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LINE、2020年はAI社会実装。OCRなどAI SaaS開始

LINEは21日、AIソリューションサービス「LINE BRAIN」に関する説明会を開催。日本やアジアにフォーカスして他社との差別化を図るほか、22日からチャットボットやOCRなどLINE BRAINの「AI SaaS」を開始する。

これまではLINEのサービスや一部実証実験(POC)で用いられていたLINE BRAINを商用展開。22日から開始する「LINE BRAIN CHATBOT」は、LINEサービスと連携するチャットボットを構築可能なサービスとなり、Webサービスなどへの組み込みにも対応。日本語の特定用途に特化し、精度も世界最高水準とする。3カ月まで無料のFreeプランや、月5万円~のCommercialプランなどを用意する。

「LINE BRAIN OCR」は、高い認識精度を持つOCRソリューションで、紙の請求書からのテキストの抽出など、用途に応じたカスタマイズが可能。雛形の特定部分のみをOCRできるTemplateと、紙全体をスキャンするGeneralが用意され、RPAベンダーやLINE WORKSとの連携で導入拡大を図る。

LINE BRAINでは、テキスト、音声、ビジョン(画像)の3カテゴリで7プロダクトを用意しているが、まずはCHATBOTとOCRからスタート。音声認識や読み上げについても、精度向上を続けながら、パートナーとの協業によりサービス展開を目指す。

LINE BRAIN室の砂金信一郎 室長は、LINE BRAINが目指しているものを「コミュニケーションに特化したAI」とし、LINEのアプリと同様にユーザーとの接点を活かしながら日々改善、「ユーザー目線で進化する」と強調。パートナーの課題に対して、チューニングしながら取り組む点が、Googleなどのグローバル大手との違いとする。

LINE BRAIN室 砂金室長

また、LINEの強みとして強調したのが、日本・アジアにフォーカスしていること。グローバル企業では、英語が優先され、日本語はその1年後など、遅れることが多い。それに対して、日本語で使える最高のAIソリューションとしてLINE BRAINを展開していく。

アジア圏から勝負。ニーズにあわせたチューニング
400字×10枚程度の手書き文字を学習し、独自の手書き風フォントを生成。左が手書き、右がLINE BRAINが生成したフォント

2019年からは、チャットボットや音声認識、音声合成を組み合わせた実証実験などを展開。AI電話応対サービス「LINE AiCall」の実証実験を「俺のGrill&Bakery大手町」で行なうなど、企業との連携も強化。LINE証券のチャットボットなど、実用化の例も出てきている。

一方で実証実験はかなりの数が行なわれていること、また、Googleなど海外事業者の追い上げも見込まれるため、2020年は「社会実装の年」と位置づけ、AI SaaSを中心にAIソリューションの拡大を図っていく。

2019年はPOC(実証実験)の年、2020年は社会実装へ
LINE AiCallの例
説明会の入場も顔認証