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フィリップス、家庭向けAEDを今夏発売。心肺停止の66%は自宅

フィリップスは、家庭向けのAED「ハートスタートHS1 Home」を開発し、今夏発売する。家庭向けとして過剰な機能を省き、小児向け機能なども搭載する。価格は未定。

HS1シリーズは、アメリカで唯一、医師の処方箋無しで購入が認められた初のAED。家庭向けとして、サイズを小型化。自動セルフテストや自動音声ガイダンス機能により、緊急時に誰でも操作ができる使いやすさを追求した。心臓への負担を抑える低エネルギー(150J)で除細動に必要な電流を流す技術を搭載する。ペースメーカーを使用している場合にも自動的に「ペーシングパルス」を除去し、正確な心電図解析を行なう。

家庭向けに小型化
ケース内には緊急時に衣服を切るためのはさみや説明書も同梱
AED本体

オプションで小児用のパッドも用意。標準搭載の大人向けパッドと交換することで、自動的に小児モードに切り替わり、誤操作を防ぐ。オプションでトレーニング用のパッドも用意される。

小児用パッド

また、一般的なAEDではバッテリや、パッドを複数搭載して冗長性を高めているが、家庭用として1つずつ搭載することで価格を抑える。

バッテリは1つ

バッテリの使用期限は約4年で、交換用バッテリも販売する。本体サイズは7.2×19×21cm(高さ×奥行き×幅)、重量1.5kg。

消防庁によれば、心肺停止が発生する場所の66%が家庭とされるが、日本の家庭ではほとんどAEDは普及していない。家庭で心肺停止状態となって救急車を呼んでも、倒れた瞬間から蘇生確率は急激に下がり、救急車が到着する平均時間である8.7分後には、10%程度にまで低下するという。AEDをすぐに使用すれば蘇生確率が大幅に上がるだけでなく、1カ月後の生存率も5倍、社会復帰率は10倍に上がるという。

同社では、家庭用AEDを普及させることで、「心臓突然死ゼロを目指す」としている。

心肺停止発生場所の66%は家庭
救急車到着までの蘇生率