ミニレビュー

カジュアルなPCゲームのために新型Xboxコントローラーを買う

新型の「Xbox ワイヤレス コントローラー」(ロボットホワイト)

11月10日、新型ゲーム機「Xbox Series X|S」が発売された。同日、これらのゲーム機に付属する新型の「Xbox ワイヤレス コントローラー」も単体商品として販売が開始されている。筆者はPCゲームで利用する目的で、この新型「Xbox ワイヤレス コントローラー」を購入した。ヨドバシカメラで6,570円(税込)だった。

XboxのコントローラーはPCゲームにも最適

マイクロソフトは「Xbox 360」に付属のコントローラーをWindowsでも利用できるよう、ドライバやAPIのXInputを提供し、以降、XboxシリーズのコントローラーはPC用ゲームコントローラーとしても定番になった。

FPSや重厚なシミュレーションゲームなど、伝統的なPCゲームはキーボードとマウスの組み合わせで操作するため、コントローラーが最適とはいえないタイトルは多々ある。一方で、ゲーム配信プラットフォームの「Steam」が広まったことで、XboxシリーズやPS4、Switchといった家庭用ゲーム機のタイトルがPC向けにも提供されるケースが増えている。例えばカプコンの「モンスターハンター:ワールド」はSteamでも配信されており、コントローラーを使えば家庭用ゲーム機と変わらない操作感でプレイできる。またSteamではインディーゲームも多数配信されており、カジュアルあるいはシンプルなゲームにコントローラーは向いている。インディーゲームを手掛ける若い開発者には家庭用ゲーム機に慣れ親しんで育った人も多く、コントローラーでの操作を推奨しているタイトルも多い。ソファに座ってプレイしたい場合も、コントローラーは最適だ。

Windows 10ではXboxプラットフォームとの融合も進められており、Xbox関連のアプリも提供されている。「Xbox アクセサリー」というWindowsストアのアプリを使えば、接続した「Xbox ワイヤレス コントローラー」のキーマッピングの変更やプロフィールの保存、コントローラーのファームウェアの更新が行なえる。Windowsでは、Xboxのコントローラーを公式アイテムとして扱えるのだ。SteamをはじめとしたPCゲームでコントローラーを使うなら、候補の筆頭に挙がるのがXboxシリーズのコントローラーと言えるだろう。

Xbox One用コントローラー(左上)、Xbox One Elite用コントローラー(左下)、新型の「Xbox ワイヤレス コントローラー」(右)

新型のポイント

「Xbox Series X|S」に合わせて発売された新型の「Xbox ワイヤレス コントローラー」だが、元々完成度の高いコントローラーがベースになっているだけに、前モデルからの変更点という意味では小幅な改良にとどまっている。筆者の視点で重要なポイントを挙げるなら、USB接続端子がUSB Type-Cになったことと、方向パッド(十字キー)の形状が変わり「ハイブリッド方向パッド」になった点だろう。

方向パッドの形状の変更はゲームプレイに直接影響する部分だが、筆者は好意的に捉えている。従来は純粋に十字の形をしていたが、ハイブリッド方向パッドはすり鉢状の半球の内側に十字キーが重ねられている。ぐるりと回す8方向の操作がしやすく、それでいて上下左右の4方向も指先で知覚しやすく、コチコチとしっかり操作できる。パッドが高く立体的になり、指掛かりが良くなっているのもポイントだ。

新型の「Xbox ワイヤレス コントローラー」
グリップの裏側には滑り止め加工
USB Type-C端子を採用。トリガーにも滑り止め加工が施されている
アクセサリー端子や3.5mmジャックも引き続き搭載

このほか、グリップの裏側やトリガーの先端に滑り止め加工が施され、滑りにくくなっている。全体のデザインは新型でさらにスッキリとした仕上がりになった。各ボタンやスティックの操作感は申し分なく、トリガーの形状も小さな改善を積み重ねてきたおかげで完成度は非常に高い。それでいて6,000円台で購入できるのもポイントだろう。

