いつモノコト

“音を着る”メガネ 「HUAWEI Eyewear 2」が外せない

ワイヤレスイヤフォンを試すのが趣味の1つともなりつつある筆者が最近購入して非常に満足しているのが、イヤフォンとマイクを搭載したオーディオグラス「HUAWEI Eyewear 2」です。

発売されたのは2023年11月で約半年ほど前ですが、筆者が購入したのは今年3月。遅ればせながら購入した理由は、ここ最近耳を使う機会が以前よりも増えたから。仕事ではビデオ会議などでイヤフォンやヘッドフォンを利用しますし、プライベートでは好きなアーティストの音楽はもちろん、ポッドキャストもよく聴きます。

結果として日中にイヤフォンをつけたり外したりすることが多く、いっそのことイヤフォンをずっと装着し続けていた方が便利なのでは……、というときに思い出したのがこのHUAWEI Eyewear 2。筆者はイヤフォンの音と同時に外部の音も聞こえるよう、耳の穴を塞がないタイプのイヤフォンが好きなのですが、眼鏡型のHUAWEI Eyewear 2なら当然のことながら耳を塞ぐことはなく、普段使っている眼鏡以外に何も装着しなくていい、というコンセプトに惹かれました。

OWNDAYSモデルはHUAEIロゴが内側に印字されるのもポイント

知人のライターやガジェット好きからの評判がよかったことに加え、スペックを調べてみると筆者がワイヤレスイヤフォンを購入する際に最も気にしているポイントでもあるマルチポイントにも対応。購入意欲が高まっているタイミングで、たまたまHUAWEI Eyewear 2を取り扱っているOWNDAYS店舗を通りがかり、店員に聞いてみると20分程度で視力のチェックも終えられるというので、勢いでそのまま購入。購入金額は39,450円でした。

「イヤフォンの代わり」にはならない!

購入して最初に驚いたのは、HUAWEI Eyewear 2は電源を切ることができないということ。

HUAWEI Eyewear 2は装着すると自動的にスマホやPCとつながり、外すとBluetoothの接続が切れるようにはなっているものの、電源を自分でオフにすることができないのです。最初は少しとまどったものの、後述しますが実際に使ってみるとこの「電源をオフにできない」ことこそがこの製品のコンセプトなのだと感じました。

この製品を実際に使う前までのHUAWEI Eyewear 2のイメージは「イヤフォンを搭載した眼鏡」で、音楽や動画のためにイヤフォンを装着する必要はなく、眼鏡だけで音楽を楽しめる、だったのですが、使っていくうちにこの考えは半分当たっていて半分間違っていると気がつきました。

その理由の1つは、HUAWEI Eyewear 2の聴取環境にあります。HUAWEI Eyewear 2はその構造上、耳の穴の中ではなく外側で音が鳴ります。逆位相の音を出すことで音漏れを防ぐという機能も備えてはいるのですが、それでも音量を大きくすると外に音が聞こえてしまうため、電車など側に人が居るところでの利用にはあまり向いていません。

音量もさほど大きくはできず、車通りの多い道などでは周囲の騒音に消されてしまい、スピーカーを最大音量にしても音が聞こえません。そのため外で音楽を聴くときは結局イヤフォンを持ち歩いており、「イヤフォンの代わりになる」という使い方には至りませんでした。

上部の耳側両端は音漏れ防止穴、右側先端はノイズキャンセリングマイク
下側は耳側両端にスピーカーホール、装着右側先端にマイク

音楽やポッドキャストの聴取時間が向上。寝ている間の充電も気軽

一方、日中であれば必ず装着している眼鏡で音が聴けるということは、生活に少なからぬ変化を与えました。1つはポッドキャストや音楽との接触時間の向上です。いままではイヤフォンを装着する必要があったので、意識して音楽やポッドキャストを聞いていましたが、眼鏡なら散歩中や仕事でちょっと手が空いたときなど気軽に聴けるようになり、いままでよりも音楽やポッドキャストを聴く時間が増えました。

音質はイヤフォンに比べるとさほど高くはないのですが、あまり音質に拘らない筆者としては、わざわざイヤフォンを充電器から取り出して両耳に装着して……、という手間をかけずに聴けるメリットのほうがデメリットを上回ります。

バッテリー持ちも良く、HUAWEI Eyewear 2は音楽再生で最大11時間、音声通話で最大9時間のバッテリー駆動時間を公称しています。前述の通り、HUAWEI Eyewear 2で音楽を聴くのは家に居るときやビデオ会議のときなど限られた時間が多く、1日で再生するのは数時間程度なので、バッテリー切れを気にしたことがありません。

充電は片方をUSB-Cケーブル、もう片方を左右の眼鏡のツル先端に装着する
充電時

また、眼鏡型デバイスのいいところは寝るときに必ず外すということ。スマートウォッチは睡眠状態を計測するために寝たときも装着しているため、充電する機会が入浴中のわずかな機会しかないのですが、寝るときには眼鏡を必ず外すので、余裕を持って充電できます。

「音を着る」感覚のデバイス

HUAWEI Eyewear 2を購入して数カ月、音との付き合い方は大きく変わりました。前述の通り、イヤフォンを取り出すこと無く音楽やポッドキャストが聴けるので、わざわざイヤフォン取り出すのも面倒だな、という隙間時間を使うことで、“積み聴き”になりがちなポッドキャストの消化も捗っています。

SNSなどで見かける動画も、外出中などは今まで無音で楽しむことが多かったのですが、HUAWEI Eyewear 2なら音も聞きながら動画を楽しめます。電車内などは音漏れが気になるため音はだいぶ小さめにしていますが、音があることで動画もよりわかりやすく魅力的に視聴できるようになりました。

スマホにかかってきた電話もスマホを取り出すことなく、HUAWEI Eyewear 2のツルをダブルタップするだけで受け取れます。イヤフォンと違って起きているときは常に装着している眼鏡で電話を受け取れるというのは、大げさに言うなら電話を体に内蔵したような感覚です。

HUAWEI Eyewear 2の魅力はこの「体に内蔵したような感覚」に尽きるといっても過言ではありません。眼鏡を普段から使っている人にとって、HUAWEI Eyewear 2は新たにデバイスを装着する必要がなく、今までの生活の中に「音を聞く」という機能を取り込むことができます。これまでイヤフォンやヘッドフォンで音を聞いていた時はどうしてもデバイスを装着するという感覚がありましたが、HUAWEI Eyewear 2はデバイスと言うより衣服を着るような感覚で音を聴くことができるというのが、使ってみての大きな発見でした。

メガネの他サングラスになるアタッチメントとアタッチメント用ケースが付属
アタッチメントを付けたところ。マグネット式で装着も手軽

前述した電源がオフに出来ない仕様も、実際に使ってみると納得がいきます。毎回電源をオンオフできてしまうと、「電源をオンにする」という一手間が必要になってしまい、「音を着る」ような感覚には至らないでしょう。映画館などで完全にオフにする仕様も欲しいところではありますが、基本的に電源を切れないということがこの製品の本質なのだなと今では実感しています。

購入から1カ月以上経ちますが、不満はほとんどなく、今やビデオ会議や音楽を楽しむのに一番利用しています。4万円近い価格はやや高額ですが、マルチポイント対応のイヤフォンを内蔵し、今までよりも音を聞く機会が格段に増えるという意味では非常にコストパフォーマンスの高い製品として満足しています。

甲斐祐樹

インプレス記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。個人ブログは「カイ士伝