レビュー

クルマに載せるポータブル冷蔵庫を買ってみた

夏場にむけて、ドライブでのQOL向上のために、ポータブル冷蔵庫を買いました。

これまで、夏場に冷蔵品などをクルマで持ち運ぶ場合は、保冷剤+クーラーボックスが定番でしたが、保冷剤は事前に冷凍しておく必要がありますし、連泊する場合は、外出先で再冷凍も必要になります。コテージなどなら大型の家庭用冷蔵庫が置いてあることが多いので問題ないですが、ホテルなどでは冷凍室が小さくて保冷剤を再冷凍できない場合も多く、不便なことがよくありました。

そもそも日帰りのドライブなどでは、帰りに冷蔵品を買って帰る場合もあれば無い場合もあり、毎回あらかじめ保冷剤を用意して持っていくのも現実的ではありません。なので、道の駅などに立ち寄って、よさげなものを見つけても「保冷手段がない」ために買えないということはよくありました。

そのため、以前からクルマに冷蔵庫が欲しいとは思っていましたが、単なる冷蔵庫ではクルマのエンジンを切ってしまうと電源も切れてしまうので不便です。そのためあまり魅力は感じなかったのですが、最近ではリチウムイオンバッテリーを搭載し、クルマのエンジンを切った状態でも、かなりの長時間、冷蔵だけでなく冷凍も続けてくれる製品が出回ってきました。

筆者がまず購入したのは、Ankerの「EverFrost Powered Cooler 50」で、2023年7月に購入しました。その後思うところがあり、2024年の3月にハイコーキの「UL18DC」も購入しています。購入時の価格は、EverFrost Powered Cooler 50が84,990円、UL18DCが56,244円でした。どちらもセール中に購入していたので通常価格よりも安くなっています。

元々2つも購入する予定ではなかったですが、結果として2台持ちになってしまいました。

大きいが高機能なAnkerの冷蔵庫

まず購入したのはAnkerの冷蔵庫なのですが、こちらはとにかく大きく重いです。そのかわり、庫内が53Lと広い上、あらかじめそれぞれが物理的に区切られている2気室タイプで、片方を冷凍、片方を冷蔵にして使い分けられます。これがかなり便利です。1室だけだと冷蔵と冷凍を同時に使えませんし、冷蔵から冷凍に設定を変更しても、冷却までの時間もかかってしまいます。

Anker EverFrost Powered Cooler 50

肝心の冷却能力もしっかりとしており、家庭用冷蔵庫とそう変わらない印象です。冷凍品もしっかり冷凍したまま保持してくれます。面倒な保冷剤の管理から解放され、もう保冷剤には戻れません。

ちなみに、ポータブル冷蔵庫全般に言えることですが、ペルチェ素子による簡易的な冷蔵庫を除き、通常の家庭用冷蔵庫と変わらない冷媒ガスを使う製品は、冷却機構にそれなりのスペースをとられるため、外観の大きさに比べて収納できる容量はかなり少なめです。ただし、保冷剤を入れなくて済む分、庫内の大きさがそのまま収容力になるのはメリットでしょう。

2室を別々の温度で設定可能

本製品の本体サイズは約85.2×43×48.7cmと、かなり大型です。製品ラインナップとしては、53L、43L、33Lの3タイプが用意されていましたが、2気室タイプは53Lモデルのみです。なお、3タイプのサイズは、長辺の長さが異なるだけで、幅と高さはすべて同じです。搭載するクルマはミニバンなので、長さはそう気にならないだろうと考え、一番大きな53Lにしました。

バッテリーによる冷却持続時間は、サイズが大きいほど少なくなっていて、本製品では、外気温25℃で庫内を4℃の冷蔵に設定した状態で最大約27時間です。最も小さい33Lでは約42時間もの間、冷却し続けることができます。購入時には冷却持続時間の違いで一番悩みましたが、基本的には冷蔵で使う事が多いので27時間あれば十分であることと、長期旅行では大容量であることにメリットがあると考えたのも53Lモデルを選んだ理由の一つです。

バッテリーは取り外し可能で、ポータブル電源としても利用できます

例えば旅行中に冷蔵庫をエンジンを切ったクルマの中に搭載したまま、一晩放置していても余裕で冷却し続けてくれます。バッテリー付きの冷蔵庫が欲しかったのはこのためです。一晩でバッテリーが空になることはまずありませんし、消費した分は翌日クルマで移動している間に再充電が可能です。ただ、冷凍で使用する場合は恐らく冷却時間は半分程度になると思われるので、若干注意は必要ですが。

重い(本体だけで約27.5kg)のであまりやりたくないですが、万が一の場合はホテルやコテージに持ち込んで充電させれば問題ありません。一応、車輪と取っ手はついていますが、中身を入れた状態でクルマから下ろすのはなかなかしんどいです。

なお、本製品には「スマホで接続してコントロールできる」という機能がついていて、動作状況を確認したり温度設定を変えたりできます。正直、この機能にはかなり期待していたのですが、12時間で本体のBluetoothが切れる、という謎仕様のため、あまり実用的ではなかったのが残念です。だいたい翌日には切れていて、本体の設定ボタンを手動で長押ししてBluetoothをオンにしないといけません。これは設定で切れないようにさせてほしかったところです。

操作性はスマホアプリのほうが断然直感的です

さらに残念ながら、本製品はすでに生産完了しており、現時点で購入はできないようです。そのため、この問題も今後改善されそうにありません。諦めて本体のボタンで操作するようにすればいいのですが、本体のボタンが少ないため直感的な操作ができるとは言いにくいのが難点です。このあたりが本製品の唯一気になるところと言えます。