滑り止め加工が施されたグリップの裏側
トリガーの先端にも滑り止め加工
黒いガイドボタンは、電源を入れると白く光る

電源・接続方法・ファームウェア更新

日々使う上では電源も問題になってくるが、「Xbox ワイヤレス コントローラー」は新型でも従来と同じく単3形乾電池2本を使用する。一方、乾電池の代わりに装着する「Xbox 充電式バッテリー」にも引き続き対応しており、バッテリー内蔵のコントローラーとして使うことも可能。この場合の充電はコントローラー本体のUSB端子から行ない、USB接続でゲームをプレイ中でも充電できる。

単3形乾電池2本のほか、「Xbox 充電式バッテリー」(写真の黒い部分)に対応
「Xbox 充電式バッテリー」「Xbox ワイヤレス アダプター」を引き続き利用できる

Windows PCと「Xbox ワイヤレス コントローラー」の接続は、USB Type-Cケーブルによる有線接続、「Xbox ワイヤレス アダプター」による無線接続、Bluetoothによる無線接続という3種類の接続方法に対応している。スマートフォンとはBluetoothで接続できる。

3つの接続方法のうち、USBの有線接続と「Xbox ワイヤレス アダプター」による無線接続は最も安定しており、どちらも「Xbox アクセサリー」アプリでキーマッピングの変更やファームウェアの更新が可能。Bluetoothで接続した場合は「Xbox アクセサリー」による管理はできない。

少し注意したいのはコントローラーのファームウェアだ。筆者は予約して購入したため、発売日の11月10日に届いたが、箱から出しただけの状態ではファームウェアに起因すると思われる問題があり、Bluetooth接続でトリガーボタンが認識されない、スティックが正しく動作しないなど、いくつかの不具合がみられた。その後、11月11日の午後になって「Xbox アクセサリー」アプリがバージョンアップ(300.2011.9001.0)し、同時に最新のファームウェア(5.5.2641.0)も提供されたことで、こうしたBluetooth関連の不具合は解消されている。

「Xbox アクセサリー」アプリでファームウェアの更新を確認しておきたい

シェアボタンは……今後に期待

最後に、新型「Xbox ワイヤレス コントローラー」の目新しい点として注目されている「シェアボタン」についてだが、PCと接続した場合、ボタンの押下をそもそも認識できないか、認識できても実際上は利用できないケースがほとんどで、現時点(11月12日)では活用できない、という結論になると思う。

USBおよび「Xbox ワイヤレス アダプター」による無線接続では、Windows上でシェアボタンの押下が認識されず、従って存在しないボタンという状態になっている。「Xbox アクセサリー」アプリのテストモードでも何も反応しない。Bluetoothで接続した場合は一部のケースでシェアボタンの押下が認識されるが、いろいろ試したものの、利用できるかという意味では非常に限定的だ。

コントローラーの操作にキーボードやマウスを割り当てられるユーティリティソフト「JoyToKey」(Ver.6.5.1)は、Bluetooth接続時に第2のコントローラーでシェアボタンの押下を検知するものの、挙動が少し謎で、アサインしてもうまく機能しなかった。同様のソフト「AntiMicro」(Ver.2.23)では、Bluetooth接続でもシェアボタンの押下を検知できなかった。

Bluetooth接続時の状態。シェアボタンを押すと12番のボタンが点灯するが……
Steam、JoyToKey、AntiMicroなどでは、Bluetooth接続時に同時に2つのコントローラーを検出する。Steamではシェアボタンの押下は「一般的なゲームパッド」側でしか認識されないほか、Steamでサポートするボタン数の関係で、実際に活用することは難しい

Windows 10には「Xbox Game Bar」というゲーマー向けのステータス表示機能が用意されており、Xboxコントローラーのガイドボタン(Xboxマークのボタン)を押すだけで呼び出すことができる。シェアボタンに期待するのはこういうもので、シェアボタンを押すだけでPCゲームのスクリーンショットを撮影したり、動画を録画・保存したりできることではないだろうか? 今後のアップデートでWindowsでもシェアボタンが活用できるようになることを期待したい。

Windowsにおけるシェアボタンの扱いは寂しいものの、それでもPC用コントローラーとして高い完成度を誇っている。PCゲームでコントローラーを使うなら最有力の選択肢だ。

太田 亮三