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マネフォ、"相続"をやることリストで可視化 「お金のバトン」

マネーフォワードホームカンパニー カンパニー執行役員COOの木村友彦氏(左)と同事業開発部副部長の佐藤慎悟氏

マネーフォワードは、相続に関する課題解決を目指すサービス「マネーフォワード お金のバトンβ」の提供を開始した。社会問題とも繋がる相続に関し、デジタルツールとプロへの相談環境を提供することで、多様な悩みや課題の解決を支援する。β版での提供のため、まずは東京都・大阪府のみでの対応となる。

相続に関する全般的な悩みや不安、課題について、3つのデジタルツールで見える化。対応が必要なタスクなどの情報整理をサポートし、生前からの相続準備(終活)にも活用可能。デジタルツールで見える化した状況をもとに、必要に応じて本サービスと提携する相続専門の相談員の目線から、課題解決に向けた適切なアドバイスを提供し、実際に解決策も提案する。

同社の調べによると、相続に対してネガティブなイメージを持っている人は3割。相続にまつわるトラブルや税金の心配などがその理由で、実際にそうしたトラブルは増え続けている。また、そうしたトラブルは一部の富裕層だけではなく、1,000万円以下の遺産額を争うものだけでも全体の3割を超えており、トラブルは資産額の大きさに左右されないとしている。

今後20年で65歳以上の人口は増え続け、多くの人が相続に向き合う可能性が高くなっていく一方、相続に関わる法制度は日常的にはなかなか意識しづらい上に、法律自体も時代に合わせて変化し続けている。同社は、こうした課題を「お金のバトン」によって解決し、相続について考えるきっかけを作りたいとしている。

ターゲットユーザーとしては、「潜在層」と「顕在層」の2つのセグメントを想定。潜在層は、自分や親の相続や介護・認知症などに対して、将来の備えが必要であったり、対策の必要性や将来のリスクに気がついていない層で、年齢としては30代後半から40代。

顕在層は、相続対象等の緊急性が高いが、自身の所有する知識に自信がなく、最初になにをすればよいのか分からないという層で、年齢としては50代から60代。

提供するツールは、「やることリスト」「相続財産シミュレーション」「家族とお金のリスク診断」の3つ。ツールの使用および相談員への初回相談は無料。2回目以降は対応内容によって異なる。マネーフォワードIDを持っていれば、ツールで提示された情報をマイページ上で保存できる。

「やることリスト」は、悩み事を選択することで、関連するタスクを作成し「やることリスト」で管理できる機能。何をしたらいいか分からないという状態でも、悩み事を軸にやることを明確化。被相続人(遺産を残して亡くなった人)の命日を入力することで、そこを起点としてやらなければならないことをリスト化でき、手続を終えなければいけない期限を明示してくれる。

「相続財産シミュレーション」は、家族情報などの質問に答えることで、法定相続や特定の控除に基づいた相続割合、相続税のシミュレーションが可能。自分の家族構成などから、実際に相続税の金額などのイメージが持てるようになる。

「家族とお金のリスク診断」は、被相続人の家族情報などを入力することで、自分と家族のお金について、想定されるリスクを明確化する。あくまで可能性になるが、家族間で将来起こり得るリスクやその事前対策としての可能性を提示してくれる。例えば将来、親が認知症になった場合、その事前の対策や、費用はどうするかなど、さまざまなリスクを提示して、やることリストを自動作成してくれる。

ユーザーが実際に行なう流れとしては、これらのツールを利用したうえで、相続に関する現状を整理したあと、より詳細な対応を検討するために相続専門のプロへ相談することに繋げる。相談はオンラインで行ない、専用ページから予約する。相談時間は約60分を想定。その結果をもとにさらに対応を進めていく。

まずはβ版から提供を開始し、東京都と大阪府でサービスを展開する。相談自体はオンラインで行なうため、全国どこでも対応はできるが、実際に相続関連の書類等を作成する段階になったときに現地で対応できない問題があるため、提供エリアを限定する。将来的には対応エリアを順次拡大して全国展開を目指す。

また、現時点ではマネーフォワードMEとのデータ連携などは行なっていない。将来的にはマネーフォワードMEとの連携を行ないながら相続手続を行なえるようなサービスの開発も進める。相続手続においては、書類作成の負担も多く、デジタル化のニーズは高い。将来的にはそうした対応も進めていきたいとしている。