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「業界最後発」 バクラクがいまさら経費精算に参入する理由

LayerXは、手入力ゼロという経費精算システム「バクラク経費精算」をリリースした。経費精算へ参入するとともに、バクラクシリーズを請求書SaaSから法人支出管理SaaSとして展開していく。

同社は、クラウド請求書受領サービス「バクラク請求書」や、ワークフローシステム「バクラク申請」、改正電帳法に完全対応した「バクラク電子帳簿保存」など、「バクラク」シリーズを展開、累計1,500社以上の企業・事業者様が導入している。ここに「経費精算」を追加する形となる。月額費用は2万円から。また、バクラク経費精算のリリースを記念し、2022年6月末までの契約に限り、利用料が半年間無料になるキャンペーンを実施する。

バクラク経費精算は、AI-OCRや改正電帳法対応、稟議〜承認〜支払までの一気通貫での展開などが特徴。バクラク請求書の技術やノウハウを活かし、領収書をまとめてアップロードすれば、AIが自動でデータ化。入力補助機能もあるためサクサク申請できるという。

また、承認者向けには、「二重申請防止アラート」「月またぎの経費申請防止アラート」「出席者情報・単価上限アラート」といった機能も順次追加予定。

月額費用は2万円から。また、バクラク経費精算のリリースを記念し、2022年6月末までの契約に限り、利用料が半年間無料になるキャンペーンを実施する。

なぜいま経費精算なのか? 体験を重視

LayerXはなぜ経費精算に参入するのか?

毎年40%を超える成長市場ではあるが、この領域にはすでに数十サービスが市場に存在し、激しい競争環境にある。

LayerX SaaS事業部プロダクトマネージャーの飯沼広基氏も「業界最後発」と認める。一方で、「本当の意味でお客様の課題を解決するサービスがまだない」とし、そこにバクラク経費精算を投入する意義があるという。

同社によるアンケート調査では、経費精算システムを導入している会社においても約7割が経費精算は「面倒」という声があがっており、「楽に使える」「サクサク動いてほしい」など「体験」を重視する意見が多いという。システム(テクノロジー)を導入しても体験は改善されておらず、「テクノロジーと体験の分断が起きている」(飯沼氏)とする。

バクラク経費精算では、体験を重視し、「テクノロジーをコアとした経費精算システム」を目標に開発。100以上のヒアリングを行ない、経費精算の業務フロー全体で間違いなくカンタンに申請できる仕組みを構築した。

経費精算システムにおいては、領収書等をカメラ撮影して文字情報などを取り込むAI-OCRは一般的な機能になっている。しかし、OCR読み取りに数十秒かかる場合もあり、「手入力のほうが早い」といった状況も発生しているという。

バクラク経費精算では、まとめて領収書をアップロードして、数秒でOCR処理を完結、一画面で確認できるなど、「サクサク」申請できるという“体験”の違いをアピールしている。承認画面でも、使い回しがないかなどのチェックができるようにするなど、ユーザーの意見を反映させながら開発し、頻繁なアップデートも特徴としている。

一気通貫で攻める。年内にビジネスカードも

LayerXの福島良典CEOは、バクラク経費精算の導入により、「バクラクシリーズは、請求書SaaSから法人支出管理(BSM)SaaSに展開する」と語る。

LayerX SaaS事業部プロダクトマネージャーの飯沼広基氏(左)と福島良典CEO(右)

法人においては、「売上側」のプロセスはデジタル化が進んでいる(セールスフォースなど)が、「費用側」の作業は紙やExcelなどが残っている部分が多い。LayerXでは、バクラク請求書により、法人がお金を使う、請求書、経費精算、稟議、決済など費用側のデジタル化を一気通貫で進められるようになるという。

福島氏は、この「一気通貫、ワンストップ」が他のサービスにないバクラクシリーズの強みとする。これまでは、「経費精算」が無かったことで「稟議システムを寄せられない」などの声があり、バクラク申請などの導入を進める上でも、連動する経費精算システムの開発は必須だったという。経費精算を導入したことで、支出プロセス・支出手段の全てをバクラクシリーズでカバーできるようになる。

今後の展開としては「ビジネスカード」を年内に導入予定。現在も会計システムと連携するビジネスカードは多数展開されているが、「決済データの連携が遅い」「明細を見ても費用の判断が付かない」といった課題があり、経理・財務の担当者にとっては「必ずしも使いやすいとはいえない」とする。バクラクシリーズでビジネスカードを展開することで、こうした課題を解決できるという。