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映画好きのあなたに是非見てほしい、日本映画の秀作たち

欲望も、不満も、つぶやきも、考えていることが全て相手に聞こえてしまう特殊能力を持つ「サトラレ」。しかし、彼らは自分が「サトラレ」であることを知らない。「サトラレ」はそのやっかいな能力と引き替えに、全員IQ180以上の天才であるため国家的に保護されているのだ。そんな「サトラレ」である主人公里見(安藤政信)は、現在医師として病院で働いているが、その能力のため重要な手術などはさせてもらえないでクサっている。そんなおり、研修医として小松(鈴木京香)が派遣されてきた。彼女は実は国から派遣されたエージェントで、里見に外科医ではなくその天才性を発揮できる研究の道へ進むように説得するのが目的だった。しかし、里見は外科医になったのは一つの大事な目的があったのだ・・。
『千と千尋』の評価をひとまずおいておけば、現在公開中の窪塚洋介主演『GO』と、この『サトラレ』によって今年の日本映画シーンは非常に興味深いものになったと思う。かたや在日韓国人のリアルな青春を清々しく描いた直木賞受賞作、かたや異様なシチュエーションをテレビ出身の監督が描くコメディと、ジャンルは全く違うのだが、共通するのは「コミュニケーション」だ。多様化したコミュニケーションの中で自分を伝える術が混乱している現在、「丸裸になって自分の心を相手に伝えることの難しさと素晴らしさ」を両作品は違ったアプローチで描いている。
難しいことを言っていても実はこの作品笑いあり、涙ありのコメディ作品。八千草薫の「あの子はちょっと声が大きいだけの素直な子ですから・・」というセリフでは個人的に大泣きしました(笑)。全編細かい伏線が張ってあり、あなたもどこかで必ず暖かい涙がほろほろ出てくるはず。とにかく両作品とも秋の夜長にぜひ観てほしい、今年の日本映画の秀作だ。
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