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月額5000円で半径2km以内乗り放題。auとWILLERの新モビリティ「mobi」

KDDIとWILLERは、2022年1月からエリア定額乗り放題サービス「mobi」を共同で提供する。モビリティサービスと通信を掛け合わせた、地方・都市の社会課題解決と新たな移動体験の提供、交通業界のDX化を目指す。

mobiは、「Community Mobility」をコンセプトとしたエリア定額乗り放題サービス。アプリや電話で配車して、AIルーティングにより予約状況や道路状況を考慮し、半径約2kmのエリア内を出発地から目的地まで最適なルートで効率よく移動できるという。

複数名によるプロのドライバーが運行し、子どもの送迎や、今までより足を延ばした場所での買い物、免許を保有しない家族の送迎、家族での外食、高齢者の自由な外出など、「新たな移動価値を提供する」としている。特に保育園やスーパーでの利用を想定しているとする。

利用料金は、30日定額プランで5,000円。同居家族6人まで、1人あたり500円追加で登録できるため3人家族の場合6,000円(1人あたり2,000円)で利用できる。また、1回乗車プランは大人300円、小学生以下150円。

半径約2km以内の生活圏内を自由に回遊できる「ちょい乗りサービス」(KDDI高橋誠社長)として展開。エリア内ならどこでもなんどでも利用でき、徒歩やマイカーの代替を目指す。

KDDI高橋誠社長

mobiは、東京都渋谷区、愛知県名古屋市千種区、京都府京丹後市で展開中だが、今後、東京都豊島区でも2022年にサービス開始予定。順次全国拡大していく。現時点の会員数は7,000人で渋谷区のユーザーが多いという。

mobiは、WILLERが中心となり展開してきたが、今回の発表にあわせて、合弁会社「Community Mobility株式会社」を設立。全国展開を目指す。出資比率はWILLER 51%、KDDI 49%。合弁会社では、WILLERが持つITマーケティングシステムや交通事業者の知見と、KDDIが持つ地方自治体とのつながりやデータ活用の知見を生かし、それぞれの地域のニーズに合わせたサービスを展開。また、キッザニアなどとも連携。施設への無料送迎などを検討していく。

mobiアプリで配車依頼。地域を巡りながら“乗り合い”で送り迎えしてくれる

エリア定額乗り放題で地域と“深く”つながる

mobiは、これまでWILLERが中心となって推進してきたが、KDDIが資本参加し、合弁会社のCommunity Mobilityとして展開していく。

WILLER村瀬社長(左)、KDDI高橋社長(中央)、KDDI 松田浩路 事業創造本部 本部長

WILLERの村瀬茂高社長は、「コロナ禍の影響で生活様式が変化し、自宅から2km圏内での生活時間が増えた。これをどう有効に使うか。2km圏内の生活移動をストレスなく、行きたいときに自由に地域を回遊できる移動サービスを作っていく」とmobiの狙いを説明。「保育園からスーパーのような移動で、定額で、お財布を気にせずに気軽に利用できる。これは特に地域交通には必要なこと」と語った。

また、mobiのドライバーはある程度固定して、「いつも同じ人」が送ってくれるという安心感も特徴。地域に密着した「アットホーム」な移動手段を目指すという。さらに、「お出かけ機会が増えて新たな交流ができる。店の来客が増えて町の賑わいが創出されシティバリューが向上する」とした。

エリア展開では、現在の3地域と豊島区に加え、北海道から九州まで拡大する。北海道4エリア、東北2エリア、関東5エリア、中部3エリア、近畿5エリア、四国1エリア、九州2エリアで展開予定。WILLER村瀬社長は、「地域の移動格差をなくし、持続可能な社会を目指す」とした。

KDDIは、全国60自治体超と地域連携協定を結び、2,300のauショップを展開しており、こうした地域ネットワークもmobiにおいて活用していく。また、auのスマートフォンのネットワークから移動データを抽出。人々の移動を可視化し、エリア選定やサービス内容を磨いていく。

KDDI高橋社長は、「人流データを見ながらサービス展開していくのは、政府が推進するSociety 5.0そのもの。お客様のデータをフィジカルの世界に生かしていくために、バッチリのサービス。また、単にお客様を増やすのではなく、深くつながることが重要。サブスクリプション型のサービスで、エリアに密着して深く展開できる。また、地方に5Gを広げていく使命も含んでいる。規模を追うのではなく、予定している20カ所でしっかりやっていく」とした。