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コロナ禍で4人に1人は住まいに不満。トイレでテレワークも。LIXIL

LIXILは、コロナ禍における暮らしの変化について、「家族時間の変化と住まいに関する調査」を実施。コロナ禍で今の住まいに満足していない人が約4人に1人であることや、テレワークを実施したことのある場所として「お風呂」や「トイレ」も挙がったことなどを紹介するとともに、ニューノーマル時代に合ったリフォームについて紹介した。

調査の対象は全国の30代から40代の既婚男女800人で、同居家族がおり、マンションおよび戸建ての持ち家を所有している人。家族の中での習慣・約束ごとである「ファミリールーティン」や、今の住まいについて質問している。

料理や掃除など家事の頻度は増加傾向

コロナ禍で家族時間が増えたと回答した人は23.5%で、家族時間が増えた人の1日当たりの家族時間は平均1日4.4時間増加している。そのほか全体で、家族とご飯を食べる回数が「とても増えた」「やや増えた」人は25.2%、ご飯を作る機会が「とても増えた」「やや増えた」人(2人以上で一緒に、または担当していなかった人)は13.9%という結果となった。

この結果に関連し、LIXIL 開発営業本部 TH統括部 ハウジング企画グループの冨平綾氏は、キッチンへのニーズの変化について説明。共働き世帯の増加により、コロナ以前から2人以上で作ることを想定したキッチンへのニーズが多くなっていたが、家族時間が増えたことで、家族で一緒に料理をして過ごす傾向があるという。

家事については掃除に関する調査も実施。新型コロナ流行前に比べて掃除の回数が「とても増えた」「やや増えた」人は27.7%となっている。

この結果について一級建築士事務所 OfficeYuu 代表住宅リフォームコンサルタントのYuu氏は、家に人がいれば汚れやすく、散らかりやすくなり、食事後の片付けの手間も増え、さらにマスクの洗濯や消毒といった新しい家事の手間が生まれていると指摘。その結果として、掃除がしやすい浴室やトイレ、片付けがしやすいキッチンや収納、ウイルス対策がしやすい間取りなどが求められると説明した。

トイレについては加えて冨平氏が、おうち時間が増えることでトイレの使用頻度が増え、おのずと掃除の回数が増えると言及。掃除をしやすいトイレを求める声が増えるとともに、トイレットペーパーの使用量の増加からトイレットペーパー置き場への関心も高まっているという。

また、LIXILには、掃除しやすく設計されたトイレやお風呂のラインアップがあることを紹介した。

新型コロナウイルス感染拡大前後の生活ルールの変化

新型コロナウイルス流行前後での帰宅後に行なっていることの順番について、有職者472人を対象に質問。1番に行なうことが「ご飯」という人が42.6%から38.1%に減り、一方で「お風呂」の人が17.8%から21.2%に増加していることから、ウイルス対策の観点から、帰宅後のルーティンにも新しいスタイルが生まれているとしている。

冨平氏はこういった変化による間取りのニーズについて、玄関から浴室に直行できる導線が欲しいというニーズが出てきていると説明。手を洗う、服を脱ぐ、お風呂に入るまで何にも触れないで済むようにしたいという傾向が強まっているという。

さらにリフォームでの工夫として、引き戸を採用することを提案。ドアの場合は開けるためにドアノブを触る必要があるが、引き戸であれば出かける前に開けっ放しにすることができるため、何にも触ることなく手を洗うところまでたどり着けることを紹介した。

そのほか、ニューノーマル時代の暮らしに対応した住まいとして、玄関にコート収納や洗面所を設置する方法があることや、タッチレス水栓の導入なども推奨している。

また、コロナ禍で増えた新しいファミリールーティン(家族での約束・習慣)について、「帰宅したら消毒」、「定期的な換気」の2つが40%を超えたほか、7位までは20%超えていることから、新しいファミリールーティンが生まれていることがわかる。

戸建てとマンションでの違いも見られ、戸建ては「帰宅後の消毒」、「定期的な換気」、「週末のまとめ買い」の順、マンションは「定期的な換気」、「帰宅後の消毒」、「帰宅したらすぐ着替え・お風呂」の順となっている。

