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iOS 17公開。電話アプリやメッセージなど刷新 連絡先交換は「NameDrop」

アップルは19日、最新のiPhone用OS「iOS 17」を提供開始した。22日に発売されるiPhone 15シリーズのほか、iPhone XR/XS世代以降のデバイスがアップデートの対象となる。

iOS 17では、電話アプリがアップデートされ、ユーザーが自分の連絡先の表示方法をカスタマイズできる「連絡先ポスター」に対応。また、iPhone 15世代ではA17 Pro/A16チップのパワーを活用し、誰かが留守番メッセージを残す時にリアルタイムでデバイス上でメッセージを書き起こす「ライブ留守番電話」が追加される。ユーザーは、発信者がメッセージを残している間にその電話に出ることも可能。

連絡先ポスター

メッセージは、新しいステッカーの体験、よりパワフルな検索、オーディオメッセージの書き起こし、ユーザーが目的地に無事に到着したことを友人や家族に通知する「到着確認」などが追加される。

新しいステッカー

連作先共有の新機能が「NameDrop」。2台のiPhone同士を近づけるだけでAirDropを使って簡単に連絡先情報を共有できる。

NameDrop

スタンバイは、情報を一目で確認できるフルスクリーン表示をユーザーに提供し、iPhoneを横向きで充電している時に離れた場所から見える。そのためデスクやナイトスタンドなどで「時計」として使ったりお気に入り写真の「フォトスタンド」的に利用できる。iPhone 15 Pro/15 Pro Maxの常時表示ディスプレイでは、スタンバイは常にオンになり、役立つ情報を表示できる。

スタンバイ

Safariでは、プライベートブラウズを保護する機能を強化。また、プロファイルが導入され、ユーザーが「仕事」「プライベート」など、用途にあわせて別々にブラウズできる。

Safari

さらに、日記をつけて、写真や音楽とともに経験を振り替えれる新たなアプリ「ジャーナル」も提供予定。また、自動修正および音声入力の向上、iCloudキーチェーンでのパスワードとパスキーの共有など、数多くのアップデートが提供される。

ジャーナル

また、iPadOS 17やwatchOS 10も公開され、アップル製品の連携が強化されている。Apple TV 4Kでは、tvOS 17の提供開始により、FaceTimeが利用可能になる。

iOS 17のアップデート内容
電話

・連絡先ポスターでは、通話するときにほかの人のデバイスに自分がどのように表示されるかをカスタマイズ可能

メッセージ

・iMessageのステッカーアプリで、ライブステッカー、ミー文字、アニ文字、絵文字ステッカー、他社製のステッカーパックを含むすべてのステッカーが1か所にまとめて表示
・ライブステッカーでは、被写体を写真やビデオから抜き出して、“キラキラ”、“ぷくぷく”、“コミック”、“アウトライン”などのエフェクトを追加して作成可能
・到着確認で、目的地に無事に到着したときに家族や友達に自動的に通知を送り、遅れる場合には役立つ情報を共有
・受信したオーディオメッセージの発音表記を使用してその場ではメッセージを読んで、あとから聴くことが可能
・検索機能の改善により、連絡先、キーワード、コンテンツタイプ(写真やリンクなど)などの検索フィルタを組み合わせることで、メッセージをより早く探し出すことが可能
・吹き出しを右にスワイプしてメッセージにインラインで返信可能
・1回限りの確認コードの削除機能により、確認コードをほかのアプリに自動入力すると自動的にメッセージアプリから削除

FaceTime

・相手がFaceTime通話に出ないとき、ビデオまたはオーディオメッセージを収録して伝えたいことを正確に残すことが可能
・iPhoneをカメラとして使用してApple TVでFaceTime通話を楽しむことが可能(Apple TV 4K第2世代以降)
・ビデオ通話で自分の周囲にハート、風船、紙吹雪などの3Dエフェクトのリアクションをジェスチャで追加可能
・ビデオエフェクトを使用してスタジオ照明とポートレートモードの強度を調整

スタンバイ

・ナイトスタンド、キッチンカウンターやデスクでiPhoneを横向きで充電しているときに、離れた場所からでも一目で情報を確認できるように設計された、時計、写真、ウィジェットなどのフルスクリーン体験を提供
・“時計”でデジタル、アナログ、太陽、フローティング、世界時計などのさまざまなスタイルやアクセントカラーなどを使用してパーソナライズが可能
・“写真”でベストショットを自動的にシャッフル、または選択した特定のアルバムを表示ウィジェットによりすぐに情報にアクセスでき、スマートスタック表示で適切な情報を適切なタイミングで提供
・夜間モードでは、周囲が暗いときに、時計、写真、ウィジェットを赤の色調で表示
・MagSafe充電器ごとの優先表示機能で、それぞれのMagSafeの充電場所での時計、写真、ウィジェットの表示設定を記憶

