JR東日本、ステレオカメラで障害物検知。無人運転の開発加速

JR東日本は、車両前方にステレオカメラを搭載して障害物をリアルタイムで自動検知するシステムの走行試験を年度内に実施する。線路上の障害物検知は、列車の安全性向上や将来のドライバレス運転で必要とされる技術の一つ。

JR東日本研究開発センターの先端鉄道システム開発センターが開発したもので、これまでは車両に適したカメラ開発や画像処理制度向上のため、首都圏で走行試験を行なってきた。本年度はカメラと画像処理装置の小型化を行ない、走行試験を実施。2023年度には営業車へ搭載して通常走行時のデータ蓄積、機能改善を継続し、乗務員の運転支援や将来のドライバレス運転に適用することを目指す。

車両の前方に搭載した2台のカメラ画像から、画像処理装置がステレオカメラの技術を用いて画像解析。物体までの距離を計算することで、列車が走行する線路内の障害物をリアルタイムに検知する。

自動車でも前方の障害物検知システムは実用化されているが、鉄道車両の場合、列車を停止させるまでの距離が自動車と比べて長くなるため、より遠方の障害物を検知する必要がある。これまで実施した走行試験では、遠くまで撮影した画像を解析することで物体までの距離が計算できることを確認しているという。

カメラは鉄道車両に適したものを開発。車両の揺れによる影響が少ない画像を得ることができ、障害物の誤検知が少なくなった。トンネルや夜間など、明るさの変化に対応できる画質調整も可能。カメラと画像処理装置で機能を分担することで、処理速度も向上している。

これまでMUE-Train(多目的試験車)や、京浜東北・根岸線の車両に搭載し、2020年2月から本線上で走行試験を実施し、カメラや画像処理装置の性能調整を行なった。

今後も首都圏のさまざまな場所で試験を行ない性能向上に向けた開発を継続。安全性向上につながる乗務員の運転支援やドライバレス運転に適用することを目指す。