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紙幣を1枚ずつ除菌できる「紙幣除菌装置」。日立オムロン

日立オムロンターミナルソリューションズは、紙幣を大量に扱う施設向けに、紙幣に付着した細菌やウイルスを除菌するソリューションを実現できる「紙幣除菌装置」を開発した。16日から国内向けの注文を受付し、12月より提供開始する。

銀行の現金センタや支店のバックヤード、大型商業施設などの紙幣を大量に扱う施設向けのソリューション。金融機関では、窓口や支店において様々な感染防止対策を実施されているが、紙幣の除菌については膨大な量を扱うため除菌処理に時間がかかるほか、保管や管理が厳格なため、効果的な対策が確立されていないという。

例えば、海外の金融機関では、回収した紙幣に紫外線を照射した後、ウイルスの不活化のために一定期間保管し、その後市場に再流通させる。束のままの紙幣に紫外線を照射しているため、内側の紙幣には紫外線が届かず、全ての紙幣を除菌できないため、保管時間が必要となっている。

今回開発した紙幣除菌装置は、最も除菌効果の高いとされる波長260nm付近の強力な紫外線(UV-C)を一枚一枚の紙幣両面へ照射し、高い除菌効果を発揮。毎分1,000枚の高速除菌処理が可能という。愛知医科大学の小松孝行 准教授よる検証実験で効果を確認し、「紙幣に付着したパラインフルエンザウイルス(コロナウイルスと類似の構造を持つエンベロープウイルス)の99%以上が不活化したことが確認された」という。

除菌処理の仕組み(一枚一枚の紙幣に両面から強力な紫外線を照射しながら高速で搬送)

除菌ユニットは、開発中の束巻きユニットとの組み合わせも可能。束巻きユニットと連結することで、将来的には、除菌した紙幣を100枚単位で束を巻き、除菌済みであることを示す印字など紙幣の除菌処理に係る一連の運用を自動化できるようになる。