリ

ライター/イラストレーター。神奈川県横浜市出身。文房具マニア。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。元大手文具メーカー社員。著書に『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)。