日常使い用に小型のハイコーキを購入

Ankerの冷蔵庫が大きいのは分かっていましたが、筆者のクルマにeMTBと同時に搭載するには、少し無理がありました。といっても搭載できないわけではないのでこの点は予定通りでしたが、旅行以外で日常的に出かける場合は、必ずといっていいほどeMTBを搭載するので、Ankerの冷蔵庫を常に一緒に搭載するのは窮屈です。特に、冷蔵庫を載せてしまうと、犬を乗せて自転車で牽引できるトレーラーを一緒に乗せられなくなります。日常的に大きな冷蔵庫に中身を入れるほど買い物をするわけでもありません。

eMTBとAnkerの冷蔵庫を同時に搭載したところ。一見余裕がありそうですが、ペダルが冷蔵庫にぶつかってしまっています

そこで普段使い用の小型ポータブル冷蔵庫として、新たにハイコーキの「UL18DC」を購入しました。ハイコーキ(HiKOKI)は、工機ホールディングスの電動工具のブランド名で、工機ホールディングスは、日立工機が2018年に社名変更した会社になります。

ハイコーキ「UL18DC」

購入したUL18DCは、本体サイズが34×55.3×45cmと、Ankerよりもだいぶ小ぶりで、容量は18Lです。これよりも更に小さい10Lタイプと最後まで悩んだのですが、18Lモデルは庫内の高さが高い分、2Lのペットボトルが立てた状態でそのまま入る、というところで購入を決めました。最大で4本入ります。逆に大きなペットボトルを入れないのであれば10Lタイプもかなりいい選択肢だと思います。

サイズ感はかなり小さくなります
車輪とハンドルもついています

電源としては、ハイコーキのリチウムイオン電池を2個まで内蔵可能です。標準で付属するバッテリーは一つで、-18℃の設定で約4時間、5℃では約10時間動作するとされています。Ankerの4℃で27時間には及びませんが、日帰りのドライブなどでは十分ではないでしょうか。また、筆者が購入したのは、標準バッテリー+高容量バッテリーが付属するモデルでしたので、同条件の冷蔵では20時間以上は持つと思われます。

バッテリーは2個搭載できます。付属のバッテリーがそれぞれ異なる仕様だったのでデコボコしていますが

また、Ankerはあくまで「冷蔵庫」なのですが、こちらの製品は最大60℃の「保温」も可能で、コンビニで温めたお弁当をそのまま保温したりできます。1室丸ごと保温はもちろん、庫内を仕切り板で区切ることで、2室にもでき、それぞれ最大温度差60℃まで設定できます。

片方を0℃に、片方を60℃に設定可能で、暖かいものと冷たいものを同時に持ち運べます。もちろん、片方を冷蔵、片方を冷凍という設定も可能です。それほど大きいわけではない庫内を2つに仕切ってしまうので、入れられるものは限られてしまいますが、何かと活用の幅は広がりそうです。

Ankerより庫内は小さいですが、コンビニの弁当ぐらいなら十分入ります。2Lのペットボトルを立てて4本入るのも嬉しいところです
庫内を仕切ることで、別々の温度設定が可能です

サイズが小さくなったことで、持ち運びはとても楽になりました。Ankerの場合は荷室の1/3ほどのスペースを占有してしまうイメージですが、ハイコーキの場合は、その半分以下の場所しかとりません。自転車を搭載する都合上、スペースを作るために片方のセカンドシートは常に一番前位置にしているのですが、その後ろにちょうど収まるサイズです。クルマのスライドドアをあけると直ぐに冷蔵庫にアクセスできて便利ですし、犬用のトレーラーも問題無く搭載できるスペースも確保できました。

セカンドシートの後ろに搭載することで、スライドドアを開ければすぐアクセスできるようになりました。自転車を積んでいても余裕で収まります

クルマに冷蔵庫があると出かけるのが楽しくなる

結果として、冷蔵庫を2台買ってしまいましたが、それぞれ一長一短で、Ankerは長期旅行時用、ハイコーキは普段使い用として使い分けています。長期旅行では、Ankerの冷蔵庫に冷蔵で2人分の食材や犬用の食事を数日分などを入れることが多いですが、コテージ宿泊などでは自炊も選択肢に入るので、外で買い物をしてコテージまで新鮮なお刺身を買って帰る、ということがAnkerの冷蔵庫なら気軽にできるようになりました。冷凍品も冷蔵品も問題無く運べるのがとてもありがたいです。

Ankerは家庭用のサブ冷蔵庫として使うのにも優秀です。筆者宅では特に冷凍庫が足りなくなる場合があるので、そうしたときはAnkerの1室だけを冷凍用にして活用しています。ただし、あまり頼ってしまうと、いざ持ち出したい時に中身をどうするか問題が発生するのが悩みどころですが。

ハイコーキは長期旅行には若干力不足ですが、そのコンパクトさは、普段使いにはベストな選択だと思います。普段、犬を連れて日帰りででかける時などは、常にクルマに入れておいても邪魔にならないサイズ感が重宝しています。サイズ的には大量の食材などを入れるのは厳しいですが、簡単なお土産を買って帰るぐらいの容量は十分あります。本格的な夏に向けて、これからも活躍してくれそうです。

ちなみにハイコーキは大型モデルもあり、36Lのモデルでは庫内を3室に分けて冷凍(-18℃)・冷蔵(5℃)・保温(60℃)を同時に使えたりします。Ankerの冷蔵庫は現在購入できませんが、大型のポータブル冷蔵庫が必要な場合は、こちらの製品も良さそうです。

清宮信志