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緊急事態解除でも活動再開は段階的に。専門家会議

全国の実効再生産数

5月14日、39県における緊急事態宣言が解除された。政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、解除の基準などについて、5月14日付けの「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」として発表した。

1週間で新規患者10万人あたり0.5人が目安

14日付けで39県で緊急事態宣言が解除されたが、東京と神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、兵庫、北海道の8の都道府県は、5月31日まで緊急事態宣言が継続となる。

今回の解除の判断の基準となっているのは、「感染の状況」「医療提供体制」「検査体制の構築」の3点。

感染の状況は、以下の2点を満たすことが原則となる。

(1)新規報告数:直近1週間の新規感染者の報告数がその前の1週間の報告数を
下回っており、減少傾向が確認できること

(2)直近1週間の10万人あたり累積新規感染者の報告数:0.5人未満程度

なお、大都市圏など近隣県や移動の多い都道府県における感染の状況についても考慮。例えば、千葉と兵庫は上記基準を下回っているが、緊急事態措置の解除には至っていない。これは、「感染状況が続いている大都市圏(東京・大阪)に隣接している」ためとしている。

一方、富山や石川は上記基準を上回っているが、「施設内感染が多く、ほとんど(感染の)リンクが追えている状態」で、病床も空きが増えてきたことから解除に至っている。

医療提供体制については、「重症者数(ICU入院、またはECMO・人工呼吸器使用者数)が減少傾向で、医療提供体制が逼迫していないこと」、「今後の患者急増に対応可能な体制が確保されていること」(確保病床数及び入院者数、宿泊療養確保室数及び使用数等)をふまえて、総合的に判断する。

検査体制の構築は、都道府県別のPCR等検査件数の動向をみて、「検査件数が一定数以上担保されていること」「陽性検体の占める割合が著しく高くないこと」を基準とし判断する。

地域別の新型コロナウイルス感染症対策

感染拡大兆候があれば「再指定」

一方、緊急事態宣言が解除された地域でも、感染拡大の兆候が見られれば、「再指定」を行なう。そのため、解除地域でも常に感染状況をモニタリングしていく。

主な指標は、以下の3点。

(1)直近1週間の人口 10万人当たり累積報告数
(2)直近1週間の倍加時間
(3)直近1週間の感染経路不明の症例の割合

また、実効再生産数、PCR等検査の状況などを見ながら迅速に判断していく。

社会経済活動再開は段階的に。「感染地域から出ない」が最重要

緊急事態宣言が解除された39県においては、徐々に社会経済活動を再開していく。

一方再度の感染拡大を防ぐため、「三密」と言われる、感染拡大が加速する場(クラスター連鎖の場)を徹底して避けること、「身体的距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗い」からなる基本的な感染対策は継続して必要。

また、活動再開後も、業界ごとにガイドラインを設けて、感染拡大を防ぐ配慮が必要となる。例えば、理美容業や飲食業の従業員については、マスクや必要であれば目や顔を覆う防護具を装着。飲食店においては、間仕切りの活用、真正面の席を避けること、座席の間隔を空けること(1m、できれば2m)、個室などは定員人数の半分の利用とする、などが推奨される。

また、引き続き在宅勤務・テレワークを推奨。時差通勤や、自転車通勤など人との接触を避ける取り組みが必要となる。

不急の外出や移動を避けるのは基本だが、強調しているのが、「感染のレベルが高い地域から出ないこと」。これが「感染対策で一番大事」という。

イベントについても、大規模なものはリスク管理が難しいため、引き続き中止や延期を要請する必要があるとする。参加人数や施設収容人数に対する明確なエビデンスはないが、「諸外国の例も参考に、例えば、当面、参加者数の上限を100人以下としつつ、収容人数に対して50%以下の参加者数を目安としてイベント等を開催すること等が考えられる」としている。