ウィジェット

・インタラクティブウィジェットでは、ホーム画面、ロック画面、またはスタンバイのウィジェットを直接タップして、リマインダーを完了としてマークするなどのアクションが実行可能
・Mac上のiPhoneウィジェットで、ウィジェットをiPhoneからMacのデスクトップに追加可能

AirDrop

・NameDropで、はじめて会った人とiPhoneを近づけるだけで連絡先の交換が可能
・iPhoneを近づけることでAirDropでコンテンツの共有やSharePlayセッションの開始を可能にするAirDropの新しい開始方法

Safariとパスワード

・プロファイルによって仕事用や個人用などのテーマ別にブラウズすることができ、履歴、Cookie、機能拡張、タブグループ、およびお気に入りを分けることが可能
・使用していないときにプライベートブラウズウインドウをロックしたり、既知のトラッカーが読み込まれるのを阻止したり、URLからトラッキング識別を削除したりできるように機能が強化されたプライベートブラウズ
・パスワードとパスキーの共有で、パスワードのグループを作成して信頼できる連絡先と共有し、グループのメンバーによる変更も反映
・1回限りの確認コードをメールからSafariに自動入力する機能によって、ブラウザから離れずにログイン可能

ミュージック

・SharePlayを使用して、車内で誰でも簡単にApple Musicをコントロールして再生可能
クロスフェードにより、再生中の曲がフェードアウトしつつ次の曲がフェードインするため、曲が途切れることなくスムーズに切り替え可能

AirPlay

・人工知能によるAirPlayデバイスリストによって、ユーザの好みに基づいて関連性の高いデバイス順で表示されるため、さらに簡単に適切なAirPlay対応テレビやスピーカーを見つけることが可能
・AirPlayデバイス接続の提案が事前に通知として表示され、よりシームレスに優先AirPlayデバイスに接続可能
・iPhoneと最も関連性の高いAirPlay対応デバイスの間で自動AirPlayデバイス接続が実行されるため、“再生”をタップするだけでコンテンツの視聴を開始可能

AirPods

・適応型オーディオによって、アクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みモードが動的にブレンドされた新しいリスニングモードが提供され、周囲の状況に合わせたノイズコントロール体験を実現(ファームウェアバージョン6A300以降のAirPods Pro(第2世代))
・パーソナライズされた音量によって、周囲の環境および長期的なリスニングの好みに合わせてメディアの音量を調整(ファームウェアバージョン6A300以降のAirPods Pro(第2世代))
・会話感知で、周囲の騒音を減らしつつ、メディアの音量を下げ、目の前にいる人の声を強調(ファームウェアバージョン6A300以降のAirPods Pro(第2世代))
・通話中にAirPodsのステムまたはAirPods MaxのDigital Crownを押すことで、マイクの消音と消音解除が可能(AirPods(第3世代)、AirPods Pro(第1世代および第2世代)、またはファームウェアバージョン6A300以降のAirPods Max)

マップ

・オフラインマップは、行きたい、検索したい、探索したい場所の豊富な情報を事前にダウンロードしておくことによって、iPhoneがWi-Fiやモバイル通信サービスを使えないときに使用可能
・電気自動車経路の改善により、対応する充電スタンドのリアルタイムの使用可能状況に基づいた経路を表示

画像を調べる

・“画像を調べる”の対応分野が拡張され、料理の写真から似たようなレシピを調べたり、店頭の写真から“マップ”の情報を調べたり、洗濯表示などの表示や記号の意味を調べたりすることが可能
・写真やビデオの背景から複数または1つの被写体を抜き出して、“メッセージ”などのアプリに追加することが可能
・ビデオで“画像を調べる”を使用して、一時停止したビデオフレームに映っている対象物について調べることが可能
・写真の被写体に“画像を調べる”を使用して、写真から抜き出した被写体の情報をコールアウトメニューから直接調べることが可能

ヘルスケア

・“心の状態”の振り返りでは、一時的な感情や日々の気分を記録し、自分に最も影響している要因を選択し、どう感じているかを確認することが可能
・インタラクティブグラフでは、時間とともに心の状態がどのように変化したか、また、運動、睡眠、マインドフル時間など、どの要因の影響が大きいかを知ることが可能
・心の健康のアセスメントによって、うつ病や不安障害の現在のリスクを把握し、サポートを受けるのがよいかどうか確認することが可能
・“画面との距離”では、Face IDでも使用されるTrueDepthカメラを活用し、デバイスを見るときに遠ざけるように促して、デジタル眼精疲労を減らし、子供の近視になるリスクを軽減することが可能