Yuu氏はこのうち、戸建て3位の「週末のまとめ買い」に着目し、戸建てのほうが収納スペースに余裕があるということを理由に挙げた。一方、マンションは住宅の気密性の高さから換気を気にしている人が多く、また戸建てに比べて床面積が限られていることが多いこと、都市型の生活であることが多いことなどから、消毒や着替えなどの感染対策に重点を置いていることがランキングに表れていると説明した。

冨平氏は換気について、LIXILのWebサイトで、風の入口と出口を設けることで空気の通り道が生まれ、より効率的に換気できることなど、窓の開け方などを解説していることを紹介した。

そのほかコロナ禍で家族に怒られたこととして、「オンライン飲み会の頻度が多い」、「帰宅してすぐに手洗いをしなかった」、「夜更かししすぎ」、「家の手伝いをしない」、「使用済みマスクの処理について」といった回答を紹介。

男性が怒られる理由としては「家でダラダラしていること」、女性が怒られる理由としては「ウイルス対策に神経質すぎること」が複数見受けられたという。

テレワークは自部屋とリビングが最多。ベランダ、お風呂、トイレという回答も

今の住まいについての調査として、テレワークを実施したことがある場所(対象は在宅勤務を実施している232人)や、1人で過ごすスペースとして理想的と考える空間(対象は全体の800人)について質問。

テレワークについては自部屋とリビングがそれぞれ40.3%で、以下、書斎15.5%、寝室15.0%で続く。ベランダ、お風呂、トイレという回答もあり、これについてYuu氏は、家の中で家族の邪魔にならず、また家族に邪魔されないような空間を探すことに苦労している人も少なくないと述べた。

新たに仕事のための空間を確保することは難しいとしつつ、テレワークの空間は1m2あれば十分快適な空間にできるとも説明。あまり使われていない押し入れやクローゼット、階段下などを活用し、ワークスペースを作るというアイデアも紹介した。

1人で過ごすスペースについては、リビングが42.3%、自部屋が37.3%で、以下、寝室17.9%、書斎11.8%で続く。

この結果に関して冨平氏は、リビングは家族のコミュニケーションの場と捉えられがちだが、実際にはリビングの在り方が変化しており、リビングに皆がいながらも各々が別のことをしているという実態が明らかになっていることを紹介した。

コロナ禍で住まいに満足していない人は4人に1人

今の住まいについて、家族関係が良好になったなど満足している人が多い一方で、4人に1人が間取りや設備に不満があると回答した。

これについてYuu氏は、今回の調査対象は30代から40代であることから、住まいを持って間もない人が多いことが予想され、それにしては4人に1人が不満というのは高い割合であると指摘。ニューノーマルの暮らし方に家が対応ができていないことによる不満と考えられ、これからはニューノーマルに合った新しい住まい空間が強く求められると説明した。

住まいをより快適にするために検討する方法については、リフォームが44.0%と最も多く、家具の買い替え、DIY、新居と続く。一方で、低価格で、工期1日で終わるリフォームがあることを知っている人は13.9%だった。特に戸建ての人は12.3%と低く、マンションでは、より手軽なリフォームを求めている人が多いものと考えられると説明した。

リフォームができるならしたい場所は、リビングが30.5%と最多で、以下、浴室、キッチン、洗面所と続く。Yuu氏によれば、従来リフォームのニーズは水回りが多かったが、リビングが1位という結果は、おうち時間が長くなった影響が考えられるという。また冨平氏は、リビングでオンラインエクササイズをする人や、オンラインコミュニケーションでの背景になる壁の見栄えをよくしたいと考える人が増加していることが背景にあると説明した。

ほかにもニューノーマルの暮らし方における新たな課題として、音の問題を挙げる。防音機能が付いた部屋が欲しいかという質問に対しては、「とてもそう思う」「ややそう思う」人が45.9%だったとし、またマンションでは近隣の騒音トラブルも増えているという。

冨平氏は課題解決の方法として、内窓の設置を推奨。防音のほか、断熱効果もあり、結果として光熱費の節約にもつながると説明した。そのほか注目してほしいものとして室内ドアを挙げ、簡単に取り付けができる防音タイプのドアがあることを紹介。隣の部屋のテレビや子供の声などの生活騒音を低減できるとしている。

そのほかYuu氏はリフォームについて、ベランダや庭にウッドデッキを敷くなど屋外空間を見直すことが、ストレス解消や気分転換につながると話した。