ニュース

ヤフーやPayPayは「LINE公式アカウント」で強化。ZHD決算

Zホールディングスは4日、2021年度第1四半期決算を発表。売上収益は第1四半期で過去最高となる前年比36.3%増の3,733億円、調整後EBITDAは同11.2%の863億円となった。決算会見では、LINEとの統合効果やYahoo!の商標権・技術ライセンス取得についても言及された。

LINEについては、広告事業が大きく成長。一時損失を除いても黒字となり、売上高は705億円、営業利益は76億円。ZHD全体でもデジタルシフトを取り込み、大幅な伸長となった。LINEの各事業も、メディア、コマース、戦略の3セグメントに吸収した。

LINE統合により、ZHD全体で強化しているのが「LINE公式アカウント」。ヤフーの広告顧客や、PayPayやYahoo!ショッピングの顧客への導入を進め、1to1マーケティングソリューションを強化するとともに、アカウント広告売上拡大を目指す。

LINE公式アカウントは、「いろいろなグループサービスをつなぐ起点として、ソフトバンクと連携しながらやっていく」(ZHD 出澤 代表取締役Co-CEO)としており、ヤフーショッピングでの導入は申込ストア13,773件と「垂直立ち上げ」となっているという。

また、2021年後半に「ヤフージャパンライセンス契約」の終了を予定しており、日本におけるYahoo!、Yahoo! JAPANの商標権や技術ライセンスを1,785億円で取得。これにより、ロイヤルティ費用の減少や機動的な事業運営を可能とする。

広告などが中心のメディア事業は、LINE公式アカウントを強化。Yahoo!ショッピングやPayPayに導し、再購入等を促す1to1マーケティングの仕組みを構築していく。

コマース事業は、ポイント付与などのインセンティブを継続しつつも、物流などECプラットフォーム改善や、LINEの活用など、サービスの本質的価値を強化していく。なお、PayPayモールの規模などは非公開だが、「Yahoo!ショッピンングを超えてはいないが、追いつきそうなところまできている」とのこと。

物流については、ヤマトホールディングスと連携し、配送品質を改善。提携を拡大し、取扱高に占める「優良配送」比率を向上している。また、アスクルや出前館と協業する日用品の即配サービス「PayPayダイレクト by ASKUL」の実証実験などにも取り組んでいる。

競合との差別化という点では、「LINEを活用したソーシャルコマース」を今後強化していく。2021年第1四半期は、前年比203%と成長しているが、ZOZOTOWNやヤフーショッピングと連携して取扱高を増やしてく。

戦略事業では、Fintechを強化し、メディア、コマースにならぶ事業としていく方針。

PayPayは、取扱高が1.2兆円、決済回数は7.86億円に拡大。PayPayのコード決済市場シェアは68%超となったが、市場全体を上回る成長を見せているという。

また、今後はFintechのマネタイズに向けてはクレジットカード事業を強化。今後販促強化のための新サービスも予定している。ジャパンネット銀行から商号変更したPayPay銀行も成長を継続。口座数、預金残高、貸出残高も好調に推移しているという。また、PayPay証券の「ボーナス運用」も1年3カ月で400万ユーザーを突破するなど、「PayPay経済圏」を強化している。

海外事業については「LINE」ブランドを中心にすえる。台湾、タイ、インドネシアに注力し、メッセンジャーを中心とした広告、ゲーム、スタンプなどを展開しているが、ECやFintechサービスに注力。タイでレンディングサービスを行なう「LINE BK」は9カ月で291ユーザーを獲得するなど、それぞれの国にあった事業展開を図る。