プライバシー

・“センシティブな内容の警告”を有効にすることで、“メッセージ”、AirDrop、電話アプリの連絡先ポスター、およびFaceTimeメッセージで、ヌードを含む画像が予期せずユーザに表示されるのを防止
・“コミュニケーションの安全性”によるお子様への保護が拡張され、“メッセージ”、AirDrop、電話アプリの連絡先ポスター、FaceTimeメッセージ、およびシステムの写真ピッカーでお子様が送受信する可能性のあるヌードを含む画像に加え、ビデオも検知可能
共有権限が改善され、埋め込まれた写真ピッカーと追加のみの“カレンダー”権限でのアプリとの共有項目をさらにコントロール可能
・リンク追跡保護により、リンクの機能は残しつつ、“メッセージ”、“メール”、およびSafariのプライベートブラウズで共有されたリンクから、一部のWebサイトがそのURLでユーザをほかのWebサイトでも追跡するために使用する余分な情報を削除

アクセシビリティ

・アシスティブアクセスにより、電話とFaceTime、メッセージ、カメラ、写真、およびミュージックでアプリの重要な機能だけが提供され、大きな文字、視覚的な代替物、絞られた選択肢などよって認知的負荷を軽減
・ライブスピーチで、話したいことを入力して、電話、FaceTime通話、および対面の会話で読み上げてもらうことが可能
・“拡大鏡”の検出モードの“指差し読み上げ”により、ドアのキーパッドや家電のボタンなど、小さいテキスト表示のある物のテキストをiPhoneで読み上げ

その他の機能と改善

・“写真”の“ピープル”アルバムの“ペット”で、友達や家族と同様にアルバム内のペットを識別
・“写真アルバム”ウィジェットで、写真アプリの特定のアルバムを選択してウィジェットに表示することが可能
“探す”の持ち物共有で、AirTagまたは“探す”ネットワークアクセサリを最大5人と共有可能
・“ホーム”のアクティビティ履歴で、ドアロック、ガレージドア、セキュリティシステム、および接触センサーの最近の履歴を確認
“リマインダー”の買い物リストで、品物を追加すると関連する品物をセクション別に自動的にグループ化
・“メモ”で埋め込まれたPDFとスキャン書類が画面幅で表示され、簡単に閲覧して注釈を追加可能
・キーボードのミー文字ステッカーに新たに、天使の輪がかかっている笑顔、にやりと笑った顔、顔の前に広げた手の間からのぞき見している顔を含む、新しいミー文字ステッカーが追加
・Spotlightを使ってアプリを検索すると、次のアクションに便利なアプリのショートカットがトップヒット内に提示
・フィットネスで“共有”タブが一新され、ワークアウトの連続記録やバッジなど、友達のアクティビティをハイライトして表示
・Apple IDアカウントに登録されているメールアドレスまたは電話番号でiPhoneにサインイン可能
・フリーボードに、表現豊かなボードを作成するための万年筆、水彩筆、定規といった新しい描画ツールを追加
・衝突事故検出の最適化(iPhone 14、iPhone 14 Plus、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max)

なお、一部の機能は、地域やAppleデバイスによっては使用できない場合がある。

対応機種

iPhone 15、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max、iPhone 14、iPhone 14 Plus、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max、iPhone 13、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Max、iPhone 12、iPhone 12 mini、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR、iPhone SE(第2世代以降)

tVOS 17も提供開始。Apple TV 4KでFaceTime

また、Apple TV 4Kでは、tvOS 17の提供開始により、FaceTimeが利用可能になる。

Apple TV 4Kから直接通話を開始したり、iPhoneやiPadで通話を開始してApple TV 4Kに引き継いだりできる。Apple TV 4KのFaceTimeは、連係カメラへの対応によってiPhoneやiPadにワイヤレスで接続し、デバイスのカメラとマイクを利用して参加者をテレビに集められる。

また、Apple TV 4KとApple TV HDでのtvOS 17では、Siriを使った機能が拡張された。

tvOS 17で利用できるようになる新機能

・Apple TVの再設計されたコントロールセンターにより、Apple TVの体験全体を通じて、ユーザーが主な設定や情報に簡単にアクセスできるようになる。ホーム画面上で、コントロールセンターに時間やアクティブなプロファイルなどのシステム状況が表示されるようになり、ユーザーのアクティビティに応じたその他の役立つ情報が表示される
・iPhoneの新しいSiri Remoteを探す機能で、Apple TVとのシームレスな統合を強化。ユーザーは、iPhoneのコントロールセンター内でApple TVリモコンを起動して、Siri Remote(第2世代以降)を探せる。ユーザーがリモコンに近づくと画面上の円が大きくなり、ユーザーの動きをガイドする
・Apple Music Singと連係カメラの双方向機能により、ユーザーはお気に入りの曲に合わせて歌いながら自分の姿を画面に表示して、楽しいフィルタを追加できる
・メモリーをスクリーンセーバとして表示できるので、ユーザーは個人ライブラリ、共有ライブラリ、またはその両方から厳選された写真を大画面で楽しめる
・対話を強調では、対話を背景のノイズから分離してセンターチャンネルに持ってくることにより、HomePod(第2世代)とペアリングされたApple TV 4Kの映画やテレビ番組で、エフェクト、アクション、音楽よりも人が話した言葉をより明確に聞き取ることができる