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ペンで書き込める大画面キンドル「Kindle Scribe」発売 「紙の本のように使う」

Kindle Scribe

アマゾンは、ペンで書き込みもできる電子書籍リーダー「Kindle Scribe(キンドル スクライブ)」を11月30日から出荷開始する。スタイラスペン付きで価格は47,980円から59,980円。24日にメディア向けに説明会を開催し、付箋やメモなどの新機能を紹介した。

Kindle Scribeは9月29日に発表し、年内発売を予告していたが、11月30日からの出荷開始が決定。また、エディオン、ケーズデンキ、ビックカメラ、ヤマダ電機でも順次販売予定。

Kindle史上最大となる10.2型/300ppiのe-INKディスプレイを備え、電子書籍リーダとして使うだけでなく、ペンでの書き込みにより「ノート」にもなる。「読むことと書くことを融合した」Kindleの最上位モデルとなる。

Kindle本に付箋機能を使って手書きの付箋メモをつけたり、PDF文書などに直接書きこみ、「ノートをとる」といった操作が可能。購入したKindle本に付けた付箋やメモは一つの場所で管理され、すべてのメモを一括で確認できる。

ライブラリ
ノートブック

本の感想やメモなどを付箋として記録し、あとで一括して確認できる。なお、ほとんどのKindle本に付箋を追加できるが、画像サイズや文字位置を固定して作成した(フィックス)のKindle本の一部は、付箋を追加できない場合がある。マンガや実用書などは書き込みができない場合があるという。

なお、今後「Kindleストア」内にKindle Scribeでの付箋に対応状況を示すアイコンを各コンテンツに表示する予定。これにより、対応状況を確認しながらKindle本を購入できるようにする。

ノートブック機能では、ToDoリストの作成や会議の議事録、授業のノートなどに対応。自動的にクラウドに保存・バックアップされ、本体だけでなくスマートフォンやPC(デスクトップ)のKindleアプリからもアクセスできる。

「Send to Kindle」によりスマートフォンやPCからPDFやWord文書を取り込み、Kindle Scribeでメモを追加することも可能。追加したメモなどはPDF形式で出力できる。なお、Kindle Scribeで付与した付箋やメモはKindle Scribe以外のアプリケーションでは編集できない。

ディスプレイは10.2型/300ppiで文字や画像がくっきり読めるほか、光の反射を抑え、明るい光の下でも読み書き可能。35個のフロントライト用LEDを装備しているほか、明るさ自動調整機能も備えている。

第11世代Kindle(6型)との比較。かなりのサイズ差がある
背面

実機に触れてみると、Kindleシリーズの「電子書籍リーダー」といったイメージより、サイズ的には「タブレット」に近い印象だ。ただ、基本機能としては電子書籍リーダーで、そこにスタイラスによる、メモや付箋機能を加えたデバイスとなる。

同梱のスタイラスペンは、「スタンダードペン」と「プレミアムペン」の2種類から選択可能。ペアリングや充電は不要で、Kindle Scribe本体にマグネットで取り付けられるデザインとなる。手書き文字の太さの調整、マーカー、消しゴム、元に戻す、などの機能も備えている。

スタンダートペン(左)とプレミアムペン(右)

「プレミアムペン」には、カスタマイズ可能なショートカットボタンを搭載するほか、ペンの後端に「消しゴム」を装備。ペンで描いた線や絵を消しゴムで消せる。ショートカットキーはマーカー、付箋追加などの機能を割り当てできる。なお、線を描くだけの場合、スタンダートペンとプレミアムペンの差はないとのこと。

短時間ながらメモや付箋を試してみたが、スタイラスペンで文字を描くと、かすかな抵抗とともに描画され、たしかに紙に文字を書くのに近い感触がある。先の細さなども変更できる。なお、ペンの色は“黒”のみ。

スタンダードペン付きモデルは16GBストレージ、プレミアムペン付きモデルは16GB/32GB/64GBの3種類が用意される。価格は、スタンダードペンの16GBが47,980円、プレミアムペンの16GBが51,980円、32GBが54,980円、64GBが59,980円。

外形寸法は196×230×5.8mm、重量は433g。Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)に対応する。充電端子はUSB Type-Cで、USB-C充電アダプター(9W)経由での充電時間は約2.5時間。読書時には、1回の充電で最大12週間利用可能(明るさ設定13、ワイヤレス接続オフで1日30分使用)、手書き機能は同条件で最大3週間。

別売りでファブリックカバー、レザーカバー、プレミアムレザーカバーの3種類の専用カバー用意。価格は9,980円から。

「紙の本のように使いたい」から生まれた大きなKindle

電子書籍リーダーのKindleは、日本展開から今年で10年目となる。Kindle、Kindle Paperwhite、Kindle Oasisの3モデルで長らく展開してきたが、そこに新たなラインナップとしてKindle Scribeが投入される。

Amazonデバイス事業本部 Kindle、Fire Tablet、Accesories事業部 事業部長の清水文弥氏は、想定ユーザーは、「まずは、高機能なKindleを求める既存の電子書籍ユーザー」とする。そのほか、知的好奇心旺盛で本を読みながらメモを取りたい人や、業務上で原稿チェックなどを行なう人を挙げる。

Amazonデバイス事業本部 清水文弥氏

さらに10.2型の大型ディスプレイを活かして、より大きな画面、大きな文字で読書を楽しむ人にも訴求していく。例えば、「マンガ雑誌に近いサイズ感で読める」といった点も特徴という。

最近はAndroidタブレットで電子ペーパーを搭載した製品も出てきているが、Kindle Scribeは、基本は「電子書籍端末Kindle」とし、その上でメモや付箋を取れるという付加価値と、大画面をアピールしていく。書き込んだメモを保存したり、クラウドで同期はできるが、Fireタブレットのようなアプリ追加や生産性向上ツールなどの連携などは現時点では予定していない。

ただし、Kindle Scribeも「紙の本のように使いたい」、「付箋やしおりを使いたい」といったユーザーのニーズから生まれた製品としており、Kindle Scribeの発売後の反応を見ながら、今後の進化や機能追加を検討していくとした。