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なぜいま「ピックルボール」が人気なのか 誰でも楽しめるルールとちょうどいい運動量

世界的に人気が拡大しているスポーツで、日本でも競技人口がここ数年で爆発的に増えている「ピックルボール」。メディアで紹介されることも多くなっているので、名前だけは聞いたことがある、という人も少なくないはず。

しかし、どんなスポーツなのか詳しくは知らない人がほとんどではないでしょうか。そこで、ピックルボールがなぜ今こんなに盛り上がっているのか、どんな道具を使ってどのようにプレーするのかをご紹介。専用コートの運営やイベント企画を通してピックルボールの普及に尽力しているピックルボールワン コート事業責任者の山本悠平さんに話を聞きました。

「ピックルボールは1965年にアメリカで生まれ、現在は世界中で急速に人気が高まっているスポーツです。こんなにも人気が出たのは、老若男女、誰でもプレーしやすいからだと思います。30分ぐらい練習すればすぐに試合ができますし、成長実感を得やすいところもハマる理由の1つです。スポーツは全般的にフィジカルが重要になりますが、ピックルボールは力よりもテクニックで補う側面が強いので、努力すればどんどん成長できるスポーツと言えます。しかも、ラリーが長く続くようにルール設計されているので、楽しみながら上達できるのもいいところだと思います」

ピックルボールワン コート事業責任者 山本悠平さん

コートの大きさや用具などの基本情報を知ろう

ピックルボールはざっくり言うと、大きい卓球・小さいテニスというイメージ。コートの中央にネットを張り、プラスチック製のボールを打ち合うスポーツで、ボールやラケットは卓球に、フォームやショットはテニスに類似しています。

ピックルボールワン銀座新橋のコート(画像提供:ピックルボールワン)

「パドルと呼ばれるラケットはテニスラケットよりも軽量で、形状の特性から振った時にも軽く感じます。ボールはプラスチック製で軽量な上、穴が空いているため力いっぱい打っても途中で失速するので、力がなくても、瞬発力に自信がなくてもラリーが可能です」

テニスラケットが300g程度なのに対し、ピックルボールのパドルは230g前後と軽い
ボールは屋内用と屋外用で穴の大きさや数、硬さ、重さが異なる。左が屋内用、右が屋外用

「コートの大きさはバドミントンとほぼ同等です。しかも2対2のダブルスが主流なので、動きが少なくて済むのも初心者が始めやすい理由の一つとなっています」

ネットの高さはテニスよりも少し低く、公式では両端が約91.4cm、中央が約86.4cm
そもそも屋外で行なうスポーツのため、施設によっては屋外に設営されているコートもある

ピックルボールは、プレイヤーとの距離が近いのも大きな特徴。ダブルスのパートナーはすぐにタッチできる空間にいて、ちょっとした会話をしながらプレーができるのも面白いところです。

ネット近くでボールを打ち合うことも多く、人との距離が近い

「コートの中を走り回る感じではないので、ダブルスのパートナーや対戦相手と『最近、調子はどう?』みたいな雑談をしながらプレーする人も多いです。体を軽く動かせて、コミュニケーションツールにもなるスポーツ、というところも今の盛り上がりに繋がっているように思います」

ラリーが続く秘訣! この競技ならではの3つのルール

試合の進め方はほぼテニスと同様で、ネットを挟んで打ち合い、自分が打ったボールがネットにかかったり、相手のコート外に出てしまったりするとフォルトとなります。ただし、誰もが平等に楽しめるようにピックルボール特有のルールが3つある、と山本さん。

「1つ目は、サーブはアンダーハンドで打つこと。テニスの場合は、上から振りかぶって強いサーブを打ちますが、ピックルボールは腰から下で打つアンダーハンドサーブが基本のルールになっています」

サーブはアンダーハンドで打ち、相手コートの対角線上にあるエリアを狙う(画像提供:ピックルボールワン)

「2つ目は、ツーバウンドルールがあることです。サーブはもちろん、リターンされたボールもサーバー側はワンバウンドさせなければなりません。つまり、サーブ、リターンと2回バウンドさせなければならない、ということからツーバウンドルールと言われるわけです」

