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BtoBでもカード支払いが必須? パーチェシングカードを強化する三井住友カード

三井住友カードの法人カードラインナップ

三井住友カードは28日、ビジネスシーンにおけるキャッシュレスについてのメディア向け説明会を開催した、法人カードにおいては、特に「パーチェシングカード」を強化していく。

法人取引でも「カード必須」 パーチェシングカードに注力

コロナ禍でのテレワークの推進や、キャッシュレスの浸透、改正電子帳簿保存法の施行など、ビジネス分野におけるキャッシュレス化が進み、法人においてもカード決済が増えてきている。

注目される動きが、ITサービスでのカード支払い。2018年から2021年の間に、支払金額は約2倍に増えている。Amazon Web Service(AWS)などのクラウドサービスでは、請求書払いではなく、カード払いがスタンダードになっている。BtoB取引においても「カードが必須」「カードが無いと支払えない」というケースが増えてきているという。

こうした状況下で三井住友カードが法人カードで強化するのが「パーチェシングカード」だ。主に企業間取引(BtoB)で利用するクレジットカードとなり、同社のパーチェシングカードは、プラスチックカードを発行せず、カード番号や有効期限、セキュリティコードなどをユーザー企業に提供。これらを使って企業が購買を行なう仕組み。

法人カードにおいては、出張旅費や接待交際費などを中心に「コーポレートカード」が使われてきた。プラスチックカードを基本とし、対面でも非対面でも利用可能なコーポレートカードに対し、「パーチェシングカード」は機能や用途を限定したものとなり、支払いは「1回払い」のみで、例えば「AWSの支払いのみ」など用途も限定して設定できる。

コーポレートカードと同様に、支払い状況は企業の管理部門からも確認できるほか、支払い猶予が長く、企業のキャッシュフロー改善に役立てられる点も特徴とする。

コーポーレートカードでも当然カードの支払いは行なえるが、パーチェシングカードでは、部署や用途ごとに使うカードや与信枠を管理できるため、組織の状況や用途にあわせた柔軟な運用が可能となる。コーポレートカードは、出張旅費や接待交際費などの対面利用や間接費での利用を想定し、パーチェシングカードはシステム関連費用や材料購入など、直接費のカード払いニーズに応えるものと位置づけられる。

実際のパーチェシングカードの利用例では、海外IT企業などが多く、FacebookやGoogleなどの広告費、AWSやMicrosoft Azure、Google CloudなどのクラウドITサービス、半導体などでの支払いが多いという。コーポレートカードでは海外企業への支払いは15%程度だが、パーチェシングカードでは30%程度が海外となっている。

海外への支払いの場合、海外送金などで手数料が発生するためカードが好まれるという事情がある。加えて、最近のカード活用事例では、コロナ禍による半導体不足により商社が半導体を調達できず、企業が直接メーカーと取引する事例が非常に増えているという。そうした事例では、海外送金しても着金しないと在庫が確保されず、タイムラグにより部材調達できないケースも生じていたという。一方、カード払いであれば、24時間365日オンライン決済可能で、支払い後に即在庫確保されるため、サプライヤーとバイヤーの双方にメリットがあったという。

バックオフィスの効率化にもビジネスカード

またビジネスカードの活用例として、バックオフィスの業務システムと連携し、支払い管理や経理処理の手間を軽減できる点も訴求していく。三井住友カードにおいては、'18年と'22年の比較ではコーポーレートカードと経費精算システムの連動が、2.4倍に拡大した。

パーチェシングカードの採用拡大とともに、広告や仕入れなどの直接費での利用が増加している。'18年から'22年の間に、パーチェシングカードの発行は2.0倍になり、決済金額は2.3倍となった。

三井住友カードによれば、法人カードにおけるパーチェシングカードの割合は現状1割程度と少なく、特に認知度が低い点が課題となっている。一方、米国ではコーポレートカードが1割、パーチェシングカードが9割となっており、日本においても今後直接費でのカード利用が増えていくと見込む。

カードによる取引の拡大にあわせて、三井住友カードでは経費精算システムへの利用明細データ連携なども進める。これにより、従業員のデータ「入力レス」や上長・経理の「承認レス」とともにペーパーレス化を推進していく。