サーブとリターン、合計2回のバウンド後からは自由にプレーできるようになる(画像提供:ピックルボールワン)

「このルールがあることで、ピックルボールはリターン側が有利とされています。前に詰めていたほうが有利なスポーツで、前に2人いる状況では得点率が70%以上。そのためみんな前に出たいのに、ツーバウンドルールがあるのでサーバー側よりもリターン側のほうが先に前に出ることができるんです。深いところにリターンすればどうしてもサーブ側は後ろに下がらなければなりませんから」

つまり、テニスでいうサーブ&ボレーは禁止、というわけ。リターン側はサーブをワンバウンドで返球すればボレーができるので、リターン&ボレーは可能ということですね。

「3つ目は、ノンボレーゾーンがあることです。ネットを挟んで2.13mのエリア(通称キッチン)ではノーバウンドでボールを打つと反則となります。このルールがあるのでネットギリギリからのスマッシュが打てませんし、ネットから距離があるボレーはカウンターで返される可能性も大きい。このように、インタラクティブにラリーが続くようなルールがあるため、誰もが楽しめるスポーツと言えるわけです」

ノンボレーゾーンでは、打った後の動作でラインを踏んだりエリア内に入ったりしてもフォルトとなる(画像提供:ピックルボールワン)

ほどよい運動量 身近なところで始めよう

実際にプレーすると、運動負荷はだいたいどのくらいなのでしょうか?

「レクリエーションとして楽しむのであれば、ランニングくらいの感覚だと思います。打ち合いをしても3歩程度でボールが取れてしまいますし、ボールを取るたびに毎回全力疾走、ということはありませんから。実際、プレーされている年齢層も幅広く、ピックルボールワンにも10代~70代までのお客様がいらっしゃいます。運動量もほどよく、生涯スポーツとして長く楽しめるところも魅力に感じていただけているようです」

ピックルボールを始めてみたいと思ったら、まずはどのような道具を揃えて、どこに行けばいいのでしょうか?

「まずはピックルボール専用の施設に行って、体験教室に参加することをおすすめします。施設ではパドルやシューズをレンタルできるので手ぶらでオッケーです。やってみて続けたいと思ったらパドルやボール、シューズなど必要なものを揃えていくといいと思います。ちなみにパドルは数千円~5万円程度まで価格に幅がありますが、長く続けるなら1万5,000円以上のものがおすすめです」

300種類以上のパドルを販売しているピックルボールワン銀座新橋。試し打ちもできるので自分に合ったモデルを見つけることができる
ウェアや小物、シューズなど、初心者が揃えるべきアイテムも販売

それでもハードルが高いと感じる人のために、もっと身近でピックルボールができないか聞いてみたところ……。

「以前から体育館を使うケースがかなり多くなっています。体育館にはいろいろなスポーツで使えるように線が引いてあるじゃないですか。そのバドミントンコートを転用して使う場合もあります。ただ体育館の場合、床がハードコートとは違うためボールが滑ったり特殊な跳ね方をするのでご注意ください」

公共の体育館なら、専用の施設よりもかなりリーズナブルに楽しむことができそうです。でもせっかく借りても一緒にやる人がいないと意味がありません。コートではない場所で、遊び感覚で練習はできないものでしょうか。

「最近はボールを使える公園で軽く練習している人も多いようです。一面用ではなく、簡単に組み立てられるポータブルのハーフコート用ネットを持って行って、パドルでボールをぽんぽん打ち合っている人もいると聞きます。あと、ピックルボールは壁打ちもいい練習になるんですよ。近所に安全にできる場所があれば、壁打ちから入るのもいいと思います」

ピックルボールを始めるなら初心者体験会にぜひ参加して欲しい、と山本さん

ボールとラケットに慣れるためにも、まずは身近でできることから始めるのがよさそうです。ボールは軽いプラスチック製なので、野球やテニスの球と比べて危険性が少ないのも手軽にできる要因かもしれません。

「ピックルボールは誰でも気軽にできるスポーツなので、まずは体験していただいて、楽しさに触れていただければと思います。とくに、いろいろな人との交流を楽しみたい、という方にはぴったり。新しい出会いや繋がりを求めている方は、ぜひ始めてみてください」

中野悦子